73話 王都上空から
アルは、リーフ王国王都上空まで来ていた。下では王都民が手を振り、歓声を挙げている。アルはサービスの積もりで低空飛行を行ない。王都民を喜ばせる。他の者達もアルと同じように低空飛行してお愛想を振りまいている。王都を3周ほどしてやめて城に降りる。
城では今か今かと追待ち構えていたが中々降りてこないアルたちにイライラして待っていた。
ジーク「やっと降りて来たか。陛下が待っている。早くしろ。」
アルはジークに怒られて城の中に連れていかれる。
陛下「おーアルフォード戻ったか。成功したのだろうな。」
アル「もちろんです。王を捕虜としました。」
陛下「流石だな。だがまだ他の地域の報告が来ていない。」
アル「心配いりません。成功します。帰りにアレン将軍の軍に寄ってきましたが被害はありませんでした。倍の相手に全く引けを取っていませんでした。見事に敵を押さえつけていました。」
陛下「ほー、そうか、やはりアレンは優秀だな、倍の敵を相手にしても問題なしか。」
アル「普通は突破されるでしょう。向かれればリーフ王国に甚大な被害が出たでしょう。大きな功績です。」
陛下「それでセイン王国は、戦争はやめるのか。」
アル「はい降伏しました。捕虜の王は、交渉材料となります。後日、セイン王国の外交官がリーフ王国へやってきます。」
アルは王国にセイン王を重鎮を引渡し、ギルバート邸に戻る。そして翌日には各地から報告が届く。
報告が届くたびに城から歓声が聞こえてくる。
アル隊 セイン王都破壊 王、重鎮数名を捕虜
クリス隊 ダルメシア王都破壊 捕虜30名
アレン軍 ダルメシア王国軍を退却させる (戦死なし)
レビン軍 ダルメシア王国軍・ハイゲン軍を壊滅させる 捕虜3000
この戦いで、数名の者達に二つ名がついた。
クリスは破壊王、アレンは不敗の将軍、レビンはギルバートの大鬼、そしてアルは、魔術師アル(ペテン師アル)とも呼ばれていく。
ギルバートの大鬼がいれば鬼もいる。ギルバートの兵たちを鬼兵と呼ばれるようになる。
この鬼に木をよくしたレビンはギルバート兵と騎士団をギルババート鬼兵団とギルバート鬼騎団と名を変えてしまった。団員たちも大喜びであったと言う。
そして一部で、アンネローゼが槍のアンネ、又は槍美姫といわれモ・ン・ゼ・ツしていた。
他にも、ギレンが将軍狩りの異名で恐れられ、アーバンとリーガンは双頭竜で呼ばれる。(2頭で1頭のような動きをする)
レイモンドも蒼い悪魔と呼ばれる。(飛竜が蒼い)
アルはこの異名を聞いて何か思いついたようだ。何やらコソコソと作っていた。
そして皆が、ゾクゾクと王都に戻ってくる。
戻るたびに二つ名が呼ばれて悶絶するもの、嬉しそうにする者、不機嫌になる者と色々であった。
そして王国は、セレン王国とダルメシア王国と交渉に入った。
セイン王国は外務大臣と大使が交渉に望む。
ダルメシア王国は捕虜の宰相が交渉人となった。
ハイゲン侯爵領はリーフ王国が代理者を出して今は治めている。ハイゲンは捕らえられている。間違いなく処刑されるだろう。東の各貴族達も処分待ちとなっている。セレン王国とダルメシア王国との降伏交渉後に貴族達の罪が確定する。
交渉は難航した。ダルメシア王国とセレン王国は賠償金が払えない事で国土割譲をする。どこまで国を譲渡するのか揉めに揉めている。
それと捕虜の問題が出てきている。ダルメシア王国騎士が多く捕らわれている。アンネローゼが捕虜とした1500人が問題と成っていた。みんな身分が高く騎士や貴族、貴族に連なる者達で構成された騎士団であった。捕虜にしたアンネローゼが交渉の場に呼ばれた。捕虜の値段交渉であった。これば莫大な金額となる、今のダルメシア王国貴族に支払う能力がないのだ。だがタダで捕虜を解放する事は出来ない。リーフ王国で奴隷となるか、貴族として戻れるかの瀬戸際の者達、本人と家族がダルメシア王国に泣きついている。ダルメシア王国としても多くの王や貴族を失っている。もうこれ以上減らしたくはないのが本音であった。だが金がない。
捕虜「俺達奴隷になるのか。」
捕虜2「いや、助かる可能性はある」
捕虜「本国から買い取り金を出してもらうのだろう。うちは無理だ。」
捕虜3「うちも無理だろうな。金が無いから。」
捕虜2「いいや違う、亡命するんだ。この国へ亡命をしてリーフ王国に忠誠誓う。」
捕虜「亡命か、助かる可能性はあるな。」
捕虜3「だがただでは亡命なんか、承諾しないだろう。奴隷になるのが嫌で亡命する。見え見えで許可が出なそうだ。」
捕虜2「・・・・・・だが何とかしなければこのままなら本当に奴隷おちだぞ。」
捕虜たち「・・・・・・・・・・」
相手国、捕虜たちも悩んで必死に考えているが、リーフ王国の首脳たちも悩んでいた。割譲によってまだ広さは確定していないが、広がるそれも膨大な広さだ。2か国の国の割譲だ小さな国分ぐらいにはなってしまう。恩賞も出さなければならない。今回活躍した者達に恩賞は必ず行う行事である。報復の条件が決定したら直ぐにでも行わなければならない。
今から功績に対しての精査が行われていた。それはもう大変な作業である。誰がどの首を取った、誰しどの貴族を捕虜とした。と色々と個人個人の武功を確認している。
王城の役人は、もう何日も家に帰っていない。
2か国との交渉と同時作業は城の役人たちを疲弊させていく。
各貴族達も同じであった国よりは規模は小さくなるが、同じ作業となる。ギルバート家でも同じ作業をしている、その作業を行っているのがクリスである。ジークとレビン、アルは国の仕事優先である。リーフ王国の仕事をしている。残っているカインは役立たず。クリスすかいないのだ。
クリスは毎日、死にそうな顔をしている。あっちを立てればこっちが立たずともう考えが、ごちゃごちゃとなっている。
クリス「どうすんだこれ、終わらない。リーフ王国の決定までに終わるのか。ぜった終わらないぞ。どうすんだよーーー。」と泣き言を言っている。そして祖母と母が手伝っていた。