64話 飛竜
アルの見た者はドラゴンであった。正確にはドラゴン種の一つ。ワイバーンの上位の飛竜であった。
ワイバーン、飛竜、ドラゴン、このドラゴンと呼ばれるものが伝説や物語のドラゴンである。飛竜はワイバーンより大きく。手が有る。ワイバーンは羽が手であった。
通常のドラゴンは体長が15M~20M、飛竜は10M~12M、ワイバーンは6M~8Mとなっている。
アルの飛竜は白銀であった。
もう止まらなかった。クリスとカインは持っている、スキルオーブを使いワイバーンを進化させた。
カインのワイバーンは赤い飛竜となった。クリスのワイバーンは青い飛竜となった。
サリーは一度目でオーブに仕舞えるようになり、2度目で2個使い飛竜となった。うすい桃色の飛竜であった。何故かモコモコしていた。
レイモンドは、薄いブルー、アンネはイエロー、ローゼンはグリーンだった
もう大騒ぎになった。飛竜となった元ワイバーンは少し賢くなっていた。
そして地上に戻ってきた。
地上に戻った7人は注目されている所をこれ見よがしに(広場)で飛竜を出し、ギルバート伯爵領へ向けて飛び発った。
その後のダンジョンの町はパニックとなった。 ドラゴンだぁぁぁぁ
7人はギルバート邸に戻っても勢いは止まらなかった。
飛竜を見せびらかして回った。何故か飛竜も得意顔であった。
7対の飛竜の飛ぶ姿は雄大で人々を魅了した。あの恐ろしいドラゴンが人に従い美しく飛んでいる。
ドラゴン、ドラゴンと領民は喝采を、手をひり、子供たちは空のドラゴンを追いかけている。
アルはドラゴンじゃないんだけどなっと思ったが何も言わない。俺は大人だしな。
アルは王都へ向けて飛ぶ、飛竜の上で名前を考えていた。白銀だし、やっぱりマジかな、マジカー、マジィんーーーん。とマジから抜けれない名を考えていた。
考え中で王都についてしまった。そして又王都中がパニックとなる。なぜかみんな嬉しそうだ。
王都を一周してギルバート邸に降りる。そこに待ち構えていたのは、もちろんジークとレビンであった。
クリスが事に経緯を説明する。
ジーク「そんな事があり得るのか。」
レビン「信じられない。」
カイン「本当だぜ、アルががっくりしてたから、慰めの積もりで提案したんだ。」
そう今回の手柄はカインだった。カインがもう1つといわなければ起こらなかった奇跡だ。
高価なスキルオーブを何個も使うなどありえない話だ。普通ならだれもやらない。ギルバートは普通ではなかった。豊富にあるスキルオーブだから数個程度無駄にしてもなんとも無かった。その結果であった。
ギルバート邸でワイワイしているといつも通りに王城からの使いがやってきた。今回は7人とジーク、レビンが呼ばれていた。
陛下「又王都は大騒ぎだ、説明しろ。」
陛下は疲れた顔をしていた。かなり費機嫌であった。
クリス「はっ、ご説明します。・・・・・」
クリスはダンジョン内での出来事を説明していく。
陛下「要は、実験を失敗してヤケクソでもう一回やったら、飛竜になったと言う事か。」
クリス「そうです。ただの偶然です。」
陛下「ハーーーーーー-。疲れる。お前たちが王都で騒ぎを起こしたのは何回目だ。ハァー。」
アル「騒ぎは起こしていますが、いい騒ぎです。みんな喜んでいます。今回もパーッとやりましょう。」
陛下「国は費用は大さんぞ。」
アル「大丈夫です。ギルバート家で出します。王家分も一緒に出しときます。」
陛下「で、もちろん王家に献上するんだろうな。」
アル「あっ、も、も、もちろんです。カイン兄、何個も持ってる。」
カイン「10個あるぞ。」
アル「陛下10個献上いたします。」
陛下「・・・・・・この10個で都市が滅びる戦力何だがなー。」
アル「陛下、いい事教えます。飛竜はブレスを出します。ドラゴン(飛竜)ブレス(息吹き)です。」
陛下「何、まことか。余も使うぞ。」
陛下での実験(実験といっていない)で、陛下はワイバーンスのキルオーブをダンジョン外で使用、現在はワイバーンをしまえない。
新しく一つ使用、ワイバーンがスキル内にしまう事に成功。
もう二つ使用、何も起こらなかった。そしてもう一つ使用、結果飛竜となった。
ダンジョン外で使用すると合計5つ使わないと飛竜にならない事が解った。
最短で3つ、だが5つあれば飛竜が手に入る事が解った。
そして又王城内で争いが勃発した。
だが今回は数が数だけに家臣などからワイバーンでいいのではと説得された。リーフ王国としてはワイバーンで十分なのだ。貴重なスキルオーブを3つも4つも使うなら。ワイバーンを3頭、4頭にした方が国益となる。こう言われてしまえば王子たちも黙るしかなかった。
今回の献上でリーフ王国は6頭のワイバーンを手に入れていた。陛下は自分が使ってしまった4個の埋め合わせとしてギルバート(ジーク)に再度お願いしていた。そして5つ追加で献上された。
そして・・・・
王都は大祭りをしていた。それはもう凄い盛り上がりになっていた。お祭りも2回目であった事で王都民は慣れた、酒も肴も効率よく王都民に配られる。何しろ後でギルバート家が全て支払ってくれるのだ。
前回は半信半疑の所があった。だが今回は違う。間違いなく支払われる。ギルドも各商店も稼ぎ時と王都民、浮浪者、孤児や移民たちにニコニコして配って回る。店に来なくとも店員が町を練り歩き配っていく。もう慣れた者だった。
「おりゃぁー、飲め、飲め飲めーーー。」
「ただ酒だーー。ただ酒ぇぇぇぇ」
「こんなことが年に2回とは、王都民でよかったーー、サイコーーーー。」
「美味しいー、この店で食べてみたかったの。ただで食べれるなんて信じられない。」
「おいちいね。」
「うまいなー。」
「リーフ王国は神の国かー。」
「信じられない。」
外国の外交官「信じられない、王都の民全員がタダだと、ありえない。国にどう報告すればいいんだ。誰も信じないだろう。」
違う国の外交官「ドラゴンだと、ありえるのか、こんな短期間でワイバーンにドラゴン・・・それにこの飲み放題、食べ放題だと。こんな国ありえるかーーー。」
リーフ王国に滞在する外交官たちは、自国に報告(祭り)をしていなった。あまりにも国力が違う。それにワイバーンに飛竜だ。ありえない事ばかりが起こっている。リーフ王国は敵にしたら絶対だめだ。と外交官たちは思った。だが本国の者達は通じないだろうとも思っていた。
飲めや、歌えや、食えやーの大騒ぎであった。そして翌日はしーーーんと静まり返る王都があった。
王都の朝は二日酔いのうめき声が聞こえたと言う。