56話 スキルオーブ献上
アルたちはワイバーンに乗り飛んでいた。
アル「これ気持ちいいなー。」
クリス「本当だね、気持ちいいよー。」
王都に近づくを予想通り王都の民が大騒ぎしている。ワイバーン襲来だ。
逃げまどう王都民であるが騎士や兵士たち、一部の者達は落ち着いている。情報がもう入ってきているのだろう。
王都ギルバート邸に着陸した4人は、屋敷の中に入っていく。
執事「お帰りなさい」
祖父「フフ、驚いたか。」
執事「驚きすぎて、腰がピンと伸びました。」
祖父「くくくっ、もう少ししたら王城から多分使者がくる。」
執事「間違いなく来ますでしょう。」
祖父「献上に参ると伝えてくれ。」
執事「承知いたしました。」
そして予想通り使者がやってきた。執事は献上に事を伝え。明日王城へと向かう事を伝える。
翌日、ジーク、レビン。クリス、3人は王城へと向かった。
クリスはかなり緊張していた。もしかしたら王女に逢う事になるとアルに揶揄われたからであった。陛下への謁見としか頭になかったクリスは、王女二人、えっ、会うかもと思うと顔がまっ赤になってしまう。
クリスは自分に冷静に冷静にと繰り返してブツブツといっている。
そして大広間での謁見となった。広間には大勢の貴族達が待っていた。王都中を騒がせたワイバーンの情報を欲して集まった者達であった。
祖父ジークと父レビンは、貴族達を見て不敵に笑っている。
そして陛下が登場する。
ジーク「陛下、ご機嫌麗しゅうございます。ギルバート家はダンジョン60層において新たなスキルオーブを手に入れました。スキルオーブを献上いたします。」
陛下「60層か、60層のスキルオーブは、王都を騒がせたワイバーンか、」
ジーク「左様です。ワイバーンです。」
陛下「いう事を聞くと、言う事何だろうな。」
ジーク「はいさようです、スキルオーブはワイバーンとティムです。」
陛下「一つのスキルオーブに二つという事か。」
ジーク「正確なことはまだ分かりませんが、スキルはティムだけです。ワイバーンは生きています。」
陛下「生きている。そうだな。生き物、魔物だな。それで余にも使えるか、」
ジーク「使えます。ダンジョンの外で実験を行いました。ワイバーンをティム出来ますが、ダンジョン内で使用したスキルオーブとは少し違いが出ました。ダンジョン内で使用したスキルであればワイバーンをスキル内に戻すことが出来ますが、ダンジョン外でスキルオーブを得ると一度外に出たワイバーンは、スキル内に戻る事が出来ません。」
陛下「ほー、興味深いな。それより、ワイバーンは強いか。」
ジーク「はい、間違いなく魔物の中でも強者です。それにダンジョン60層までもかなり厳しい世界でした。ギルバート家の総戦力でやっと勝てた次第です。特に飛ぶワイバーンは厄介です。最初の1頭を倒すのに苦労しました。最初の1頭はクリスが仕留めました。一振りで首を斬り落としました。
配下「ほー、それは凄いな。ワイバーンの首を斬り落としたか。」
クリスは思った。最初に仕留めた。首を斬り落とした、嘘は言っていない、だが事実は違う。途中が抜けている。
クリスは話す事(謁見時)を許されていない。黙って俯いている。
ジーク「外でお使いしますか。」
陛下「そうだなやってみるか。」
陛下とギルバート家の3人と他がゾロゾロと中庭へとやってくる。大勢の貴族達は広間で待機している。
陛下がスキルオーブを胸に当てる。スッと胸に吸い込まれる。
陛下「アハハハハ、凄い。」そしてワイバーンを表に出す。
ワイバーンは陛下にスリスリしていく。いつも無表情な陛下もニヤケている。
家臣が止める間もなく、サッとワイバーンに飛び乗ると大空へと飛び発った。
ジーク「クリス追いかけろ。護衛だ。」
クリス「はい。」
クリスはワイバーンを出すと飛び乗り陛下を追いかけた。
クリス「陛下ー、大丈夫ですか。」
陛下「おークリス。ワイバーンは凄いなー。アハハハハ。」
クリスは陛下の大笑いを見てこんな表情するんだと持った。
陛下は20分ほど大空を満喫していた。気が済んだ陛下は地上に戻ってきた。
陛下「ジーク凄いな。」
クリスも地上に戻り、ワイバーンをスキルに戻す。
陛下「ほーこれの違いか。」
クリスは俯き、頭を下げる。「はっさようです。」
ジーク「空はどうでしたか。」
陛下「いい気分だな。あれは癖になりそうだ。」
陛下たちは謁見の間に戻り、献上の話を行なっていく。
ジーク「スキルオーブ8つを献上いたします。」
貴族達「「「「「「「おおおおーーーーーー」」」」」」」」
陛下「8つ、王家全員か。」
ジーク「はっさようです。これはクリストフ個人で狩った物となります。ギルバート家としては、別に献上いたします。リーフ王国にワイバーン隊を作る為にスキルオーブ30個を納めます。」
貴族達「「「「「「おおおおおおおおおおおおおお」」」」」」」
陛下はジークの意図に気付いた。
陛下「そうか、クリストフ個人で王家に献上とな、そうなるとクリストフ・ギルバートを男爵に叙爵せんとな。空でも護衛をしてもらうからな良いな。」
「「「「「「「おおおおーーーーーー」」」」」」」」
陛下「ジークよ、よい孫を持ったな。」
ジーク「はっ、本当に良い孫です。」
陛下「ギルバート家としての献上品である。スキルオーブ30個とはかなりの数だな。」
レビン「リーフ王国として、空からの攻撃手段はもぅていて損はありません。それに伝令、輸送と幅広く使えます。」
陛下「そうだな。これほどの物は今までなかった。リーフ王国建国以来これ程の献上品はいまだかつてなかった。ギルバート家を伯爵に昇爵とする。他に準男爵位を5つとする伯爵位となっても子爵位はそのままでよいぞレビンに引継げ。」
「「「「「「「おおおおーーーーーー」」」」」」」」
ジーク「はっ」
こうして謁見は無事に終わったが、騒動は終わってはいなかった。
王都民「観たかあれ、ドラゴンか。」
王都民2「あれはワイバーンだ。ギルバート子爵のワイバーンだそうだ。」
王都民「へー、又ギルバート家か、あそこはダンジョンがあるからな。」
王都民3「ダンジョンだけじゃないみたいだぞ。町が凄いと噂だ。」
王都民「町行ってみたいな。」
そして、これからクリスの受難が始まる。クリスの受難とワイバーン騒動は当分終わらない。