54話 ダンジョンへ
ギルバート領都子爵邸
アルはギルバート子爵邸に泊まり、朝を秘密の研究室で迎えていた。昨日の夜から徹夜となったが充実した時間だった。久しぶりの研究実験はアルの心を癒していた。
一息ついたところで、昨日の事を思い出している。クリス兄の結婚話、子爵家を伯爵家にする功績が必要だ。戦争が近い事もあり、現実的にはそこで武勲をあげる事が一番だろう。だが祖父の言う様にかなり難しい。軍としての行動であり。多数の武人がいる。武人たちは武勲を上げるために競っている。その中での功績はかなり難しい。
後は、ダンジョンの60層を目指す。20層、40層とスキルオーブが出ている。60層もスキルオーブが出てくる可能性は高いと思われる。これが一番いいのかもしれない。クリス、カインと俺がダンジョンに挑めば可能だろう。祖父と父も多分協力するだろう。
問題は、本当に60層があるかどうかだな。今は45層迄到達している。46層で終わりとかないよな。
一瞬アルは嫌なことを思ったが、ぐっと飲み込んだ。あるある、あるよ60層。
朝食時にアルは祖父、父、クリス、カインにダンジョンの話をする。
祖父「ワシも60層の事を考えていた。」
父「行くか。」
「「「「「ニヤリ」」」」」
ギルバート家の男達はニヤリと笑い、全員の意見が一致した。
アル「おじい様、父上。40層のスキルオーブはいいのですか。」
祖父「時間があれば取る。」
父「せっかくだ。取るぞ。」
アルは領主特権を活かして40層の手配をした。いつは実験をしたかったこともある。以前捕ったスキルオーブをダンジョン内で使えば上位スキルになるではと疑問に思っていた。予約に割り込みする対価として予約者にスキルオーブを提供する事を提案をする。同時に実験も行うつもりだ。
ロビン「アル様、戻りました。予約者了解が取れました。」
アル「スキルは」
ロビン「剣と鑑定、アイテムボックスです。槍と弓もおまけで付けました。」
アル「いいよ。行けばまたとれるしね。でどうだった。」
ロビン「剣と槍、弓は上位版になりました。鑑定とアイテムボックスはそのままでした。」
アル「そうか。・・・・・・」
ロビン「一日半しかありませんので、明日の昼までに40層に行ってくださいね。」
アル「了解、ありがと。」
アルは祖父と父に報告した。一日半の時間しかなく。万一取れなかった場合は予備のスキルオーブを使ってもらう。ダンジョン60層を目指すには必要であることを強調する。
祖父「分かった。」
父「分かった。クリスの為だ。」
そして完全装備の5人はダンジョンに挑む。
それはもう快進撃であった。40層迄一日でいいや半日と少し着いてしまった。地図がある事と身体強化によって走り続け、戦闘も最小限の結果だ。短距離走の速さで最短距離を激走した。通常3,4日かけて40層迄行く。
40層で祖父と父はボス戦6戦を戦った。結果は剣2、槍1、鑑定1、アイテムボックス2と高確率でスキルオーブを手に入れた。そして実験を兼ねたスキル取得をする。結果は全て上位版になった。剣、槍、弓は上位版になる事は分かっていた。だが鑑定も上位版になった。予約者との違いは、戦闘をした者としていない者の違いであった。アルは後日実験を行う事を決意していた。
そして5人は60層目指して行く。
45層迄はクリスとカインが先導し進んでいく。全く問題がない。魔物も瞬殺されていく。
アルはこのダンジョンはもしかして、弱い魔物しか出ないのではと思ってしまう。
46層、全く問題なし
47層 同じ
48層 同じ
49層 同じ
50層 ボス戦、ボスはキングコングであった.体長5Mもある怪物だ。さすがに単独は厳しく5人で囲み仕留める。終わってみれば問題なかった。強者5人いれば問題なし。
51層から48層迄も問題なしに進んでいく。魔物も大型化していくが、魔法と剣があれば問題なく進んでいける。
49層、そこは、草原であった。他の層にもいくつかの草原があるが、何か雰囲気が違っていた。だが魔物の姿が無かった。5人は49層を駆け巡る。探す、探す、探す、60層の階段を探し回るが見つからない。5人は思うここが最終層なのではと思ってしまう。
それでも探し回る。回る。探し回って見つけた。10M程の岩偶にポッカリと開いた穴、5人は中に入っていく。そこにいたのはサイクロプス。一目の巨人であった。
サイクロプスは体長7Mはある巨人で、皮膚は固く、棍棒を武器としている。一撃喰らえば終わってしまう程の破壊力だ。アルが豪弓で目を撃ち抜く。目を失ったサイクロポスを剣と槍で切り刻んでいく。それでも中々倒れない。最後は祖父が首を斬り落とし倒すことに成功する。
アル「此処が最終層じゃないよね。」
クリス「アル、嫌なこと言うなよ。」
アル「ごめん。」
アルに心配は杞憂に終わった。倒れたサイコロプスの後ろに階段があった。
5人は階段を下っていく。
そして40層と同じ空間があった。だが広さが倍以上もあった。
アル「広いですね。」
カイン「40層の3倍はあるな。」
クリス「あるね。ここのボスは何かな。
祖父「いよいよか。腕が鳴るな。」
父「ワクワクしますな。」
カイン「俺が、やる。」
クリス「行きますか。」
アル「いざ、出陣。」
5人は扉を開き中に入っていく。
そこは広い空間になっていた。そしてボスは空を飛んでいた。
アル「あれってワイバーンですか。」
祖父「・・・・・・」
父「飛んでいる。どうすんだ。」
カイン「叩き落とせばいい。」
クリス「飛んでるのか、やりにくいな。」
アル「まずは、当たってみましょう。戦ってみないと分かりませんからね。」
ワイバーンは、侵入者ん周りを旋回する。そして獲物を狙いように急降下、足でアルを掴もうとする。がアルは槍で突く。ワイバーンは槍など効いていないようで再び上空へ戻る。
上空へ行かれるともうこちらからは手出しが出来なくなる。
ワイバーンは、何度も急降下して攻撃を仕掛けてくる。並の人間であれば一撃で終わっている。5人は連携を取り、ワイバーンの攻撃を躱し、攻めていく。チクチクとではあるがワイバーンも傷ついている。固い鱗で守られている。
アル「カイン兄、一振りで首を落とせる。」
カイン「どうだろうー。二振りなら確実に行ける。」
アル「クリス兄、カイン兄、の二人で一振りでずつで二振りになる。二人を上にあげるからそれで仕留めて。」
クリス、カイン「「エッ何言ってんの」」
アルは説明をする。




