51話 騒動はまだまだ続く
スキル騒動は、まだ収まらない。
王都から各地に広がり、噂は国外にも広がった。国内国外にもダンジョンはある。そしてボス層の同じ条件も場所を各地で探し、そして等々見つけた。それもリーフ王国と隣国、共同で所有するダンジョンであった。このダンジョンはスキル騒動前は34層迄しか到達していなかった。20層のボス部屋も通常のボス部屋であった為に期待していなかった。だがある冒険者が、40層を目指した。6人のパーティーと5人のパーティーの11人は、装備を充実させた。(ある商会が支援した)
そして40層に到達した。ボス部屋のみの階層だった。
11人は歓喜した。もしかしたらが確信に変わった。ボス戦に挑み見事勝利した。そしてスキルオーブが出てきた。
そのスキルオーブは剣であった。
それから冒険者たちは、ひたすらボス戦に挑み戦った。ボスは3種類、ハイオーガ、ブラックウルフ、リザードマン。この中でブラックウルフが一番厄介となった。ハイオーガとリザードマンは単独であったが、ブラックウルフは6頭であった集団戦となっていた。ウルフの群れはかなり厄介で冒険者たちはギリギリであるがやっと勝つことだ出来た。40層到達直後であったならば負けていただろう。数人でもスキルを手に入れ、戦っていたことが勝因であった。
スキルの種類は、ハイオーガからは剣、槍、弓の3種類。 ブラックウルフからは俊敏、縮地、の2種類。
リザードマンからは頑丈、防御の2種類。 剣、槍、弓以外の特徴として、俊敏は速く動けるようになる。縮地は3M以内であるが、一瞬で間合いを詰める事が出来るスキルだ。頑丈は体が頑丈になるスキルだった。防御は攻撃され体に触れた時に皮膚(半透明の鱗)が固くなり防御するスキルだった。
このスキルに11人は歓喜した。全て取得すれば最強の称号を手に入れる事が出来る。一騎当千となる事が出来る。
それから3か月、11人は40層に住み着いた。
ダンジョンから出てきた11人はボロボロの服装をしていた。その姿を見た者達は、ダンジョン内で負けて逃げまどい。やっと地上にたどり着いた者達に見えていた。
だが11人は違った。ボロボロの服装は3か月の戦闘の結果だ。
そして事実が伝わるとダンジョンの町が沸騰した。(ある家で水が101度になった。)
11人の得た、スキルオーブは160個であった。(自分達は全種類取得後の数である。)
この160個のうち、支援した商会に80個そして残りの80個はオークションに出され。売ったその金額は11人が一生遊んで暮らせる金額になった。だが冒険者たちは装備を整え、ダンジョンに戻っていった。(ギルバート領のダンジョンであった。)
この事実にリーフ王国と隣国テトラ王国は協議となった。40層の建物建築についてであった。リーフ王国側は何も問題が無かった。ギルバート家に依頼をすれば宿屋でも何でも建設する事が出来る。何しろアイテムボックスを持つ者が大量にいるのだ。全く問題はない。だが相手のテトラ王国は小屋一つ建てるのもコ困難な状況である。木材を持ち深層階の40層へ行くなど不可能である。それもただの職人には不可能だ。
その事実にテトラ王国はリーフ王国と協議したが、今まで以上に揉めている。
この2国は戦争直前にまでなったことが幾度もある。このダンジョンで全て折半となった経緯も揉めて協議しても解決が困難だったことで全て半分と大まかな取り決めで終わったのであった。
リーフ王国は、40層のボス部屋の前広場の半分、其処に宿屋と買取店、食堂作る計画を立てていた。
そこへテトラ王国が協議を持ちかけてきた。
テトラ王国は何としても40層に国として建物を建設したい。だが出来ない。金と人員と時間を掛ければ小屋ぐらいであれば、2年ぐらいで建てる事が出来る。そんな時間も金も余裕も無いないのが現状である。
そして今回のテトラ王国はかなりしつこく、粘っている。それは仕方のない事でもあった。リーフ王国の者達は確実にスキルを手に入れる事が出来るようになってしまう。軍事力も大きく差が開いてしまう。
リーフ王国とテトラ王国との取り決めで、全て半分とななっている事が問題となっていた。
ダンジョンの町も同じで、西と東に別れ、ギルドも2つ、役所も二つ、ようは二つの町が一つの町と名乗っているだけであった。出入りは出来るが利用は出来ない。(商店はは別)
リーフ王国とテトラ王国の不毛な協議は延々と続く。
それからも各地のダンジョン40層でスキルオーブが見つかっていく。20層では見つかっていない。
アルが王都へ戻って4か月、まだまだスキルオーブ熱は治まらない。逆に加熱している。
トム「アル、ダンジョンの町から救援要請が来てるよ。」
アル「ん、宿屋は増やしたでしょう。」
トム「何か、高級宿を建設してほしいみたい。」
アル「あーーー、金持ちが、宿に不満でも言っているんだね。」
トム「正解、それに町でも高級宿の要望が多いよ。宿が全く足りないみたい。ダンジョン(40層)待ちの人たちが町に長期滞在していて、宿が足りなくなっているみたいだね。」
アル「宿屋を作り過ぎるのもなー。一時的だろうしなー、」
アルは悩んだ結果、40層に高級宿を一つ、町に大型の高級宿を一つ建設させた。
城内
陛下「国がダンジョンを直轄地にしていたら40層は見つからなかっただろう。そこまで潜る者が出なかったであろうな。」
王子「そうですね。ギルバート家の者でなければいかなかったでしょう。クリスとカインの二人はかなりの強者であるようです。」
陛下「そうよな、政のクリストフ、武のカイン、知のアルフォードといわれているようだ。」
王子「長男クリストフは政治、統治で領民に慕われ、カインは兄弟最強と言われています。それにもまして知のアルフォードは知略、内政と戦闘能力迄あります。リーフ王国にとってかなりの脅威になります。」
陛下「フフ、見落としがあるぞ。アルフォードには知、武とすべて持っているが、持っていないものが在る。」
王子「陛下それは何ですか。全て持っているように思えますが。」
陛下「お前にはまだ分からんだろう。人を見る目を養う事だ。アルフォードに野心がない。」
王子「えっ、十分野心家に見えますが、」
陛下「あれは全て成り行きだ。余やジーク、レビンに頼られ仕方なくやった結果だ。本来なら田舎で楽しく暮らしをしているだろう。王都へ何か来なかっただろうな。」
王子「野心の無い者、いるのですか。」
陛下「稀にいる。が、その者は世界を変える者かもしれんな。」