453話 ガラスのジョッキ
拠点
小人「こ、これが新しい商品ですか。」
アル「どうだ、これならドワーフたちは挙って買い求めるだろう。」
小人「す、すごいです。」
今アルが小人の行商と話している物は、ガラスのジョッキであった。
今迄のドワーフたちは、皆マイジョッキを持っているがそのほとんどが木で作られた物であった。
そこでアルは、ガラスで作り出されたジョッキをドワーフに売りつけようとしている。
アル「ドワーフだけじゃないぞ、他の種族にもどんどん売ってくれ、まぁジョッキはドワーフ以外はエールとビール用になるだろうな。」
小人「当たり前ですよ、ドワーフ以外がジョッキで焼酎や蒸留酒をジョッキでストレートで飲む者は居ません。」
アル「だよなー。」
アル「それとなこれもセットで売ろうと思う。」
小人「これは冷凍箱ですか、いいですよねー、これがあれば食料は長持しますからねー。」
アル「長持ちさせることも重要だが、ドワーフ向けにジョッキを冷やすため専用の冷凍箱だ。」
小人「はぁ?????」
ドワーフの町
小人「さあさあ皆さん、ご注目下さい。お酒を飲むために新アイテムをご紹介いたします。」
「「「「「うおおおおおおおおおおお」」」」」」」
小人「これからご紹介します新アイテムは、今日この時からドワーフの皆さんは、二度と手放すことが出来なくなるでしょう。・・・・・まずはドワーフさんたちの必需品、ジョッキです。ジャンジャジャァーン。」
小人の取り出した物は、ガラスのジョッキであった。目にしたドワーフもガラスか珍しいなとは思ったが自分の木のジョッキに愛着もあり、それほどほしい物とはならなかった。だが小人には必勝の策があった。
小人は、ジョッキに酒を注ぎ足していく。ドワーフの町にまだ少量しか入っていないビールを注いでいく。そして一人のドワーフに呑んでみてくれと渡す。ドワーフは直ぐにゴクゴクと喉を鳴らしながら飲み干してしまう。
ドワーフ「うん、普通に美味いな。これがビールかエールよりもかなりいいな。」
小人「ありがとうございます。では次にこちらも飲んでください。」
スッと差し出したジョッキは、ガラスが凍っているその中にはビールが黄金のようにキラキラとしていた。キラキラしているように見えているのは小人だけだろう。
ドワーフは冷えたガラスジョッキを手に取り口を着ける。そしてドワーフの目がカッと見開いている。
ゴクゴクと飲んでいるが、飲みほしてしまったジョッキをまだ逆さにしている。その姿を眺めていたその他大勢のドワーフたちは、大笑いをしている。ドワーフがギャグでポーズをとり笑いを誘っていると大きな勘違いをしている為であった。
すかさず、小人は他のドワーフにもキンキンに冷えたガラスのジョッキでビールを飲ませていく。
するとみなさきほどのドワーフと同じポーズで固まっている者が増殖していく。
一瞬皆言葉を失ってしまったが、ジョッキが空だと気づき皆が騒ぎ出す。
元ともの木のジョッキも冷やし飲ませてみたが、ドワーフたちはもの凄く残念な表情となっていた。ガラスに比べて口当たりが全く違い。同じ酒でも味の違いと喉越しの違いがハッキリと分かってしまったのだ。
ドワーフの男たちが今迄自慢していた。木のマイジョッキ愛が冷めていく。
ドワーフ「グオオオオオオ、俺は今まで何をしていたんだ。酒を冒涜していたーーー。」
人口約5000人のドワーフの町で、ガラスのジョッキは30000個も売れた。それはひとり1個ではなく。のん兵衛たちは、冷えたジョッキでビールを飲むために、マイジョッキを5個とか10個も買う猛者がいたからであった。
勿論、立ち飲み屋は、大量購入した数は含まれていない。あくまでドワーフたち個人の買取数であった。
拠点
小人「いやーーーー、売れに売れましたー。」
アル「30000個も売れたようだな。」
小人「それは個人ですね。店などを入れれば50000個です。」
アル「5000人の人口で50000個か凄いな。」
小人「流石ドワーフですね。他の種族ではさすがに人口分も売れませんでした。ですが継続的に確実に売れる商品です。」
アル「冷凍庫の販売はどうだった。」
小人「あっ、それはもう飛ぶように売れました。ドワーフたちには少数ですが、他の種族は一家に1台から2台売れています。」
アル「やはりドワーフは無理か。」
小人「ドワーフは、冷凍庫を分解してすぐに創り出してしまいました。流石としか言えませんね。それも冷凍庫の大型迄作り出したり、ジョッキ専用冷凍庫も作っていました。逆にこちらが仕入れる羽目になってしまいました。アハハハハハ。」
アル「おーいいな。ドワーフも買うばかりではいけないからな。こちらも金を落とさなければな。なるべく高くで買ってやれよ。」
小人「はい。」ニッコリ
ドワーフたちは、新しい物を作り出す発想に欠けていたが、物を作り改良していく力はぴか一であり誰にも負けないものが有った。
冷凍庫の改良もその一つであり。冷凍庫から冷蔵庫(元からある)を作り出し大型化や専用物と多機能型の物と色々造り出していく。
冷凍庫の一大生産地となり、他種族たちも冷凍庫と冷蔵庫を買い求めるためにドワーフの町に訪れる者が増えていく。
小人の行商も各村で注文を取り、ドワーフの町に発注していく。ドワーフと小人の行商が連携し各種族へ売り込んでいく。
小人も儲かるが、ドワーフたちは大儲けをしてしまった。その儲けた金の殆んどは酒に変わっている。
ドワーフ「ガハハハハハ、今日も冷えたビールが美味い。」
ドワーフ2「おうよ。一杯目は冷えたビールだな。これを飲まんと次が飲めないな。」
ドワーフ「流石だなよく分かっているな。冷えたガラスのジョッキで飲むビール最高だー。」
ドワーフ2「そんで2杯目は、別のジョッキで焼酎ストレートだな。」
ドワーフ「かぁーーー、これが最高だぜーーー。」
ドワーフそれは酒好きなだけのどうにもならない男たちの集まりであった。ドワーフたちの経済を本当に支えている者は妻たちである。
のん兵衛の男たちをうまくコントロールしていくその操縦技術は後に教科書(道徳)に載る事になる。
そしてドワーフの男たちの地位が下がっていく。(仕事は一流)
こういう大人にはなるなという道徳の授業であった。教科書に載るのは数百年後である。




