45話 トンネル開通セレモニー
トンネル街道のセレモニーが盛大に行われた。
王都からも大勢の貴族達、商人たちが訪れ、ダンジョンの街は人で溢れている。
今、ダンジョンの街は、正式な住民は1000人程だが、冒険者、探索者が3000人、商人たちが2000人そして貴族関係者が1000人、そして冒険者、探索者たちは今後も増えると予想されている。
そして貴族関係者たち、この者達は目的不明である。ただダンジョンの街に滞在しているだけである。
アルとしてみれば金を落としてくれるお客様である。何にも問題なしとなっている。
街は商店街を中心に多くの宿屋と酒場、食堂、武器屋、雑貨屋、八百屋、肉屋、装飾店、等色々な店とその者達の住居、街の役場(アルの仕事場)警備隊本部と交番(12か所、出入門含む)、各ギルドの支部がある。
商店街の宿屋、食堂、酒場、八百屋、肉屋はギリバート領の領民か関係領地の領民が経営している。豪農となった領民が、次男、三男の為に経営している。裕福になり余裕が出来た事で、農家だけではなく商売でも跡継ぎが出来るように動く者が多くなっている。豪農となり小作人を雇い経営者として、自覚が出てきたのだろう。
そしてギルバート領内の小作人達も変化していた。ギルバート領には元多くの小作人(ほぼ全ての住人)
がいた。それが今では自作農家となっている。豪農となりさらに飛躍した物も大勢いる。それは小作人にとって夢物語である。それが現実に出来るのとが分かった。もう小作人達は止まっていられない。勝負に出る小作人が出てきている。ギルバート家に借金を申し入れ賭けに出る者がいた。農家ではなく宿屋で勝負した。
それが大当たりした。小作人一家5人、父母と子供女、女、男の3人一家で宿を切り盛りして毎日満室でフル回転している。ダンジョンの町というアドバンテージはあった。それも運である。この時期この場で小作人であったからこそできた事なのだ。この小作人達は難民であったソルト家に移住者の後をついてこのギルバート迄やってきた。ギルバートは難民に優しい町だった。今までの辛い生活は無くなり。お腹一杯食べる事が出来るようになった。
そして子供たちに読書きをしえて貰える。必要であれば大人も教えてもらう事が出来る。
読書きが出来れば商売もできる。この家族の長女が夢を語る。みんなで宿屋をやろう。ダンジョンの町で宿屋をやろう。と情熱的に両親に迫った。両親は壕農家に相談したところ、ギルバート家にいくように勧められる。そこではメイヤー、マリー、ケリーの3人が支援の約束を取り付ける。
そして借金を背負うが、宿が完成し大成功した。まだ借金は完済していない。
ダンジョン内の事もかなり把握できて来た。カインを中心に探索された事でかなりの深層部進んでいる。思っていたより大きなダンジョンであった。
浅い階層(1から10層)では魔物、薬草、鉱石と色々な物がとる事が出来る。
中層階(11から20)では魔物、薬草、鉱石、お宝となっている。
深層階(21から現在33層)魔物、貴重な薬草、貴重な鉱石、お宝となっている。
薬草も鉱石は採りつくしても翌日にはまた生えてくる。貴重なものは2,3日も経てば同じように生えてきている。無限ともいえる資源を手に入れたと思われてしまっている。
冒険者、探索者たちはパーティーを組み確実に金になる。貴重な薬草と鉱石(貴重な鉱石含む)を狙って動く者が多い。
魔物は討伐はするが、なるべく戦闘しないようにしているようだ。
又新人の冒険者・探索者も浅い層での薬草・鉱石の採取で生活の安定を図っている。
アルの思っていた冒険者・探索者は、魔物を狩って生活すと思っていた。魔物は危険であり怪我の恐れもある為、最低限の戦闘しかしない。確実に効率よく高価なものを取って帰る。これが冒険者であり探索者たちであった。そして夜は酒場で英雄になっている。酒場には無数に英雄がいる。その語る物語は夢に溢れ、危機を脱し、成功の物語ばかりである。
誰からも文句はでない、それは朝には英雄が一人もいなくなるからである。
ロビン「アル様、セレモニーも終わりこれで落ち着きますね。」
アル「落ち着くと思うよ。多分、でも王都にこれから呼ばれるからね。」
ロビン「そうなりますね.叙爵され男爵になりますか。」
アル「そうなるだろうね。この街も領地となるみたい。」
ロビン「この街はアル様しか納められないでしょう。これほど貴族の多い街は王都ぐらいでしょう。そこに爵位なしの領主では対応できません。ギルバート領の爵位持ちは領主の子爵様と嫡男の男爵様とアル様(予定)しかおりません。」
アル「まぁ、その為に叙爵されるようなもんでしょう。たぶん。」
その頃
ロックウエル領でもセレモニーが行われていた。ここにも大勢の者達が集まり、揉めている。
セレモニー自体は滞りなく終わり。一安心していたアロウ・ロックウエル。感無量であった。貧しい領主生活、領地にこれといった特産物もなく。麦を作り、納税の為に働き自分も農作業に勤しんでいた。
それがトンネル街道で全てが変わった。トンネル街道出入口に町を造り。人も増え、畑まで増えた。
もういつ死んでもいいとさえ思えていた。
ギルバート家の援助により。住人の移動と畑の開拓、街道整備と田舎領地が日に日に変わっていく。大都会(普通な町)なったようである。住人(村2つ)も400人から2000人になっている。町一つと村3つ元の村二つと新たな村一つ、町一つが僅か3か月で出来てしまった。新村は一大農地となり元の住人半数以上が移住し小作人を雇い豪農となっている。
元の村も残った住民が、農地を広げここも小作人を雇い、豪農となっている。
開拓は全てギルバート家が援助し作業まで行っていた。
そして町は商店が立ち並び、定期便が通り活気に満ちている。領民たちは農家だけではなく、商店を開業し食堂、宿屋などに手を広げている。これも領内に街道建設の為に、移住の資金(土地買取)を出したことで農家に金がまわった結果である。
ロックウエル家が飛躍したことで家庭内に少しの不和も生まれてしまった。嫡男アーバンと次男リーガン、長女のカナリアで争いが生じている。長女は宿屋と食堂を経営してあら良いに無関心でいる。長男と次男が跡目争いをするようになった。それはロックウエル家が貧乏であった為に、長男アーバンは後を継がないと宣言していた。王都へ騎士として働きに出ていた。それが今回のロックウエル家の飛躍である。長男は後を継ぐために家に戻ってきたのであった。父のアロンは次男に継がせることにしている。手続きも完了している。だが長男は納得できないと居座っているのだ。仕事もやめてしまい。実家に居座るしかない状態となっている。
アーバンに可多くの貴族達が寄ってきている。煽て褒めて乗せている。もう馬鹿息子一直線に突っ走っている。
領主、アロンも次男リーガンも長女カナリアも影響が出てきている。何かにつけて首を突っ込んできているのだ。
新村に長男があらわれ、村の領主の様に振舞った。急いでアロンが駆けつけ長男を追い出した。そんな事が頻繁に起こっている。領民たちも長男の事を理解している為に、それなりの対応を取っている。
その事も面白くない長男はあの手この手で嫌がらせしている。
ロックウエル家の解決しない問題となっている。