40話 王城会議②
会議は続く
アル「宰相閣下、言い過ぎました。」
宰相「ワシも見通しが少し甘かったようだ。」
アル「あんな標高の高い山々に道を作る事は実際は無理でしょう。簡易な概算ですらあの金額で。実際に工事をやればあの倍はいくでしょう。それに山に道の必要など有りません。」
陛下「どういう事だ。」
アル「はい、山に道を作る事は、事実上無理です。ですが、他に方法はあります。王都からギルバート領までは大周りで山々を迂回しなければ街道には出れません。歩いて旅をすれば優に一月はかかってしまいますですが先ほど宰相閣下仰ったように、もし山々の街道出入口が王都側にあれば王都まで1週間問とかからないでしょう。」
陛下「だがそれは無理な事なのだろう。」
アル「此処で私に秘策がございます。トンネルを掘ります。」
宰相「ばばば馬鹿な、参道どころの費用じゃ済まんぞ。」
陛下「話せ。」
アル「トンネル工事、山々の谷間の街道整備全てギルバート家で持ちます。」
貴族「「「「「なっ」」」」」」
宰相「い、いくらかかると思っているのだ、一家だけではいくらダンジョンがあろうと無理だ。」
陛下「アルフォード、できる理由があるのだろう。」
アル「左様です陛下、通常山間に道と行っても起伏がある為に大変困難です。山々の街道よりは多少安めですが、その分魔物・獣の被害が出てくるでしょう。ですが今回はトンネルで魔物・獣を街道内に入れません。トンネル以外の谷の街道も屋根を付けて壁を作ります。そのようにすればカ旅の方々も安心して行き来が出来るようになります。」
宰相「馬鹿な、そんな計画無理だ。」
アル「普通なば無理です。ですがギルバートならば可能です。ダンジョンの管理はかなり大変です。大事な戦利品、大事な薬草、又はダンジョンから出ると言われている。宝物の数々です。輸送中に魔物や獣又は盗賊に襲われてしまって無くなる。こんな事が有ってはいけません。王都へ大事な宝物の数々を探索者・冒険者たちが持ち狩り、貴族達の物として優雅に豪勢な生活の糧となるでしょう。」
貴族達 「「「「「「おおおおおおおお」」」」」」
アル「聴くところによりますと、今あるダンジョンの一つは貴族領にあるとお聞きしました。王都からは遠く一月半もかかる距離と聞いております。それが1週間で行けるのです。王都へ入るお宝は他に行くとこなく王都へと運ばれるでしょう。ダンジョン村は大きくなり人が多くなればギリバート領も税収が挙がり国への税も増えていきます。一人金貨1枚として1000人ならば税が1000枚です。10000人になれば1万枚の金貨が王国の税として増えるのですそれをダンジョン管理等の人件費、村のトラブルと国から人を出し、村を整備し街道を整備する。経費で赤字になりかねません、いいえ赤字になります。
黙っていても入るギルバート領からの税より確実に減ってしまいます。それは国が人を多く使うからです。ギルバート領は殆んどの者が兼任し作業をしています。新たに人を雇いません。多少は雇いますが絶対王国より雇う人数は少ないです。」
王国であればすべてを王国主導となるでしょう。ギルバート領では、ダンジョン様に、冒険者ギルド探索者ギルド、商業ギルド、工業ギルドと必要な物は外に外注す予定です。」
貴族「「「「「「おおおおおおおおおおおお」」」」」」」」
陛下「アルフォード可能か。」
アル「可能です陛下。」
陛下「ジーク男爵、ダンジョン発見の功績により、子爵位を授与する。今の男爵位はギルバート家の嫡子が継ぐようにな。(ニヤリ。)それと、このトンネル工事と山間の街道が出来た暁には、アルフォードに新たに男爵位を授けよう。」
貴族「「「「「「おおおおおおおおおおおお」」」」」」」」
陛下「アルフォード、山合いの街道の工事期間はどのくらいだ。」
アル「魔法使いと身体強化の者達を使えば2か月で通行は出来ると思います。3月あれば完成いたします。」
陛下「三月か楽しみにしている。今日は良い日だな。王国の未来が開けたようだ。リーフ王国は税収が落ち込んでいる。貴族達も努力はしているだろうが事実毎年税収は落ちている。そこにこのダンジョン騒動だ。今アルフォードの話には、税収、経費、人件費等の貴重な話が多く出ている。この事は宰相はじめ大臣たち、一度城内城外の者達を精査せよ。よいな。報告は一月後とする。ジークだ、いや子爵とレビン男爵は精査の報告を聴くオブザーバーとして参加せよ。」
ジーク「御意。」
レビン「御意。」
そして会議は終わった。
アル「疲れました。」
祖父「見事だったな。だがギルドは良いのか貴族達が群がるぞ。あの宰相も来るぞ。」
父「間違いなく来るな。」
アル「あれはワザとです、餌が無いとダンジョン村を諦めませんから、全部自分でとは貴族達は思っていません。少しのおこぼれがあればよいのです。それが各ギルドの誘致です。各ギルド支部長はこちらが指名します。」
父「なる程な、ギルドは飲むしかあるまい。ダンジョン支部がもし作れなかったら責任問題からな。」
アルは急ぎ、ギルバート領に戻っていった。祖父と父はアルが異常に急いでいる事で向こうで何かあるのでは思い気持ちよく送り出した。
だがそれは間違いであった。
その日の夜からギルバート男爵邸(子爵邸)お祝いと称した。貴族達の挨拶が始まった。王都中の貴族、商会、職人たち、ギルド、個人ともう、一日一人3分で相手をしても終わりのない日々が続く事となった。そしてそれがリーフ王国中と広がっていった。
祖父「アルめ、この事を予想していたな、自分が領地帰る為に。やられたわい。」
祖母「同じですよ、私たちは王都で生活しているのですよ。王都から離れる事は無いのでしょう。アルが居ようが居ないが同じです。」
祖父「・・・そうだな。」
父「父上はそうですが、私はギルバートの領地に戻らねばなりません。ここは大変心苦しいですが、父上と母上にお任せいたしましょう。」
祖父「無理だぞ。レビンよ。己の男爵の叙爵を忘れた訳はあるまい。それに一月後の報告会もあるな。」
父「クッ、陛下め・・・・」
祖父、祖母、父は以外と仲が良い。
3人の楽しい生活は続く。