372話 奥(花園)
アル達の強制突入により、城内は一応鎮圧された。
スラムの住人たちを強制的に排除した事でかなり抵抗を受けたが自力が違うために城内の者達は殆んどが殺された。
それでも城外にはまだ数十万のスラムの住人が控えている。
アルは、この者たちを懐柔するために城内から大量の食料を放出していく。先ずは腹を満たせてからだとなり、ギルバートの者達は今必死に炊き出しを行なっている。
そんな状況の中、城内のある一角では泣き叫ぶ声が聞こえていた。
それはアルたちが、皇帝を確保するために城内の奥とういわれる場所へ突入したのだが、そこは花園と呼ばれる皇帝のハーレムであった。このハーレムでは女性は皆薄着ですぐに脱げるような服となっている。
突入した兵士たちは辛うじて理性が働き女性たちを襲う事はなかったが、もう仕事どころではなくなり皆ソワソワとしてしまっている。長い戦生活であった為に溜まりに溜まったもの達なのだ。それは仕方のない事であった。
アルはその状況を有意して兵士たちを奥からだしアルを含めた数人で奥へ進んでいった。
奥の中では男の侵入者という事で女性たち(戦える者)が武器を持ちアル達に斬りかかっていくが相手にもならない。全てを気絶させながら進んでいくと大きなベットで必死に腰を振っている男がいた。
アルは途中でやめされるには忍びないと思ったのか男が果てるまで待っている。事があ終わったと同時に部屋の中に入り男を確保する。突然の事で男はパニックとなり騒ぎ出すが誰も助ける者はいない。
男は間違いなく皇帝であるが、泣き叫ぶだけでどうにもならなくなっていた。
大春華国皇帝は、444代目とされている。大春華国が誕生して僅か400年であるが、大春華国の前の国家も400番台の皇帝であった。これは自称、世界で初めて国家をうたっている為にこの地の皇帝は皆何代目という物を引き継いでいたのであった。
そして皇帝の仕事も引き継いで行っている。皇帝は子作りが仕事であり、政などは全て家臣が行う事になっている。その為に皇帝は、何も出来な、何も知らないのであった。
そして国が亡ぶ時に初めて現実を知り、民衆の生贄とされて殺されていくのである。
2時間ほど泣き叫びさすがに疲れたのか、食事を要求する皇帝、まぁアルも仕方ないと食事を用意される。
普段皇帝の世話をしている女性に皇帝の隣につかせると皇帝もかなり落ち着いてくる。
少し話が出来そうになったアルは、皇帝に現実を突きつける。
アルの話に驚いた皇帝であったが、まだ現実を分っていないかった。
皇帝「それで余は、これからどうなるのだ。別の場所で子作りとなるのか。」
アル「いや、子作りはもうやらないな。まぁ好いた女がいるのならば2,3人は連れて行っていいぞ。そこで静かに暮らせ。だがその前に一筆書いてもらう。」
皇帝「何をかけばいいのだ。余は余り文字を書くのは得意ではないのだ。」
アル「あーー、署名だけで構わん。」
皇帝「おーそれなら問題ないな。新しい場所は此処より広いのか。」
アル「いや狭いな。女性も少ないが、今より自由に表に出る事も出来るぞ。」
皇帝「表かあまり行きたくないな。」
アルはこの皇帝を観察していたが、悪意も何も感じなかった。只子作りの為に奥という場所で女性と過ごしていただけの男であった。政治に触れることなく民衆に触れることなく只、女性と過ごすだけの生活をしているのだ。生まれた時から奥に閉じ込められ、奥が世界の全てであるこの男は、女性を抱く事は義務であり何の感情もない事が分かった。
今迄の子作りで数十人の子供を授かっているが、生きている者は数人であった。その事も皇帝は知る事はなかった。
身ごもった女性は奥から出され、貴族や高官の元で育てられていく。陰謀渦巻くこの都では毒殺・暗殺は当り前であり。皇帝の子供たちはそのターゲットとなっているのだ。
まだ大春華国が健全であった頃は、皇帝の子供たちは、次期皇帝以外は、真面な教育が行われていた。各地の要職に就かせ皇帝を守る役目が与えられていたからだ。だがいつしか高官と貴族達によって役職が取り上げられてしまっていた。
そんな皇帝であるが、アルはこれからの事を説明していく。だが皇帝は大きな子供であった。疲れた飽きたたと駄々を捏ね初めこの日はお開きとなってしまった。
仕方なくアルは明日にと言い残し奥から出ていく。
残された女性は皇帝に向って今の状況を分かりやすく説明していく。皇帝は真面目な顔で話す女性(乳母)に泣きながら抱き着いて離さなかった。
乳母は皇帝を寝かしつけると行動に移る。信頼できる奥の者達を集めギルバートと交渉に挑んでいく。
皇帝の乳母は、奥に暮らす10000人もの女性の代表としてアルとの交渉に挑んでいく。皇帝を守る事が一番だが、10000人の女性のこれからの事も重要であった。戦争に負けた国の女性は悲惨な事になる事は長い歴史が証明している。この地でも何度同じ事が繰り返されてきているのだ。
アル「話となんだ。」
乳母「はい。これからの事をお聞きしたく。」
アル「貴方は皇帝より話が出来そうだ。ギルバート家はこの大春華国を滅ぼすことになる。今の皇帝は退位してもらうが殺すことはしない。」
乳母「ありがとうございます。」乳母は涙を流しならがアルに頭を下げた。
アル「最初から皇帝を殺す予定はない。大春華の内情と皇帝の仕事を知っているからね。殺すことはしない。だが皇帝を退位する事で今までのような生活はできなくなる。あれは金をかけすぎだろう。」
乳母「あれでも年々予算が少なくなっていたのです。高官たちが横領でもしていたのでしょう。」
アル「あー、それはありうるな。一番気になっている事は皇帝の今後だろうから話をしよう。皇帝は退位後は小さいが領地を渡す。そこで自治を認めるので静かに暮らすようにな。」
乳母「えっ、領地ですか。」困惑顔になっている。
アル「領地運営は無理か。」
乳母「無理です。皇帝陛下は今まで女人を抱く以外の仕事をしたことがありません。」
きっぱりと言い切る乳母にアルは呆れてしまった。いや努力しろよと言いたいがここはぐっとこらえていた。
アル「まぁ追々やっていけばいいだろう。内政は大春華国の者と監視官とでやっていく。皇帝も子作りだけではなく出来る事を増やすようにな。」
乳母「努力いたします。それとこの奥(花園)の女人ですが、どのようになりますでしょうか。」
アルはこの10000人もの女性たちの今後を悩んでいた。




