34話 ある錬金術師
マインズ領でアルが執務に励んでいる。レイモンドは村巡り、クリスは町の問題を解決する為に出ている。カインは行方不明だ。
執事「アル様、当館に錬金術師が待っております。」
アル「錬金術師?」
執事「はい、あの錬金術師です。」
錬金術師とは、無から有を生むと云われてる。無から金を作り出すなどだ。ようは詐欺師である。実際の錬金術師は無から有をなど出来るわけがなく。薬草を煮てこねて薬を作るか。金属を加工して合金を作るなどだ。
薬師や科学者と言った方が早いのかもしれない。
アルはその錬金術師に興味がわいた。
アル「会いましょう。」
アルはその錬金術師に会うために応接室に移動する。
アル「あなたが錬金術師ですか。」
錬金「・・・・・う、う、はい。」
アル「大丈夫ですか。」
錬金「・・・・し、仕事をく、ください。」
アル「仕事欲しいの。」
錬金「は、はい。」
この途切れ途切れ話す錬金術師は、苦労していた。錬金術しというだけで蔑まれ、詐欺師扱いされそして金を造れと脅される。
アル「錬金術で、薬かなにか作れる。」
錬金「れ、錬金術をし、知っているのですか。」
アル「知っているよ。薬と作ったり、金属を混ぜたりするんでしょう。」
錬金「うおおおおーー、そそそそうです。れれ錬金術は普通の職業です。」
アル「大丈夫。」
錬金「ししし失礼しました。ああまりにも嬉しくてつい。」
アル「なら薬屋はどうかな。この町に薬屋がないんだ。店は用意するからやらない。」
錬金「みみ店ですか、薬店ですか、やややややります。騙されてもやややります。」
アル「じゃぁ、一度薬を作ってもらおうかな。その薬で効果を確かめてから店の開店だね。」
錬金「ははははい、がが頑張ります。」
アル「じゃ、また後で。」
アルは退室していった。
残された錬金術師は、ほっとした表情をしている。今まで訪れるたびにバカにされ、何とか安い金で薬を買ってもらい。食いつないできた。それが店を任せるといったのだ。信じられないのは仕方なかった。
執事「アル様、よろしいのですか。」
アル「問題ないよ。錬金術は薬を作る事が出来るんだ。それもかなり良い薬なんだよ。」
執事「よくご存じでいらっしゃる。」
アル「あの錬金術師を任せるよ。部屋と食事をお願いね。」
執事「かしこまりました。」
数時間後
アル「凄い量の薬だね。」
錬金「ははははい。頑張りました。」
錬金術師は張り切った。持てる力を出し切った。今自分に出来るのは、熱さまし、腹痛薬、痛止め、傷薬だけ。他にも作れるが今はこれしか作る事が出来ない。ならば量を考えた。
アル「他に作れる薬はあるの」
錬金「内服薬で胃痛、胸やけ、二日酔いが作れます。今は薬草等がありません。」
アル「薬以外にも畑の肥料、鉄から鋼も造れる?」
錬金「れれれ錬金にお詳しいのですか?」
アル「おばあさまが詳しかったからだよ。その影響かな。」
錬金「ででで出来ましたらお店を閉めた後、けけけ研究をさせてください。」
アル「研究、なんの研究をしていくつもりなの。」
錬金「ははははい、今私が考えているのは・・・・・・・・」
錬金術師の研究とは、難病の治療薬であった。天然痘と呼ばれる疫病である。この世界では死亡率は60%を超えている。
死病とされている病である。
アル「天然痘か、いいよ。その資金は僕が出すよ。」
錬金「ええええ、けけけ研究やってもいいんですか。」
アル「天然痘の薬でしょう。頑張ってつくりましょう。」
実際は、天然痘を治すことが出来る、治療魔法があり病原菌を殺す事が出来るが、多くの人が感染する天然痘は、治療魔法では一日に数人しか治すことが出来ない。
アル「あっ、ところで錬金術師さんのお名前は」
錬金「あっ、わわわ私は、れれ錬金術師のサイダーと申します。よよよ宜しくお願いいたします。」
後にこの錬金術師が、飲料水サイダーを開発する。このサイダーは口の中に入れるとシュワシュワとして爽快な飲み物と大うけする。サイダーはリーフ王国だけでなく世界中で飲まれるようになる。
だが今はまだない。
アル「店の事は執事に聞いてね。資金は渡すから領民たちの病気を治してあげてね。」
錬金「ははははい、あありがとうございます。がががが頑張ります。」
アルの執務室
地図を広げ眺めている。
________街道 街道 街道 街道 街道 街道 街道 街道 街道 街道 街道 街道 街道
l | |フス| フ|| |街
l |マインズ領 |ァト| ォヌ| 直 |道
l | ||領| ン領| 轄 |
ーーーーーーーl | |ーーー|テ | 地 |街
l |ーーーーー| |ー|ーーーーーー|道
l | | カイン領 | |
l | |ーーーーーー|フィールド領|街
l グレーク子爵領 |ーーーーー| アル領 |______|道
l | |ーーーーーー| |
| | | | |
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執事「地図をお作りになったのですか。」
アル「そうだよ。トム達に頼んで作ってもらった。」
執事「このグレーク子爵は元のマーシャル家の寄り親です。」
アル「マーシャル家の寄り親だと何か言ってくるかな。」
執事「はい、上納金を治めろと言ってくるでしょう。」
アル「はっ、何もやらない者に金なんて出せるかー。とレイモンドも言うと思うよ。」
執事「左様でご座いますな。ホホホホ」
アルの予感?は的中する。マインズ領が安定していくとグレーク子爵の使者が訪れ、あいさつに来いとの伝言を残し去っていったという。
アル「グレーク子爵の使者おかしくないか。」
執事「おかしいですな。使者ならば領主であるレイモンド様に挨拶して子爵からの手紙なりを渡すのが作法です。」
レイ「ほっときましょうか?」
アル「態々、挨拶に行けば、寄子にさせられるよ。レイモンドはギルバート男爵の寄子になるんだからね。」
レイ「はい。」




