33話 弟
旧マーシャル館
ここにレイモンド、クリス、カイン、アルと執事の5人が話し合っている。
執事「領都の人口が激減しています。ほかの村も激減しています。」
アル「それで今の人口はどうなの。」
執事「はい。領都は1000人、各村は合計で2500人です。」
アル「マーシャル領は5000人位いたのでしょう。かなり減っていますね。」
執事「ファースト領に逃げた者達もおりますが、死んだ者達も多く1500人以上は殺されています。」
アル「町と村は再編するしかないね。元の村は10で町(領都)だね。それを村6つか7つにする。小作人を自作農家にして働く意欲をつける。ファースト領に難民となった者達も自作農になれるのなら戻る人たちも出てくるでしょう。新しい事をやって違いを見せましょう。」
レイモンド「アルさん、凄い、僕と年が変わらないのに・・」
アル「そんなことないよ、レイモンド君だってできるよ。やり方を学んで学んでいき、すぐに出来るようになるよ。」
レイモンド「が、頑張ります。」
カイン「レイモンド、あんまり頑張るな。」
レイモンド「えっ。」
カイン「程々がいいんだよ。頑張ることないんだ。自分のやれることをやればいいんだ。」
クリス「カインなんてアルに内政全部やらせているもんな。全く仕事してないだろう。」
カイン「俺は仕事している。アル領とカイン領の軍事は俺がすべて請け負っている。内政はアルが担当しているだけ。」
アル「レイモンド君、カイン兄が言いたいのは、あんまり張りつめていると疲れるよ。ってことだよ。疲れたら休んでいいんだ。誰かを頼っていいんだよ。執事さんでも騎士さんたちでも、俺達にも頼ってよ。俺の弟みたいなもんだしね。」
クリス「アルには弟いないもんなー。」
カイン「そうだな。弟はいいぞー、仕事を任すことが出来るしなー優秀な弟はいつでも大歓迎だ。」
アル「カイン兄、レイモンドに仕事振らないでくださいね。」
カイン「俺の一番下の弟だ。少しだけにしてやる。」
クリス「じゃぁ今日は新しい弟と夕食会だな。」執事を見る
執事「早速ご用意いたします。盛大に4兄弟としてお祝いしましょう。」
アル「いいねー、盛大にやりましょう。」
その日の夕食会は大変盛り上がった。
レイモンドはニコニコしてクルス兄ィ、カイン兄ぃ、アル兄と呼ばれてアルもニコニコであった。
そしてアルは本気でこのマインズ領の改革に乗り出した。兄と呼ばれて嬉しかっただけが理由では決してない。アルは農民の事を思い。マインズ領の改革を進めていく。
アル「結構マインズ領は広いな。村の統合をしていくよ。10の村を近くの村を統合して5つ造る空いたところに新しい村を作る。」
レイモンド「はい。でもかなり土地が余ります。大丈夫でしょうか。」
アル「心配ないよ。これから人口も増えていくから埋まるよ。今は領民が生活できるようにすることだよ。」
レイモンド「はい。」
アルは潰す村の農地もそのまま、家もそのままとして統合していった。いずれ使うためである。
各村400から500人の大きな村とし農地もかなりの割り当て出来るようにした。人の配置も元の農家と小作人とは別けている。元の村にならない様に割り振りもしている。
レイモンド「いいんですか。元居た村に住みたいと言ってきますよ。」
アル「いいんだよ新しい気持ちで取り組んでもらうために元の村や家にはおけないよ。」
執事「左様です。この領地は人が死に過ぎました。新しい村、農地にして新しくやり直した方が農民たちも気持ちが良いでしょう。」
農民たちも新しい場所に納得していた。みんな同じ気持ちだったのかもしれない。
レイモンド「町はどうします」
アル「んーーー、ここはある程度は仕方ないかな。新しい町を造りたいけど、金がないね。」
レイモンド「お金ですか、ありませんね。」
マインズ領は金も食料も何もない。ギルバート領からに支援で今年を乗り切るしかない状態である。
そんな改革も進んでいき。ひと段落した頃、サリーがやって来た。
サリー「レイモンドお兄様ーーー。」
レイモンド「えっ・・・・」
サリー「アルお兄様から聞きました。レイモンドお兄様になった事。」
レイモンド「あーー、クリス兄とカイン兄、アル兄の弟になったんだ。サリーは僕の妹だね。」ニコニコ
サリー「そうですわ。私、薬草を使って治療魔法をするために村を回ります。怪我や病気の人達がいると聞きました。」
レイモンド「へー、サリーは治療魔法が使えるんだ凄いなー。」
サリー「エッヘン、私、凄いんです。」
アル「サリー、各村には怪我人が多い。余計なことを聞かないで治療だけしてね。」
サリー「はい分かってますよ。戦いの事は聞きませんよ大丈夫です。心配ご無用ですわ。」
一抹の不安を感じるアルであった。
サリーの治療魔法を見学すためにレイモンドも同行する事となった。サリーには護衛が30人もつてきている。大所帯での村巡りとなった。
アルたちは元マーシャル家の財産・財政調査と領地の財産・財政調査を行っていく。
アル「これはひどいねー。」
クリス「よくやってこれたね。」
カイン「解からん」
財産が殆ど無い状態であった。領地としては土地はあるが建物は壊されてしまっている。ほかにもかなり持ち逃げされている。財政は数年前から赤字経営となり、商会に借金している状態だ。商会は今は潰さてれもうない。
マーシャル家自体もかなり酷い。美術品はガラクタで価値無し、財産と言える物が宝石類とドレスであった。ほかは殆ど価値無しであった。
アル「宝石なんかこんな田舎じゃ売れないぞ。誰も買わないぞ。王都へ売りに行くか。いや無理かな。」
執事「元マーシャルの奥さまは大の宝石好きでした。高く売れると思います。オークションにも出せます。」
執事は何点かをアルに差し出す。
アルにはみんな同じに見えるがかなりの違いがあるようだ。
アル「なら王都でオークションに出しましょう。」
執事「それがよろしいかと、財政の足しになります。」
この宝石類は逃げる時に持ち出したものである。マーシャル一家が無くなった時に執事が保管したものだ。
後日オークションにおいて最高値で売却する事が出来たという。大きなルビーは何と金貨500枚の高値が付いた。他にも高値が付き合計で金貨1000枚にもなった。領地の税数年分の価値である。