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俺死んだのか、2回目の人生始まる。  作者: 只野人
1章 2回目の始まり
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31話 恨み

マーシャル領の騎士達が領主館へ逃げ込んで来た。


多勢に無勢それに警備している騎士や兵は、みんな顔みしり。止める者がいなかった。

領主館に逃げ込むことに成功した騎士達は早速、領主にお願いに上がる事にした。


騎士「ご領主様。私どもの力不足より、多少領内が混乱しておりますが、騎士、兵士と力を合わせ領内鎮圧を致します。」

領主「・・・・・・・混乱させた本人たちが鎮圧だと本気で言っているのか。」

騎士「ご領主様、もうここまで来ているのです。腹をくくってください。此の侭行けばご領主、ご家族、私たち皆殺されるでしょう。」

領主「・・・くっ・・・・・わかった。だがまだ他に方法を考える。それまで待て。」

騎士「ハッ。」キリッ。

(騎士は勝ったと思った。)



領主「どうする、どうする、どうする、どうしたらいい。」

悶々としながら歩くマニル。座る事も出来ない程、狼狽している。座ると落ちつきが無くなり貧乏ゆすりをしてしまう。グルグルと部屋を歩き廻る。」

執事「ご領主様、少し落ち着きましょう。今の状況を整理してみましょう。」

領主「おおそうだな。状況を整理すれば問題は解決すな。」

希望的観測に縋っている。

執事「・・・・今の状況は騎士達にかなり不利です。農民、小作人を殺し財産を奪いました。農民たち怒りは収まりません。此の侭では領主館は焼き討ちにあるでしょう。」

領主「焼き討ちだと。儂は領主だぞ、たかが農民無勢に・・」

執事「そのような考えですから、このような事態に陥ってしまったのです。冷静に対処しませんと本当に殺されてしまいます。」

領主「くそー、あの騎士どもめー。ではどうする。儂は領主は辞めんぞ。」

執事「今更、領主を止めてももう遅いでしょう。それともご子息を生贄にしますか。」

領主「・・・・・・」

執事「一つだけ助かる方法がございます。」

領主「何、あるのか助かる方法が。」

執事「はい。ギルバート領に逃げ込むのです。助けを求めるのです。」

領主「いや、それは貴族の沽券に・・・・」

執事「これしか助かる方法がございません。あの騎士達はもう終わりです。殺されてしまうでしょう。そして農民たちは、落ち着くでしょう。仇を取ったのです。ご領主様は農民たちを助けるために危険を承知でギルバート領に助けを求めに行き。兵を引連れてこの地の戻り、領地を再生させるのです。」

領主「おおおおおっ、領地戻って再生させるのだな、中々良い案だ。それで行こう。」

執事「はっ、では準備いたします。それまで騎士達をお願いいたします。」

領主「そうだな、踊って貰おうか。ぐぐぐぐ。」


領主はその日、騎士達を集め晩餐会を開いた。騎士達の英気を養うため、これからの栄光の為に乾杯し皆いい気分で酔っていた。


騎士「やはりこうでなくてわな。我ら支配者は余裕がなければならない。」

騎士2「そうだ、支配者は余裕がなければな。町でくたびれた女を囲っている場合ではない。」

騎士3「さすがご領主ですな、余裕がございますなー。」

騎士「そうだな、流石だ。お仕えするに値する。」




そして数日が過ぎる。



騎士達は少し落ち着てきている。領主館という閉鎖された空間で味方しかいない事で落ち着いてきていた。

外の噂もあまり気にならなくなっていた。騎士達は、心が休まる事で現実逃避していた。外の事は気にしない。この中の事だけで威勢の良い事を並べていく。


騎士「ガハハハハ、農民ども等一ひねりにしてくれる。」

騎士2「この鉄壁の館は難攻不落だ、いつでもせめてこい。」

騎士3「農民なんざ、武器もない。鍬を持って攻めるかーアハハハハ。」

騎士「鍬に鎌で攻めるか、こっちか剣に弓の槍がある。負けるはずがないな。ガハハハハ」


もの凄い威勢が良くなっていく。その話を聞いている者達も、若しかしたら俺達は勝てると思い込んでいった。


そして農民たちが館に集まりだした。


騎士「ほれ見て見ろまともな鎧一つつけていないぞ。」

騎士2「そうだ満足な武器も持っていない。勝てるぞーー。」

騎士3「もう勝っている。こちらは武器がある。」

騎士「この戦いは儂に一任されている。自由に戦ってよい事になっている。武器も人も自由に使ってよいとの事だー。勝つぞーーーー。」

          「「「「「「おおおーーーーー」」」」」」



農民


「おい、館の門を開いてくれるぞ。」

「本当か、それならあの騎士達を殺せる。」

「ああ、領主たちの使いの者が来た。」

「領主だー、信用できん。」

「そう、だが今回は信用できる。あの執事が門を開けるんだ。」

「あの執事さんか、あの人なら信用してもいい。」




執事「この門は、当日形だけの警備となる。くれぐれも門の騎士には手を出すな。」

農民「分かった。門の騎士には手を出さない、だが歯向かったら殺す。」

執事「それでよい。騎士達は直ぐに門を出るように伝えている。問題なく通す。」

農民「・・・・・妻の・こ・・これで恨みを晴らせる。」

執事「・・・・・あの騎士どもを殺してからどうする。」

農民「・・・・・しらん。」




翌日


この騎士達は館の人数が減っていることにまだ気づいていない。

領主を始めその家族、執事家族と使用人たちと数名の騎士がいなくなっていることに誰も気づかなかった。




そして戦いは始まった。



その戦いは、壮絶であった。まともな武器もない農民たちは、数の力で押し切っていく。倒されても倒されても前に進んでいく。先に死んで往く農民たちは後ろの農民に全てを託し死んで往く。その壮絶な死にざまは騎士達をビビらせた。剣で切っても向かってくる。痛みなど感じていない様にしがみ付き身動きが取れなくなる。そして他の農民に殺されていく。

「おッかーの仇だ死ねーーー」

「嫁の仇だーーーーしねーーーぇ」

「よくも俺の俺の妻を、くそー、死ねー」

「俺の妹を死ねーー、死ね、死ねーーー。」




「ぎゃーぁ、たたた助けてーく、れ」

「やめ、やめ、やめてくれー、」

「ぎゃー。」




家族を殺された農民、小作人たちの怒りはすさまじく。館にいる者達は皆殺しとなっていた。


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