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俺死んだのか、2回目の人生始まる。  作者: 只野人
2章 激動の時代
308/308

308話 自滅

トロール公爵軍は、自派閥である騎士爵へと進軍していた。つれてきている兵の数は6000である。

たかが一騎士爵に対する兵力としては過剰であり、騎士爵領の領民の数を上回っている。


そんな大軍が、騎士爵領の隣地にある男爵領で野営の準備を行なっていた。公爵や他の派閥の幹部たちは男爵の館でパーティーを開いている。

公爵や派閥の幹部たちも騎士爵を警戒していない訳ではなかったが、何処かゆるみがあった事は確かだろう。進軍の途中でパーティーなど普通に考えれば在りえない行ないだろうが、そこはローマン帝国貴族と言ってしまえば話は終わってしまう。


パーティ-では騎士爵領の配分や領民たちの奴隷化などで盛り上がり、男爵の用意した宴用のメイドたちが貴族達に酒を進めていた。

貴族達も綺麗なメイドたちに鼻の下を伸ばしている。中には何処か他の部屋に消えていく貴族も数人いた。

そんな楽しいパーティーも夜が更けるころには皆どこかに消えていった。


貴族達だけではなく兵士たちにも肉と酒が出され、兵士たちは気前が良い男爵に皆笑顔で酒を飲んでいた。

今回の遠征は勝つことが決まっている事で兵士たちも表情は明るい。

そんな軍では警戒もおろそかになるのだろう、闇夜に紛れて騎士爵の兵たちが近づいている事も分かっていなかった。



大量の酒を飲んだ兵士や貴族達は深い眠りについていた。




そして翌日、空は晴天に恵まれている。だが誰も起きる者はいなかった。いや数百人は起きていたが、手足を縛られている為に身動きが出来なかった。

それ以外の者達は全て死体となっていた。


騎士爵の兵士たちは、男爵領に忍び込み深酒で寝ている者達を殺して回ったのだ。

これには理由があった、騎士爵は男爵を味方につけていたのである。

公爵は敵である男爵の館で無防備に酒を飲み寝てしまったのであった。


普通であれば少し深酒などしても寝る事は無いだろうがそこに睡眠剤が入っていた為にどうする事も出来なかったのである。


十分に睡眠をとったが縛られている生き残り貴族達は、事の状況がまだ飲み込めていなかった。

縛られた手足をバタバタと動かし騒いでいる。

それも1時間もするとかなり大人しくなっていた。だが縛られている者達は直ぐに相手が訪れると思っていたようだが一向に現れる事は無かった。そして丸一日が経過しても誰も来ることが無かったのだ。

酒を飲んで脱水症状が出ている者や尿を垂れ流している者は全員であったが、誰も処理が出来ない為にかなりの異臭がしていた。そんな汚い状態でも腹は空く物で貴族達は必至に喚いている。


又半日が経過した頃にやっと人が現れた、貴族達は捕らわれている事も忘れてその者達に罵声を浴びせていく。その者達は皆無言で貴族達を担いで別の場所へと移していく。

そこは男爵家の大きな庭でった。縛られている貴族達は、そこで水を掛けられ洗われていく。


まだ貴族達はいい方で、縛られている騎士たちはもっと悲惨であった。殺さなかっただけで生かされているだけ、水も食事も無ければ人は死んでしまう。丸1日半も何も飲まず食わずではそう持たないだろう況しては脱水症状もある者が多いのだ。そこで騎士爵側は、数百人の為に大きなバケツに水を入れて置いた。パンも数百個も置いていた。

手足を縛られても蛇のように床をはい水とパンを求めて皆が動いている。まるで芋虫が動いているようであった。




洗われた貴族達は、皆裸であった。それは来ていた服が糞尿で汚れてしまった事で誰も着る者がいなかったためである。裸の方がまだましであったのだろう(南は暖かい)。捕らえた者達はそんなことは全く気にすることなく一人一人別の場所に連れて行っている。数十分に一人また一人と連れて行かれると残された者達の不安が増大していく。何をされているのかを自分で想像してしまっているのだ。


そんな状態がもう半日となる頃等々公爵の番がやってきた。これはワザと公爵を最後にしたというよりは、前から連れ出していたことで最後になっていただけであった。


裸の公爵は、男爵の館内の一つの部屋へと連れられてきた。そこには騎士爵と数人の騎士達が待っていた。

此処で公爵は、まだ交渉で何とかなると思っていた。話をするためにこの部屋に連れてきたのだ、何か目的がある事は誰にでも分かっている。公爵は腐っても派閥の長である。交渉はお手の物である。


騎士爵は相手が公爵であろうと男爵であろうと変わりはなかった。騎士爵は公爵に爵位の譲渡と領地の譲渡をする書類を出した。そしてサインをしろと迫ったのだ。勿論公爵は拒否をした。だが拒否をすると殴られ蹴られる。そして又サインを迫るが、公爵は拒否をする。又殴られ蹴られていく。それが永遠と続く錯覚にとらわれて公爵は泣きながらサインをしてしまった。

公爵はそこでやっと解放されるが別の部屋で水とパンを与えられてまた放置された。


そんな状況で貴族達が絶える事等出来ないだろう。全ての貴族達は爵位と領地譲渡のサインをしてしまっていた。

酷い話しであるが、騎士爵側から見れば6000の兵で嬲り殺しに来た者達である。殺しても殺したりない者達なのだ。



公爵の派閥も全ての者達が参加した訳ではない。ジョニーに勧誘させていた者達はこの軍行に参加していなかった。その者達はまだこの異変に気付いていなかっが、派閥各地の領地に多くの兵たちが押し寄せた事で異常事態であることが解った。

公爵領に兵が突然現れて公爵領の重要な施設等が占領されてしまった。現れた兵士や騎士たちは、領内にいる重要人物たちを次々と拘束していった。

それは公爵領だけではなくサインしてしまった貴族領すべてで行われていた。同時に現れた事でかなりの兵力がある事が分かる。


この事実でアルたちは一旦静観とした。貴族領に現れた兵力は少なくとも数万はいる。たかが騎士爵一人で、行動できる人数ではない事が分かったからである。誰かが後ろで操っているのか、何処かと同盟を結び兵を連れて来たのかを調べてからでなければ対応が出来なかったのだ。


騎士爵側からの声明などが無いために噂だけが広まっている。

公爵の派閥の80%を領地とした騎士爵は、この領内にも籠り外へ出る事は無かった。隣地の貴族達もかなり警戒しているが、領内から出てこない事で落ち着きを取り戻していく。



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