305話 デスーズ軍対マーカス・ブラジリ軍
アルたちは今空を飛んでいる。巨大な貨物船の形をした空飛ぶ船で移動中である。目的は勿論南の海岸沿いの攻略のためである。
南の海岸沿いには大きな港や都市と言える街や多くの資源もあり、かなり賑わっている。
元ローマン帝国内でも反映している地域である。
真面に戦闘となれば民に甚大な被害が出る事は分かっている為に、アルたちは早期に決着を詰めるために、目立つように行動している。敵対派閥の者達もデスーズ派閥の進軍情報が届いているようで兵を募り領堺で待ち構えている。
カイン「なぁ、アル今回の戦いは強いやついるかな。」
アル「予想ですけどいると思いますよ。」
カイン「おーそうだよな。ウシウシイヒヒヒ。」
アル「今回は正面からの戦いとなりますから向こうも全力を出してくるでしょう。強者も集めているようですから期待できると思いますよ。それよりも強者にたどり着く事の方が大変かもしれませんよ、向こうの派閥はかなりの人数を集めているでしょうからね。」
カイン「へへへへそんな事か、問題ないな。」
そんなアルとカインの会話が終わり目的地に到着した。アルのパラシュート訓練が実を結ぶことなく空飛ぶタンカーは問題なく着陸する事が出来ていた。
空飛ぶ船が着陸する姿を敵派閥の長は黙って見つめている。この男の名はマーカス・ブラジリ侯爵だ。
マーカス侯爵はかなりの強者と言われている。海の男という風貌もあるが大柄でいかにも強そうな感じがしている。
マーカス軍は派閥の者達が集結している事もあり3万もの兵がいる。対するデスーズ軍は、巨大タンカーで輸送してとはいえ5000人しかいない。マーカス軍の6分の1の戦力となる。
マーカスも一つの不安が解消された事で顔がにやけている。マーカスが恐れていたことはデスーズ軍の兵力であった。同数或いは3万以上の兵を連れてきた場合は、対応を変えなければならなった。それはこのマーカスが領地を大事にしてる事もありデスーズが大軍で来た場合には、いくら戦闘で勝っても逃げる兵が出てくる逃げた兵士たちは村や町を襲い盗賊となる者も居るのだ。マーカスはその事を恐れていたのであった。
だがマーカスの考えがデスーズ軍が布陣すると考えを改めていた。
デスーズ軍の5000の兵たちの力量が対峙したことではっきりと分かったのだ。
マーカス「拙いな。」
騎士「閣下どういたしましたか。」
マーカス「良いか全軍に通達しろ。敵一人に対して5人で囲め、1対1では絶対に戦うな。」
騎士「ま、まさかそれ程の強者なのですか。」
マーカス「分からないか、いいか絶対に1対1になるな。」
騎士「・・・・・」
アル達
カイン「おーーーっ、強そうなやつがいるな。」
アル「カイン兄、後で戦えますから今は集団戦ですからね。」
カイン「分かっているよ。」
布陣の終わった両軍は距離1000M離れている、最初に動き出したのはマーカス軍であった。マーカス軍は3万の兵を6つに分けている。中央と左右に二列で6つに別れ最初に動いた部隊は1列目の左右の部隊であった。この部隊は徒歩の部隊でデスーズ軍に向って大声をあげながら走ってい行く。対してデスーズ軍は待ち構える構えを取っている。
5000の兵は1000が5つに別れ布陣していた。敵5000が二組となる為にヒローは1000人部隊二つを少し前進させ対応するようだ。
5000と1000の兵が接触し戦闘になったがデスーズ軍が圧倒する事は無かった。いつもならば一瞬で敵をなぎ倒し干渉するのだが今回は違っていた。
マーカスが5人一組と徹底させたことでデスーズ兵に対して優勢に戦いを進めていたからだ。焦ったヒローは1000に兵を二つに別けて援軍として送り出した。
その動きに合わせてマーカスも5000の兵を二つに別けて対応していく。そして中央の5000の兵を前進させていた。
ヒローは前進してくる5000に対して1000の兵で対応させていく。
これでヒローは予備兵力1000となっていた。対するマーカスはまだ10000の兵を残していた。
マーカスはデスーズの予備兵力を出させるために5000の兵を動かす。時計回りに戦場を迂回させてデスーズの後背を突かせるためであった。そんな見え見えの作戦でもヒローは対応しなければならなかった後ろに回り込もうとする5000に残りの兵力500を差し向ける事になってしまった。
もうヒローの元には500の兵しか残っていない。
アルは今回の戦いに参加しているが指揮はヒローがとっている。戦闘に負けてもアルとカインなら負けを逆転できるからだ。ヒローには将として経験を積ませることも重要となっている為に今回は全てヒローの支持で動いている。
カイン「これ拙くないか。」
アル「ヒローはよくやっているけど敵の方が上手だね。」
カイン「俺は出なくていいのかな。」
アル「もし負けたら殿だね。」
カイン「おーーいいなそれ、そこから敵将を討つかな。」
アル「派閥の長はかなり強いらしいよ。魔力もかなり強いねここからでもはっきりわかるよ。」
カイン「応、あれだよないいね、戦いたいねー。」
そんな平和そうな会話をしているアルとカインであったが、その横では必死なヒローの姿があった。
デスーズ軍は5倍の敵に対して善戦している。一人一人の兵の力はデスーズ軍の方が強いだろう。だが集団戦という連携は全くできていなかった。即席軍の弱みが露呈した形となっていた。
死者は両軍とも少ないが皆傷を負っている。1対5の戦いが至る所で繰り広げられている。
そんな戦いの均衡が破られた。デスーズ軍の後背に回り込もうとしたマーカス軍5000がデスーズ軍500を突破したのだ。デスーズの500は決して弱くはない。寧ろデスーズ軍内でも強者といっちょいだろう。それが突破されてしまった事で残りの予備兵500が後背の兵に向っていく。
これでヒローの手持ちの兵は無くなってしまった。どこかの集団が破れてしまえば負けが確定してしまう。祈るようにヒローは戦場を見つめている。
そしてヒローは、アルとカインに対して本陣を頼むといって後背の敵軍に向おうとしていた。
アル「ヒロー、やめとけ。」
ヒロー「・・・・・ですが。」
アル「このままなら確実に負ける。今デスーズ軍の大将が動けば敵も動くだろう。ここは撤退したほうがいいぞ。もう少しで後方が崩れるだろう。そこを救援する形で突破していけ逃げろ。後は任せておけ。」
ヒロー「・・・・・第3案になりますか。」
アル「そうなるな。まぁ今回は勉強と思えよ。全て勝つことは出来ないんだ。その事が分かっただけでもいい勉強になっただろう。」
ヒロー「はいそうですね。」




