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俺死んだのか、2回目の人生始まる。  作者: 只野人
2章 激動の時代
301/308

301話 カイン無双

ローマン南の争いは混迷を深めていた。

南には、4つの派閥が存在している。大きな派閥は3つあり、その一つはデスーズ男爵が所属していた派閥である。この派閥は先日まで実質南のトップであったが、デスーズ男爵との争いで派閥の領主たちが全て負けたために貴族達が派閥を離れて派閥崩壊の危機になっている。そこで何とか派閥を立て直そうとしている。そして争いの元であるデスーズ男爵を滅ぼさなければ生き残る事は出来ないと考え派閥の長は急ぎ兵を集めている所である。


そして派閥の長は何とか10000の兵を集めたが、かなり渋い顔になっている。それはそうだろう10000しか兵が集らなかったのだ。南は人口も多く産業もありかなり裕福であり各貴族領主たちは多くの兵士を抱えている。それが兵10000しかこの場に居ないのだ。文句の一つや二つは出てくるだろう。

不機嫌な派閥の長に貴族達は言い訳を始める。

領地を守りを固めている。領地に兵がいなければ攻められる。領地に偵察隊が侵入しているなど色々な言い訳が飛び交っていた。

怒る派閥の長を貴族達はかなり冷ややかな目で見ている。それもそうだろう元はと言えばこの派閥の長が原因で今のデスーズとの争いとなっているのだから。


元デスーズ伯爵はこの派閥のNO2でありかなりの実力者であった。ローマン帝国が崩壊直前に次期派閥の長と目されるほどであった。焦りを感じた派閥の長はデスーズを罠に嵌めて自分の基盤を強化したのだ。


そんな恨みがデスーズにあり、派閥が攻撃対象となってしまう事は仕方のない事であった。狙われた貴族は、敵認定されている者ばかりであり、領地拡大と復讐が両立された形となっている。



派閥は10000の兵を率いて男爵領を目指すが、男爵領に入る前にデスーズ男爵軍と対峙する事となった。デスーズは自領での戦闘を嫌ったからだ。


デスーズ男爵軍は領内の守りもあり連れてきている兵士は4000余りである。対する派閥は10000であり、単純に見れば派閥に軍配が挙がるだろう。だがデスーズ軍にはフェアネス傭兵団とカイン達がいる。

そして何故かカインが指揮を取っていた。

これには少し理由があった。デスーズ男爵は出陣しようとしたが、突然体調を崩してしまった。そこで嫡男が出陣となるのだが、今のデスーズ男爵領は急速に広がった事で嫡男が領地を抜けると回らなくなってしまうのだ。金魚の糞のように付いてくる次男と三男もいるのだが使い物にならない。


仕えない次男、三男を目の届かないところに置いておくことも出来ないために嫡男の監視となりこれもまた領内にとどめる事になった。残りは庶子であったがカインに指揮権を譲ってしまった。

庶子の言い訳としてはカインの方が戦闘敬遠も実力も上であり、勝つためにはカイン殿が必要だからという。

気分の良くなったカインは庶子を舎弟と呼び可愛がっていた。


そしてカインは敵1万の前で演説をしている。


カイン「よく聞けよ。お前らに選ばせてやるぞ。今すぐ逃るか、降伏するかだな。」

派閥の長「何を言っているんだ。この戦力差がまだ分からんのか。数も数えられない者など相手もならんな。」

カイン「ん、おいそこの大将、一人対10000で戦うとどちらが勝つと思う。」

派閥の長はカインの事をこいつ何言っているんだと馬鹿にする。

派閥の長「フン、馬鹿に何を言っても分かるまい。足し算も引き算も出来んバカには相手に出来んな。もうよいかかれーーー。」


派閥の長は全軍に攻撃命令を出す。10000の兵たちは男爵軍をめざし前進していく。対するカインは指示を出していない。

カインはニヤリと笑いながら「全員待機だぁぁぁぁぁ」と言い放つとカインは10000の敵に向って走り出していく。呆気にとられるデスーズ男爵兵達であったが、寡兵という事もあり多くの兵士たちが安堵していた。

だがデスーズ男爵軍の中から200ほどの兵士たちが最前線に出てきていた。フェアネス傭兵団のものたちである。プラスカインの連れたちであった。

カインの戦闘が始まると傭兵団たちは敵を逃がさないように囲んでいく。傭兵団の者達もかなりの戦闘能力があり、一騎当百の実力者たちである。


そんな生暖かい目で見られているカインはかなりのご機嫌である。周りは敵敵敵である。剣を振り回せば敵に当たる。これほど幸せな事は無いだろう。

ウキウキしながら敵を倒していくカインは派閥から見れば悪魔が暴れているような感じだろう。囲もうとしても剣の一振りで囲みを突破され、強者が対峙しても一振りで殺されてしまっている。

カインの姿は敵にしてみれば恐怖でしかなかった。


そしてカインが1000人程を倒した頃、残りの9000余りが恐怖で逃げ出してしまった。

余りにも強すぎるカインに兵士たちは耐える事が出来なかった。

戦上に残こされてしまった派閥の幹部と騎士たちは皆顔が引きつっている。今まで戦え敵は一人だと激を飛ばしていた者達だ。それが自分が戦う事になってしまったのだ。他人の命は軽いが自分の命は大切にしたいもの達である。逃げ腰となってしまう事は仕方のない事だろう。


カイン「逃げたかもう少し骨のある奴をそろえろよ。」

カインは敵に向って文句を言い放っている。


派閥の長「き、休戦だ。我らは撤退する。」

カイン「何言ってんだ今は戦闘中だ。休戦などない。負けを認めて捕虜になるか、戦って死ぬか選べ。」


派閥の長は、どう答えたらよいのかが分からなかった。今まで負けた事が無かったのだ。

その為に返事が遅れてしまった。その合間に多くの貴族達が降伏していく。

そして派閥の長というプライドがある為に負ける事を良しと出来なかった。

カインに対して剣を抜き斬りかかっていた。カインは其れを余裕で受け止め、逆に殴り飛ばしていた。殴り飛ばされた派閥の長は数メートルも吹っ飛び地面を二度三度バウンドして転がっていた。

駆け寄る家臣たちが長を起こすと顔が陥没していた。だがまだ生きている事で家臣たちは安堵していた。

もう戦う事が出来ないと悟っていた家臣たちは降伏をしていく。


カイン「まぁいいか、一言いっておくぞ。デスーズ男爵に恭順するか、滅びるかを選んどけ。」




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