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俺死んだのか、2回目の人生始まる。  作者: 只野人
1章 2回目の始まり
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3話 肉が美味い

翌日


アルと仲間たちは森の中にいた。



「今日も肉食べれるかなー。」

「トム、そう毎日は無理よー。」

「アスカ、そんなことないよ。罠の仕掛けを数か所設置すれば毎日肉が食べれるよ。」


このアルの一言で子供たちが歓声をあげる。


「ホント、本当なのアル。」



アルの考えた罠は森の中に檻を作り餌を撒き獲物を誘い出し竹槍などで仕留める方法である。子供の力ではかなり無理があるが、そこは工夫していた。



そして罠の場所に子供たちは着いたが、獲物はいなかった。

みんなが落胆している。


「みんな、もう一つ罠を作るよーー。」


「「「「はーーい。」」」」


アル指揮の元で新しい罠が作成されていく。

そこに父であるレビンと大人たちがやってくる。


「アル来たぞ。」


「あっ父上ぇー。」

嬉しそうにアルが答える。


アルは罠の作り方などを大人たちに説明していく。


「最後はこの石で殴るんだよ。」


アルの話を聞いていた大人たちはドン引きだった。檻の外から竹槍でチクチクされ、隙間から縄や木に縛られた大きめの石で殴られる。撲殺されるのだ。本来の狩りは狩るものと狩られる者との真剣勝負である。剣や槍での一騎打ちのようなものである。それを囲って撲殺である。


大人たちと違い。力の弱い子供たちは肉を食べるために真剣に考えた結果が今回の罠である。

最初はウサギなどの小さい獲物であった。その実験を元に今回のような大きな罠に繋がっていたのである。


レビンは感心していた。こんな事、今迄誰も考え付かなかったのだ。10歳前後の子供たちが集まりイノシシを狩る事が出来るのだ。その影響は計り知れない。

力の弱い女子供でも工夫をすれば獲物を捕る事が出来る。狩りの技術がなくとも狩る事が出来るのだ。

狩りとは獲物を探し、気づかれないように近づき仕留める。これはかなりの技術が必要である。

それがなくとも出来るのである。罠という柵で獲物を待っているだけでいいのだ。





そしてこの罠がギルバート領の食生活を劇的に変えていった。



アルから罠を習い森の周りに数十か所設置をした。イノシシやシカなど大物が平均すると1か所か2か所に毎日かかっていた。




そこでまた問題が出てきたのである。村だけでは食べきれなくなってしまった。普通は保存食として干し肉を作り売っていくのだが、ギルバート領にはそれほどの塩の貯えがなかったのだ。




領主であるジークと次期領主であるレビンそして長男のクリストフは塩を仕入れる事にした。



「レビン、クリストフ(長男)カイン(次男)塩湖の町まで行って塩を大量に買い付けろ。」

「父上、金はどうします。」

「フフフ、大丈夫じゃ。今ある全ての干し肉、毛皮、この領の売れる物を持って行け。」

(生活できるだけの物は残しています)


レビンは絶句する。今村で金になりそうなものすべて持って行ってしまったら、冬を越すどころか、明日の生活にも影響を及ぼす。


「父上・・・・」

「お前たちが戻る迄、何とか耐えて見せる。片道馬車で12日滞在で5日、戻りに12日約一月持たせれば村はうまく回っていくのだ。塩があれば干し肉を作り周りの町に売る事が出来る。心配するな、この新干し肉(燻製)は高額で売れる。必ず売れる。」


鼻息荒く熱弁するジークであった。




アルの作りだした燻製は美味しかった。干し肉とは一味も二味も違っていた。



アルの仲間たちは貪欲だった。美味しい物が食べたい。お腹一杯食べたいと創意工夫を重ねていった。

干し肉つくりも子供たちは色々とやっていた。子供の発想は豊かだ。肉も干せば長持ちするならば果物も長持ちするはずだと思い、森にある果実をドライフルーツにしたのだ。


これが又、美味かった。


「あまーい。」

「これ美味っ。」



このドライフルーツを売却するために馬車に積み込むまでに揉めに揉めた。子供と女衆が売る事に大反対したのだ。

だが子供たちと女衆の抵抗虚しく馬車に積み込まれていった。



「た食べ物の恨みは100年つづくぞー。」


ボコッ「いい加減にしろ。」


「うっじいちゃん。」

「アルお前は領主の一族だ。村の将来や。領民の生活の責任を持たなければならい立場だ。今回の燻製やドライフルーツは領地の未来がかかっているんだ。今回は我慢してくれ。」

「じいちゃん、分かっているんだ。だけどあの甘いドライフルーツの味が…ゴクリ。」

「・・・・・ゴクッ。」じいちゃんも





馬車が出発した翌日、又子供たちが集まっていた。


「アル、森に入って果実を集めるか。」

「そうだね。まだ取りこぼした果実が有るはずだしね。」


ギルバート領の周りの山々には魔物がほとんどいないその為に子供たちだけでも森の中に入る事が出来るのだ。もちろん山の浅い場所かけだ。奥深くには狂暴な獣が生息している。



子供たちは背負い籠を背負い森に消えていった。

森に入ってから3時間、子供たちは籠一杯に果実を重そうに抱えていた。皆笑顔であった。


「デヘヘヘ、これでまたドライフルーツが喰えるな。」

「ホント、美味しいよね。」

「母ちゃんに取られるぞ。」

「それは仕方ないよ。一番強いのは母ちゃんだもん。」


「「「「うんうん。」」」」


流石子供たちである。一番の権力者を把握している。男尊女卑のこの世界でも家庭内は母が一番強いのであった。




アルの家で、その日の夕食は普通であった。雑穀米に鳥肉と野菜の炒め物である。

「にいちゃ、美味しいね。」

「サリー、この鳥はホロホロ鳥っていうんだよ。柔らかくて美味しいだろう。」

サリーはギルバート家のアイドルである。サリー3歳(三女)


祖母と母も食事後の果物を狙っている。アルの取ってきた果実はまだドライフルーツになっていない。そのまま果実なのである。

サリーは一粒のブドウを小さな口に放り込む。

「おいちーーーーっ。」


この言葉を聞いてしまっては祖母と母ももう我慢が出来ない。


「ホント美味しいわねー。」

「美味しいわ。」


アルも手を伸ばしたかった。だが出来なかった。今日のギルバート家は女性優先となっていた。

領主であるジーンがドライフルーツをすべて売却の為に取り上げた為にギルバート家では男の発言権が無くなっていたのである。

見てるだけーっとなっていた。


「じいちゃん。うらむぞ。」

「・・・・・・ゴクリ。」じいちゃん


こうして女性たちは楽しい夕食を終た。

男たちは、なぜか悶々としていた。



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