296話 野望に燃える者
リーフ王国
陛下「ロング帝国の調査書はこれか。」
宰相「はいさようです。」
陛下「困ったものだな、今更大陸統一の夢を見ているとはな。」
宰相「ロング帝国の悲願なのでしょう。大国と言われながらローマン帝国と比べられ2等帝国などと言われていましたから。」
陛下「ロング帝国は1等国のさらに上だと思うのだがな。ハー。」
宰相「左様ですな。帝国民は豊かな暮らしをしています。ですが貴族達のプライドと野望で崩れ去ろうとしているようです。」
陛下「皇帝が軟禁されているという噂は本当のようだな。」
宰相「はい、この3か月の間皇帝を見た者がいません。宰相も同じです。」
陛下「まさかロング帝国の貴族がそこまでやるかな、別の誰かが動いている可能性もあるな。」
宰相「今のところ調査中ですが、ロング帝国内でもかなりの実力者でなければこれ程の画策も成功しないと思われます。」
陛下「そうだな。・・・・ロング帝国との国堺は兵を増強しておけ。」
宰相「はい。」
ロング帝国
??「ギルバートは避けるのだ。絶対に戦うな。今は力をつけなければならない。」
貴族「はっ分かっております。」
??「ギルバートの影響のない国と場所を全て占領せよ。」
貴族「もう軍を差し向けておりますので数日後には良い報告が出来ます。」
??「宜しい。皇帝や宰相などはまだ殺すな。使い道があるからな。」
貴族「了解しております。地下に閉じ込めておりますので問題はありません。」
??「くくくっ、ローマン帝国が消滅してくれてありがたい事だ。くくくっ、これでロング帝国の大陸統一が進むだろう。」
ギルバート家
ジーク「レビンよ、この報告書は真実なのだろうな。」
レビン「残念ですが真実です。」
ジーク「信じられんな、本当にこんなことが起きるのか。」
レビン「私も信じがたいですが、調査員たちの報告を繋げるとそうなります。」
クリス「父上、ギルバト家としてどのような対応をしますか。」
レビン「最悪はギルバートは完全独立する事になるだろうな。」
クリス「リーフ王国は納得しますか。」
ジーク「するだろうな。リーフ王は、先の見えるお方だ、クリスの子供たちはリーフ王国の王族の血を受け継いでいる。血を残すためにリーフ王国とギルバート家を切り離す事も考えていよう。」
クリス「・・・・・・・・」
レビン「それより各国の動きが活発になってきています。特に北のノースリズ王国の動きがかなり怪しくなっています。」
ジーク「フン、どいつもこいつも浮かれおって、ローマン帝国が消滅してみな野望に火が付いたか。ふん。」
レビン「父上、それは仕方のない事でしょう、この大陸では大陸統一は王達の夢ですから。」
ジーク「レビンは大陸統一する気はないのか、今のギルバートならば可能だろう。」
レビン「私にはありませんな、まぁアルならば大陸統一を考えているかもしれませんが。」
ジーク「・・・・・考えているだろうな。あやつは王国の者達がふがいないと思えばやるだろうな。」
クリス「アルならもう実行してるかもしれませんね。」
レビン「それはないだろ・・・・・あるかもな。」
ジーク「あやつならば一気に動くだろうが、大義名分が無ければ動かんだろう。ギルバートも同じだ。ギルバートは民の為に動く良いな。」
レビン「分かっていますよ父上、今のギルバートの繁栄は民がいてこそです。この安定を崩すことはしません。」
いま世界は動き出していた。ローマン帝国の消滅と再生で各国の野望に火がついている。
これは各国が豊かになり軍事力に力を入れた影響も少しだけある。軍人とは悲しい生き物であるようで戦いの無い軍は批判の的となるようだ。
リーフ王国とギルバートによって大陸の西は平和が続いている。その為に大きな争いもなく各国の貴族と騎士たちは領地を広げる事も昇爵する事も少なくなっていた。そこにローマン帝国の消滅と再生が起こったのだ。貴族や騎士たちはこの動き乗ろうと必死になっている。
ギルバートとは争いたくないが他ならば勝てると多くの者達が思っている。それはスキルオーブの影響であった。王国の多くの者達がスキルを取得している。その為にその力を使いたいと思ってしまう事は必然だろう。戦う者達は強くなった自分を誰かに見せたいのだ。それが愚かな戦争という場所であっても強い自分を見せ称賛されたいと思ってしまう。
大陸の西は混沌となっているが、ギルバートの支配地域だけはいつも通り以上であった。各国がギルバート領を避けている為に、ギルバート領内はいつも以上に賑わっている。感の良い商人たちは戦いに巻き込まれることを恐れて本拠地をギルバート領内に移す者達が多く表れている。それにつられて多くの移住差も又ギルバート領へと移ってきていた。
ギルバート領内もまだまだ領地に余裕がある為に移住者の受け入れは大歓迎である。
各国は民が逃げないように国境を強化しだしていた。徴兵する兵士が居なくなっては戦う前に撒けてしまうからだが、貴族や軍人達は、戦うために増税してしまっていいる者(領主)が多く負のスパイラルにハマってしまった貴族も多くいた。
そんな中、アルは一人で考えていた。
アル(今うちの勢力は世界一だろうな。ここで一気に大陸を統一して力で各国をねじ伏せるか。いいやダメだなそれをやったら、ギルバートが悪者になってしまう。
各国が争い混迷の中ギルバートが助ける形が理想だけど、混迷するまで待てば多くの民が犠牲になってしまうしなこれも駄目だな。
ホントローマン帝国が亡くなっただけでこの騒ぎだもんな、まぁそれも仕方ないよな超巨大国家だったんだもんな、まぁ原因はグレイ族だけど宇宙人だしこの星の外から来た者達だしな。グレイ族を攻めればこの星自体がなくなる可能性もあるしグレイ族には穏便に済ませるしかないよな。
だけどこれからをどうするかだよな、ギルバートは当分動かないとして俺は東ローマンがあるしこの地域を固めるか。もっと東は放置でいいとして中央を繋ぎ留めないとな。
ローマン帝国の南の連中を懐柔していくかな。何個か派閥があったからその一つと繋ぎを取ってそこから広げていくか。
今は大きく動くと貧乏くじ引きそうだしもう少し様子を見ないとな。
ハーーーっ、ホント疲れるよな、こんな生活を続けていると早死にしそうだしやってられないよな。
だけどやらないとな子供たちには争いのない世界で生活してほしいしな。ギルバートが支配すれば争う事は無くなるだろうし、それが一番だと思うけど中々難しいだろうな。各国の王達が納得しないだろうし反発する奴は必ずいるからな、妥当なところだとリーフ王国、ロング帝国、ローマン帝国、と北と南、東で2カ国か3か国ぐらいでまとまれば一番平和が続くかもな。一つの大国だと内部が腐っていくから敵対する者が無いとな。腐敗は必ず起こるしな。
んーーーーー、どうするかな、悩むなーーー。)




