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俺死んだのか、2回目の人生始まる。  作者: 只野人
1章 2回目の始まり
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29話 マーシャル領

マーシャル家からはあれから何も言ってこない。父に報告済みな事もありアルはもう忘れていた。



騎士「アル様、盗賊たちは如何いたしましょうか。」

アル「あーー、忘れていた。まだ牢に入っているんだよね。」

騎士「はい、牢で大人しくしています。」

アル「15人だったかな。犯罪奴隷でいいかな。」

騎士「そのように処理いたします。」



マーシャル家はファースト領とカイン領の西に位置する。領地としては広い方であるが、農作物は余り出来が良くない。街道が領内に通っていることで今まで潤っていた。ラーク領とクレイン領の戦の為にマーシャル領が恩恵を受けていたのだが、ここに来て落ち着いたことで人の流れが変わってしまったのだ。

マーシャル領はこのままでは立ち行かなくなってします。そのために盗賊団や商会にと色々と手を出してしまっていた。


マー「上手くいかんな。」

執事「はい、盗賊はもうできないでしょう。」

マー「商人たちはどうだ。上手くいきそうか。」

執事「2,3の商会は乗り気です。ギルバート領から麦を買わせています。小作人を今用意しておりますので来年には結果が出ます。」

マー「来年か、拙いな。即効性のある案は無いのか。今は金が欲しい。デルト閣下への税が無いのだ。」

執事「デルト様ですか・・・・」

マー「寄り親となってもらっているのだこちらが支えていかなければならんのだ。」

執事「普通は寄り親から援助してもらえるのですが・・・」

マー「今は普通では無いのだ。王都へのロビー活動で金が掛かっているのだ。今は我慢だ。」


マーシャル領は疲弊している。税率7割と高い税の為に領民たちはまともに食べることも出ない。そこへ、盗賊まがいの騎士、兵士たちが貴重な食料を強奪していく。



領内マーシャル


小作人「こ、これだけですか。」

農家「・・・・これでも食べれるだけ幸せなのだ。」


小作人の食事は一日一杯の麦かゆである。一日中は働き水のような粥が一杯であった。子供は死に妻も寝たきりとなってしまった。もう長くないだろう。

小作人は自分の運命を呪う。何故、何故、何故自分だけこんな苦労をしなければならないのか、親が小作人で無ければ、裕福な農家であれば、貴族であればと頭の中をぐるぐると考えが駆け巡る。




数日後

妻「あなた・・・・パンを食べたかった。」




夫「・・・・・・・・・」


この小作人は妻を埋葬する。先に亡くなってしまった二人の子供の隣に埋めていく。


夫「くそー、もうどうでもいい。」


夫は鉈を持ち、主である農家の家に踏み込み皆殺しにした。その夜は農家の食料を腹いっぱいに食べた。翌日は血塗られた鉈を手にフラフラと領主の館に歩いていった。

そして領主館に着くと、兵士に斬りかかった。不意を突かれた兵士は頭を割られ即死であった。それを見た他の兵士たちはビビってしまった。まともに戦えば小作人の一人等、相手にもならなかっただろう。だが小作人の目が尋常では無かった。虚ろで殺気も何もない。何も見えていなようで無表情であった。


兵士「ひっ、」


小作人は一人また一人と殺していく。」


兵士「やめっ、やめ・・」


兵士「たたたしけ・」


小作人は殺しまくった。館では騎士・兵士たちが小作人を囲み包囲したが、皆腰が引けている。小作人は何の感情もないようだ。痛みも感じていない様であった。


騎士が兵士に指示を出す


騎士「殺せ」

兵士「・・・」

騎士「皆で掛かれば殺せる。殺せ」


騎士は戦う事をしなかった。兵士に戦わせようとしていた。


騎士「早くしろー、この愚図どもがー。」


兵士たちは一斉に小作人に斬りかかる。だが切れれても痛みを感じない男に兵士たちはの剣は威力がない。

兵士たちは一人一人と斬られていく。だがそれも十数人を斬った所で小作人は力が尽きてしまう。

眠る様に小作人は倒れていった。


「これで一緒に・・・・」




マー「何たることだー。小作人一人に18人が死んだだと。」

執事「はいこの館に殴り込んで来た小作人一人に18人が斬り殺されました。調べではその小作人の農家の者達も殺されました。」

マー「何故だ、何故農家の者を殺した後この館に来るのだ。」

執事「・・・・・・」


マーシャルは理解していなかった。増税に次ぐ増税で民たちが疲弊してまともに食べることも出来なくなっていることをきちんと理解していなかった。

増税で疲弊していることは分かっていた。だが上位の者達の事しか頭になかった。下位の者達、底辺で生きる者達の事を人として見ていなかった。

人は物を考える事が出来る。少しの自由と食事をきちんと与えていればこの惨劇は起こらなかった。

マーシャルが人として見ていなかったことがこの惨劇を生んでしまった。



この話は領地全体に広がってしまった。殺された兵士の家族が小作人たちを攻撃したためだ。マーシャルもそれを容認してしまった。家族たちの怒りを治めるために小作人たちを生贄とした。

困ったのは農家の者達であった。貴重な小作人を相手かまわずに殺されていく。自分の大事な財産なのだ。小作人たちも黙って殺されるわけには行かない。


兵士側と農家側と対立していく。

戦力的には兵士側である兵士の家族、仲間の兵士と騎士もいる。だが全体の数は圧倒的に農家側が多い。

兵士は一人の小作人を殺そうとすると周りから農家と小作人が集まり、兵士と袋叩きにする。

たまに重傷で生き残りが出たことで農家の犯行と分かると争いが激化していった。


もうマーシャル領内はボロボロになっていた。

農家が農作業が出来なくなった。外に出れば殺されてしまう。農作業など出来るはずもない。だが領主は農作物を要求してくる。今対立している相手に食糧を要求してくるのだ。農家の怒りで激高する。


農家1「殺さなければ、こちらが殺されるぞ。」

農家2「そうだそうだ。ころせーーー。」


兵士「農民が来るぞー。」

兵士2「農民どもが、殺してやる。」

兵士3「殺して食料を、食べる物を奪えー。」

兵士4「商人も同じだー、殺せー「、食べ物を持っているぞー。」

兵士5「そうだ食い物だー、商人の倉庫だー、」



もう誰も止める事は出来い。



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