27話 盗賊団
仮)孤児院が一段落してはいないが、他の仕事も溜まっている。
孤児院は子供部隊と館の侍女・メイドたちが面倒を見ることなった。ほかにも数人雇い入れて何とか回せてる。
アル「他にも問題が起きているのか。」
役人「はい。カイン領内ですが、一部農家がサボタージュしております。」
アル「別に働きたくなければ自分が困るだけだ。問題ないだろう。」
役人「いいえ。その者達は自作農家でしたが実際は孤児や小作人を使い農業を行なっていました。ところが今回の件で孤児が開放されて、小作人が重労働に耐え切れず逃げ出しました。小作人たちはアル領にに逃げて来ました。」
アル「家に逃げてきたのか。それで何でサボタージュなんだ。こちらは何にも困らないだろう。」
役人「困らないと思っていない様です。大切な麦を作っていると思っているんです。今までよほど優遇されていたのでしょう。まるでどこかの王様のような振る舞いだそうです。」
アル「バカなのか。現実が全く見えていないな。放っておけ。放置だ。困るのは自分だと分からせてやれ。」
それからも諸問題を解決していき、ひと段落する。
侍女「アル様、紅茶を入れました。」
アル「ありがとう。丁度休憩しようと思っていたんだ。」
机からソファーに移り紅茶を一口。
「ふー、美味いな。」
侍女「今回、プロがいれました。」
アル「プロ、紅茶を入れる達人でも雇ったのか。」
侍女「いいえ、違います。王都で侍女をしていた者達がこちらに1人来たのです。王都で厳しく指導されたとかで、おかげで私たちも指導されています。」
アル「それはご愁傷様、でも身につく技術だから覚えて損にはならないよ。」
休憩も終わりアルは仕事に戻る。
すると見計らったように役人が入ってくる。
役人「アル様、カイン様より伝令が参っております。」
アル「カイン兄から伝令すぐに通せ。」
伝令「アル様、ご報告いたします。ファースト家よりの依頼でカイン様は盗賊退治に赴きました。運よく盗賊は討伐出来ましたが、その盗賊団がマーシャル家の者達でした。その中にマーシャル家の子が混じっておりました。」
アル「盗賊団はマーシャル家という事なのか。」
伝令「分かりません。カイン様はアル様に此方に来てほしいとの事です。」
アル「分かった。すぐに行く。」
アルはトム達を連れて急ぎ街道へ向かう
そこには、マーシャル家の軍勢がいた。
カイン「おーーー、アルここ、ここだぞー。」
アル「ずいぶん軽いですねー、この状況分かってます。」
カイン「家は何も悪い事はやっていなんだ。盗賊を殲滅しただけだからな。」
アル「父上に報告はちゃんとしてますよね。」
カイン「まだしてない。」
アル「こちらに来る時にギルバート領に伝令は出しました。そのうち来るでしょう。」
カイン「さすがアルだな。それよりマーシャルと話し合いだ。向こうはやる気満々のようだ。」
アル「どうして盗賊をやっていたマーシャル家が乗込んでくるんですか。」
カイン「知らん。」
アルとカインと護衛騎士4名はマーシャル勢とカイン勢の中間地点でマーシャル家当主を迎える
当主「これはこれはギルバートの御二方ですな。マーシャル家当主、マニル・マーシャルです。」
カイン「カイン・フォン・ギルバートだ。」
アル「アルフォード・フォン・ギルバートです。マーシャル家の盗賊団を討伐した所マーシャル殿が出張って来た理由を聞かせてください。」
当主「うちの盗賊団、違いますよ。うちも盗賊団を追っていたんです。」
アル「ほー、あの者達は盗賊ではないという事ですか。」
当主「左様です。あの者達は盗賊ではありません。何故マーシャル家の者達を皆殺しなどしたのでしょうか、盗団を追っていた我が息子も死んだと聞いております。ギルバート家にはそれ相応の賠償を請求しますぞ。」
アルはやっと合点がいった。あーー、金が欲しいのか。皆殺しにされたと何処からか情報が漏れたのだろう。死人に口なし。死人たちを利用して一儲けと考えたんだろうな。
アル「カイン兄、盗賊を連れてきてくれ。」
カイン「おう。」
当主「えっ。」
アル「盗賊30人中15人生きてますよ、怖くなって降参したようです。カイン兄に殴られて全員気絶した所でも見て皆殺しとでも思ったのでしょう。」
当主「・・・・・・・・・」
盗賊「ご当主様ーー、坊ちゃんが、坊ちゃんが・・・無念です。」
当主「・・・・・・・・」
アル「このもの達は村を襲撃中にカインが出くわし討伐したのです。村を襲っていることはカインはじめ多くの騎士や兵が目撃しております。」
盗賊「あーー、当たり前だ、村は俺達の物だ。毎年貢物を治めさせているんだ、今年に入って断ってきやがった。見せしめの為に皆殺しするところだったんだよ。」
アル「俺達の者ですか。それなら盗賊の恰好はおかしいですよ。」
盗賊「あー、そんなもんしら・・・・・」
(盗賊はしまったという表情に変わる)
当主「・・・・・・・」
アル「毎年、村を襲っていたのですね。」
当主「・・・・・・・」
アル「マーシャル家は軍勢を連れてきているようですね。500という所ですか。うちは今150です。500対150で戦でもしてみますか。」
当主「いいえあ、争うために連れているのではありません。私の護衛です。ただの護衛です。」
アル「この盗賊はマーシャル家の者という事ですね。」
当主「いいえ、違います。この盗賊はうちの者達ではありませんでした。勘違いでした。こんな者達は知りません。」
盗賊「そ、そんなー、ご当主、私です。カールです。サンドも生きております。トミーも・・」
当主「知りませんなー、このような奴ら、殺してください。うちの息子は病気で長くはありませんが生きております。似たものが息子を語ったのでしょう。」
アル「そうですか。ではお引き取り下さい。」
当主「行違いがありましたが、当方は争いを好みません。今後は良しなに。」一礼して去っていく。
カイン「嫌な奴だな。あれでは家臣が可哀想だな。」
盗賊「・・・・・・・・・・」
アル「俺達も一度引きましょう。」