267話 バッフル領開発開始
ミールとアルたちがバッフル領に来ている。アルたちはこのバッフル領内を調査しながら来ていた。
アル「ダイクどう思う。」
ダイク「いいですね。土地もかなり広いですし、他国の隣地という事も利点ですね。」
アル「そうだな、これで要塞と連携できればかなり栄えるだろうな。」
ダイク「ええそう思います。要塞は残さなければならないですから、あれ以上の改装は無理ですから。」
アル「まぁあそこはいざという時の軍事拠点だからな仕方がない。」
ダイク「空港と鉄道は出来ますね、後は隣の領地の川ですね。」
アル「大丈夫だろう、かなり疲弊しているようだから、家の代替え地を与えれば喜んで移住してくれるだろう。最悪は要塞の周辺の土地と交換してもいいかな。」
ダイク「流石ギルバート家ですね。領地交換なんて普通じゃないですね。」
アル「うちは頻繁にあるぞ。領地が増えるたびに移動する奴もいるからな。」
ダイク「アハハハハ、家臣も大変ですね。」
アル「お前何言っているんだ、此処が出来たらお前も移動だぞ。」
ダイク「えっ、職場が変わるんですか。」
アル「職場も変わるがバッフル領の隣の領地はお前が領主になるんだよ。」
ダイク「えっえーーーーー。」
そしてアル達一行はバッフル領と隣の領地を調査してからカインの元へとやってきた。
カイン「アル、遅かったな。」
アル「カイン兄、この領地を見ながら来たんですよ。」
カイン「そうなのか、まっいいや。それより紹介するよ。こいつがバッフルの領主だ。」
マルス「バッフル領、領主のマルス・バッフルです。態々起こし頂きありがとうございます。」
アルはマルスの挨拶に答えながらマルスを観察していた。鑑定を使いマルスの能力を見ていたのだ。
カインは称賛するほどの者であることでアルはかなり期待していた。だが飛びぬけて能力が高いと言う程の物ではなかった。普通よりは優秀であるが、この位の能力を持っている者はいるだろうとの思いがあったが、何故カインの感に触れているのか。アルはジッとマルスを見ていく。
マルスの鑑定を見ていると下の所に灰色の字で英雄の卵という文字があった。
普通の鑑定は黒字となっているのだが、この文字だけは灰色となっている。灰色の文字はまだ覚醒前という事になっている。
これがカインの感に引っ掛かった事とアルは一人納得していた。
英雄の卵という事は成長すれば英雄となりこの世界に影響を与える存在となるのだろう。もし敵となればギルバート家にとってかなりの強敵となるのだろう。
アル「マルス子爵、この領地と領民を守る為に頑張っていると聞いているが、今バッフル領で何が出来る。」
マルスはこの質問にすぐに答える事が出来なかった。領地を発展させる構想はあるのだが、如何せん金と人がないのだ。幾ら構想があっても絵に描いた餅でしかない。
マルス「色々と考えています。例えば農作物ですが、品種改良をして耕作面積が同じでも収穫量をあげる事が出来ます。今のバッフルでは農地開拓すらできませんが、品種改良と言ってもまだ種籾の改良までは出来ません、今は肥料を作り作物の収穫をあげるだけしかできません。」
アル「ほー、頭は良さそうだな。農地以外の収益をあげる考えはあるかな。」
マルス「もちろん有ります。だけど今は出来なせん金と人がありませんから。」
アルは交易拠点の話をマルスにしていく。この場所は他国との隣地であり、平坦な事でかなり開発がやり易い事、もし隣の領地の川を使えれば一大交易都市となる事を伝えていく。
マルスはこの話を聞きながら目を輝かせて行った。
アルはマルスとの話をしていくうちにマルスの能力に感心していた。マルスは1を聞いて10を理解していくのだ。そして鑑定をもう一度してみると能力値が上がっていた。鑑定中にも数字が変わっていくのだどれほどの能力を持っているのかアルは興味津々となっていた。
まだ9歳の少年は、今急速に成長していた。多分だがカインと出会う前は今の能力の半分以下だったのだろう。普通の子供より少しだけ優秀な部類であっただけだったのだろう。それがカインと出会い何かの刺激があり、急成長中となっているのだろう。アルは少し研究したいとの欲望があったが今は領地の事を優先しなければならないのだ。マルスには開発後に色々と実験に付き合ってもらう事にしようと考えていた。
アル「マルス子爵、ギルバートが資金を貸そう。好きなようにやってみるといい。バッフル領の交易所はギルバートで開発するから心配はない。それ以外の者は資金を融資する。」
マルス「本当ですか。ありがとうございます。交易所は直ぐに許可書を出します。うちでは運営は人手不足ですからお任せします。ですが領内の事ですから運営利益の15%は税として収めてください。」
アル「アハハハ、流石領主だな。税は15%きちんと支払う。帳簿の提出も提出する。」
マルス「ありがとうございます。これほど話の分かる方は普通いませんね。」
アル「マルス子爵は9才だろう。普通はこんな話の意味すら理解できないぞ。」
マルス「アハハハハ、父が戦死て妹を守らなければなりませんから、子供でも大人にならないといけませんから。」
アル (それが急成長の引き金か・・・)「そうだな家族は守らないとな。ギルバート家はマルス子爵に全面的に協力を約束しよう。」
アルとマルスの話は、トントン拍子に進んでいった。アルの家臣たちは少し不思議に思っている。いつものアルであれば領主の意見など無視してでも開発を行なっていく、事後承諾もしょっちゅうの事であり、事前に資金の融通などすることははっきり言ってしたことが無かったのだ。それが今回だけはマルス子爵に事前相談を行ない。ギルバートが交易所の資金迄出す事を告げている。
少し家臣たちは不思議に思ったが、まぁアルのやる事をいちいち気にしても仕方がないと割り切ってしまった。
そしてケリーがバッフル領に到着すると開発が一気に加速していった。
ケリーは、大量の物資と共に現れ、陣頭指揮を取ってしまった。アルはそんなケリーの指示に従い必死に作業を手伝っていた。
今開発中のバッフル領に、他領から人が集まってきている。特にコルテア王国民から出稼ぎとして人が大量に押し寄せている。貧乏国家となってしまったコルテア王国は、このバッフル領の開発で一息つけると歓迎していた。




