259話 戦闘開始?
アルと家臣たちは、要塞が一望できる丘に来ていたのだが、もう先客がいた。
その先客は、ハマ王国の兵士たちであった。この丘はかなり重要拠点とされている為に、ハマ王国は兵士を配置させていたのだ。アル達はハマ国の兵士たちを縛り上げ一か所に纏めて放置している。
アルたちはカイン達がいつ要塞を攻撃するのかを知らないために早めにこの丘に来たのだが、それが拙かったようで、ハマ王国の兵士を縛り上げ放置したためにこの兵士たちは定期連絡を入れる事が出来なかった。ハマ王国は、連絡の途絶えた丘に兵を送り込んできたのだ。そしてアルたちは又戦闘となり兵士たちを縛り上げていく。アルはハマ王国の兵士たちを殺すつもりがない。只の観戦するために陣取っているだけであり、戦争とは無関係と勝手に思っている為である。
だが相手のハマ王国はそうは取ってはくれないだろう。
見張りの兵士を拘束して作戦の邪魔をし敵対行為とみなされている。まぁ相手が誰なのかは全く分かっていないだろうが、ローマン帝国と思われているとは想像がつく。その為に丘に送り込んだ兵士が帰還しない事で、ハマ王国は丘に又兵を送り込んできた。それも今回は2000人もの兵をこの丘に送り込んできたのだ。
アルたちは、殺さないように戦っている為にかなりの時間を掛けていた。
それでもアルたちの敵にはならない。全員を拘束してしまっていた。
トム「アル、こいつ等どうする。かなりの人数だよ。」
アル「んーーー、どうしよう。このままではいけないよね。んーー、取り敢えず穴掘ってそこに入れときましょう。そうすれば逃げる事も出来ないでしょう。」
アルたちは要塞から見えない位置で大きな穴を掘り、そこに兵士たちを放り込んでいく。
「きゃーややややめてくれーーー。」
「ままままて自分で落ちるから・・いやーーー。」
「あああああーーーー。」
深さ5Mの大きな穴に次々と放り込まれていく兵士たちは、穴に落とされるときに全員が悲鳴を挙げていた。アルたちにしてみれば5Mなんて少しジャンブする感覚でり、悲鳴を出すほどのの高さではないのだが、一般の兵士たちにしてみれば死ぬ高さなのだ。
可哀そうな2千数百名の兵士たちは何とか生きている。水と食料も穴の中に落としている為、当分死ぬ事は無いだろう。
静かになったアルたちは、ワイワイと食事をして待つことになったが、カイン達がいつ来るか分からないために待ちぼうけを喰らっていた。
一方、カイン達は作戦会議を開き、まだ攻撃する日も決まっていない。それはローマン帝国が、要塞を落とした後の準備を行なっている為である。
傭兵たちの作戦成功の確率がかなり高いとローマン帝国は考え、その後の事を話し合っていたのだ。要塞を奪取後の兵士や食糧問題を解決してからなければ飢えて要塞を再び奪還されてしまう恐れがあるからだ。
要塞攻撃は速くとも1週間後となっていた。
そんな事は知らないアルたちは、早く来ないかと待ちわびていたが、アルたちの元に来るのは招かざる客だけであった。ハマ王国が再び兵を丘に送り込んできたのだ。アルたちはまだ拘束していくが、アルはあっこれ拙くないかと思ってしまっていた。
ハマ王国としてはアルたちは敵となっている。そして兵士を拘束しているがハマ王国としては殺されていると考えるだろう。そしてアルたちはハマ王国に対してただの観戦ですとは言えない。もし言ってしまえばカイン達の作戦を台なしどころか、敵対行為になってしまうからである。
アルたちはただハマ王国の兵士を拘束していくしかなかった。
ハマ王国もここまでコケにされては黙っていなかった。
ハマ王国要塞内
将軍「どういう事だ、丘の偵察隊が全滅しただと。」
騎士「はっ、その後に送り込んだ500と2000の兵もいまだ戻りません。」
将軍2「これはローマン帝国の何かの作戦で張りませんか。ここは慎重に対処しなければ。」
将軍「それはすだろうが、3000近い兵が未帰還なのだ、あの丘にローマン帝国の兵が隠れている事は明白だ。ここは1個師団、いいや2個師団を投入して敵を殲滅する。あの丘に何か兵器でも隠しているのだろう。」
騎士「2個師団ですか。そうなるとこの要塞の約半数を投入する事になります。」
将軍2「2個師団か敵の規模が分からないときは最大戦力を投入と決まっている。3個師団を投入して3方向から丘を包囲していく方が良かろう。1個師団でこの要塞を守り、何かあればすぐにもどる事だ出来る位置にあの丘はある。」
将軍「そうだな、要塞から見える位置にあるのだったな。よし3個師団を丘に向わせろ。」
そしてハマ王国の要塞から3個師団の兵士たちが丘に向っていく。アルたちは仕方ないと又ハマ王国の兵士たちを殺さないように拘束をしていくが、今回はかなりの人数の為に時間もかかっていた。その為に要塞に情報が入っていく。
伝令「報告いたします。敵の総数は200未満です。」
将軍「何、200未満だと、ならばもう戦闘は終わっているのだな。」
伝令「それは分かりません。私は将軍からの伝令ですので。」
将軍「・・・そうだな、下がってよいぞ。」
伝令2「報告いたします。敵は約100人規模ですが、かなりの戦闘能力があり。まだ敵を崩すことが出来ません。」
将軍「何、100の敵を殺す事も出来んのか、だが100ならば疲れて動けなくなるだろう。問題あるまい。」
伝令3「報告いたします。敵100をいまだ殲滅できません。」
将軍「あやつらは無能なのか、100人の敵兵を3個師団もいて殺すことが出来んとは処罰ものだな。」
伝令4「報告いたします。わが軍の半数が敵に捕らわれております。」
将軍「はっ、我が軍の半数が殺されたのか(捕らわれた)、何をやっているのだ。師団長を拘束せよ。代わりは副師団長が勤めよ。伝令師団長を此処に連れて来い。いいや待て儂が行くぞ。100の敵に後れを取ったとなればハマ王国の名誉にかかわる。」
要塞の最高司令官であるこの将軍は最低限の兵士を残し兵を連れて丘に向かうが、丘の上で見た光景で将軍は腰を抜かしそうになっていた。
将軍「ななななななんだ、これは・・・・・」
将軍の見た光景は、笑いながらハマ王国の兵士たちを拘束している姿であった。
敵は話しながら戦っている、一方ハマ王国の兵士たちは、殺されないと分かっているのだろう。敵兵を必死に殺そうとしているが、全く相手にされていない。大人と子供の戦いのように軽くあしらわれている。
将軍は何という屈辱だと師団長を集め、激を飛ばしていく。
将軍「今までの兵士は全て拘束されているだと。兵士は命がけで戦え。殺されないと思うな死ぬ気で戦え。」
騎士「はっ。」
この何とも言えない戦闘は延々と続いていく。それはハマ王国の兵士が一人も殺されていないために、ハマ王国は、少し勘違いをしていた。




