242話 ガイアの部族たち
ギルバート家のガイア領地での内政は一言で言えば人手不足である。
そこで家臣たちにはこれ以上無理はさせられないと言う話になったが、出来る限り分家を作ってもらう事には成った。家臣の中ではもう人を割ける限界を超えている家が多数あり、分家を作っても当主と従者一人となるケースが出てきていた。これではどうする事も出ないだろう。
そこで人を使わないシステム作りをアルは行っていた。ゴーレムの進化版と言うべきか機人作成である。
以前に戦った機人までとはいかないが、ある程度は内政や事務仕事が出来るようにしている。
人が指示出すのではなく、自分で考えて行動が出来るようにしているのだ。
ガイア大陸の10分ん1もの領土である。生半可な人数では管理運営など出来るはずがないのだ。人以外の者で賄う事が出来なければ、王国としての運営は出来ないだろう。
アルはクリスと話し合い。王の下に機人(最高級品)と宰相をお置き、その下は各大臣と大臣の部下に機人を2機持たせる。
それだけで大臣の部下100人分は仕事を熟せる事になる。
それだけではなく領土内の貴族達にも量産タイプの機人を貸し出す。管理運営などの仕事をさせていく。機人一人で10人から20人分の仕事を熟せる事で、内政は問題なく行う事が出来るだろう。ギルバート家は戦闘能力は抜群に高いが、書類や内事はかなり弱い傾向がる。機人がその部分を補ってくれることで領主や軍人たちは戦いに専念できると言う事になる。これはギルバート内で大歓迎されていく。
自分を鍛える事と戦う事しか考えない脳筋家臣が多いギルバート家では貴重な内政官たちをこれ以上仕事漬けでボロボロにしたくないと考えている。
毎日目に隈を作り死にそうな表情で仕事をしている内政官や役人達には、家臣一同皆が頭が上がらないのであった。
そしてガイア大陸内で、魔道具職人の抱え込みがで争いにもなっていた。ガイア王国の魔道具は他の大陸より100年は進んでいると言われている。
アルは軍港占領時に魔道具職人たちの確保もしていた。特に船舶の動力を作れる職人たちの確保は重要であった。
船舶以外にも、コンロや冷蔵庫、冷凍庫、エアコン、洗濯機と生活に欠かせない魔道具があり、これだけでも国として運営できる利益が確保できるだろう。
他の家にも達も魔道具職人確保に躍起になっている。
そんな職人たちもアルは機人を派遣している。貴人に魔道具作りを何れ作らせるためである。機人は魔道具職人の技を盗ませて誰でも作れるようにしたいのだ。秘密主義である魔道具職人たちは、国家運営上うまく付き合っていかなければならないが、あまりに態度が治らなければ排除しなければならなくなる。
そして1,2年のうちに全ての技を盗ませて機人に変わりをさせようとしている。
そんなガイヤギルバート王国は、他の地域と差が開いていく。ガイヤギルバートは、高層ビルこそないが、町は都会となっていく。多くの建物が3階建てか4階建てとなり、上下水道完備の水洗トイレとなり。町の道路も全てが8M以上となり舗装され綺麗でととのった町を造り出していた。
村も2階建ての建物が多くなり、他かの村人の家の2倍になっている。
家族でゆったり暮らせるように工夫がされている。これはアルが作り出した町や村だけで全ての領地ではない、さすがに全てこの仕様にすることは出来ない。ギルバート家家臣団と信用のギルバートからの移住者用に造りだした者用である。
そしてガイア内で功績や思想に問題のない者にも分け与える事にしている。差別では無く区別をしているとアルは説明をしていた。ガイア時代の考えが抜けきれない者が多くいるガイアギルバート王国とガイアリーフ王国では、区別するしか今は方法がないのであった。
ガイアギルバートとは対照的に全く開発と統治が進んでいない場所もある。
82に別れた部族の中で、争いが始まってしまっていたのだ。
争いは別の部族とではなく同じ部族内の争いであった。領地は広いために隣の部族と争う必要なないのは幸いだろう。
この部族には族長などの系譜が途絶えていた。その為に部族内でも話し合いで代表を決めて内政をおこなう事になっていたが、飛びぬけた力がないために他の者達を纏める事が出来なかった。そして部族長を決めるために内乱となってしまっていた。
ギルバート家はこの事実に気付いていたが、いくら仲裁をしても無駄だろうと結論を出していた。部族内ので争いで決着が着くのであればそれで良いと考えていた。外に出なければ問題にしない方針にしていたのである。
部族たちもギルバートの意見を聞き入れた領地外には争いを持ち込まない事を誓約していた。
部族たちはこれで心置きなく、族長を自分たちで決める事が出来ると皆が意気込んでしまっていた。
そして部族内で殺し合いが始まり、4万人いた部族集団が9つに分かれて毎日殺し合いをしている。
4万人いた人口は一月で39000人に減り3カ月後には35000人になっていた。
そして半年後には、32000人にまで減っており、部族内でも問題と成り、残っている3人の部族長候補で話し合いが持たれた。そして3人の部族長候補たちは誰がなっても又争いとなると分かっていた。そこで領地を3つに分けて各々が管理運営を行なう事になった。
3つに分けてもそれなりの広さがあり、人口が5倍、10倍になっても問題はない広さなのだ。
大陸中で新たな国や自治領が建国されていく中で、商人たちも必死になっている。どこの部族に着き利益を上げるのか、何処と敵対していくのかの見極めで忙しい。金のある国や自治領だけではないのだ、商人が金を貸さなければいけない貧乏部族もいる。金行が金を貸したのだが部族内で分け合ってしまった馬鹿な部族もいた。その為に返す金も無くなり、領地が差し押さえとなっている部族たちもいる。
82もあれば考えがどこかぶっ飛んでいる者も2,3人はいるだろう。だがそれに付き合わされる部族たちは溜まったものではないだろう。だがいずれ近いうちに統廃合がなされていく。82は半分以下になるとアルは予想している。そんな予想も半年かからずに当たっていると実感させられていた。