238話 各地で反乱
ガイア王国が荒れている。
ガイア王が一度奴隷となった事で、国内の秩序が崩壊してしまっている。
そしてアルたちが連れ去ってしまった奴隷がいない事で王都全体が薄汚れてきていた。
今迄は奴隷が清掃などをしていた事で清潔を保っていたのだが、奴隷がいなくなり平民たちが自分で清掃をする習慣自体が無く汚れてきていた。生活も奴隷中心の生活であったために様変わりしていた。
そして今はガイア大陸の3か所で反乱が起こっていた。アルが12日間の間に布告した奴隷解放により一時的に奴隷身分の者達が解放せれたことで奴隷たちが武器を取り反乱を起こしたのだ、勿論それを指揮している者はいる。ガリレオ王国の貴族達が反乱の指揮を取っているのだ。ガリレオ王国貴族達は、反乱軍を指揮して王都へ向かう事になっている。大陸全体がガイア王国でるために、地方に強大な貴族が存在しているまずはその貴族を倒さなければならないのだが、ギルバートの支援が約束されている事で、食料や武器が豊富にあり、人さえいれば問題なく倒すことが出来るだろう。
王都と3か所の反乱でガイア王国は揺らいでいる。そして他にも反乱が相次いで起こっていた。
相次いで入る反乱の報告にガイア王国は対応が出来ていないと言うより全く機能していなかった。軍港への兵派遣で兵士がいなくなっていたのである。今は王都を守るだけの兵しかおらず、地方への派遣など出来ない状態となっている。
その為に反乱軍は勢いを増している、小さな貴族領などは反乱軍に飲み込まれ消滅していた。
そんな中でガイア王国貴族も独立の動きを見せている。地方を束ねているもの達が、ガイア王が弱った事で自分たちが取って代わろうとしているようだ。
だがそんな簡単な話ではなかった、アルたちによるガイア大陸空爆が各地に与えている影響はでかい。アルの支配する軍港と他3か所以外の大きな港は全て破壊されている為に外国からの輸入が出来なくなっている。そして奴隷がいない事で畑の世話をする者達がいないために、食料不足が発生するだろう。その事にいち早く気づいた者達は、他の領地から奪っているようであった。
奴隷がいなくなったことで新たに奴隷とされた者もいる。争いに敗れた領地の民が奴隷とされ働かされている。この方法は各地に広がり、領主たちの奴隷獲得の手段となっている。
もうガイア大陸は群雄割拠の事態に入っていっていたが、ガイア王国は、王都を中心にして国の体型だけは維持している。それはアルの支配している軍港があっての事であった。この軍港がある為に周辺では争いが起こっていない。その為にガイア王国の民たちは、少し誤解をしてしまっている。
誤解をしている者達は民たちだけではない城内の者達も大きな勘違いをしていた。大陸中が争いとなっている中で城内では権力闘争が起こっている。奴隷王を退位させ、新たな王を担ぎ上げようと画策しているのだ。
王の子供たちで争っていた。
王の子供と言っても皆幼子ばかりである。王と一緒に奴隷とされた子供たちは除外されている。王位を継いでもまた退位騒動となるからである。
城内にいたために奴隷とされた多くの貴族達も当主が変わっていた。この者達の多くは家に帰ったところを家族たちに幽閉され強制的に代替わりが行われていた。そしてそのも達はガイア王を変えようと動いている。
そんな状況で大陸中の争いに目を向ける者はいない。城内では誰の下に着くのかで争っているのだ、追い落とされないようにガイア王も必死だ。王は、ガリレオ王国で手に入れたスキルオーブを使用した。身体強化、剣、槍、弓、鱗の盾、防御のスキルであった。王は城内で最強となっていた。
流石にまだ慣れないためにパワードスーツを装着した騎士などには手こずるが、負ける事は無かった。慣れてきている事もあり段々と強さに磨きが掛かってきている。
ガイア王は、王位を簒奪しようとしているもの達を殺しまくっていた。その為に城内は機能停止状態となってしまい、政治機能は完全にとまっている。何しろ現状内政の仕事をしているもの達を殺してしまってい、新たに補充する事をしていない。
そんな中アルは、ガイア王国から引き連れていった奴隷たちに新たな居場所を提供していた。この地では元奴隷となってしまっては生きる事が大変である。そこで奴隷だけの地域を作り出していた。
元奴隷だけであれば差別しようがないと考え、人のいなくなった地域に送り込んでいた。
元奴隷の中には別大陸で奴隷となっていた者も多く、元貴族も混じっていた。
その者達に指揮をさせ、領地としてまとめさせている。ガイア王国の奴隷の多くが奴隷牧場と言われる場所の出身であり、読み書きも出来ない者が多いのだ。逆らう事を知らず、命令に従う事しかしないもの達である。感情も希薄で言葉もほとんど発する事をしない。アルも何とかしようとしていたが、この者達は、奴隷として生み出さている事で、長い時間を掛けなければ解決しないと結論を出したのだ。その為に奴隷だけの場所で少しずつ教育を施すことになっていた。
当分の間は指導できるもの達に領地を運営してもらい。教育も任せるようにしていく。
奴隷たちの人口も多いためにアルは数か所の元奴隷たちの領地を作り出していた。幸いに軍港近辺は逃げ出した者達が多く、町や村の空き地が多くあったのだ。
そんな中元奴隷の一人がアルに面会を求めて来た。
その元奴隷は、別大陸で奴隷となりガイア王国に連れてこられていた者である。
この元奴隷は別大陸(故郷)に帰りたいと訴えてきていた。アルとしても別に引き留める事はせず、許可を出したのだが帰る手立てが無いために相談に来たようだ。
アルとしては好きにすればいいと思うが何をやってやるつもりはない。船にでも雇ってもらい自分で帰ればいいだけなのだ。この軍港には今多くの外国からの船舶が停泊している。ガイア王国で少なくなった港であり、確実に金になる場所であった。
軍港には本国からの品に加え、このガイア王国からも多くの者が運び込まれている。そして水と食料の補充が出来るこの軍港はこの近辺で唯一のオアシスとなっているのだ。