235話 拠点
ガイア大陸(王国)内の軍港を占拠したアルたちは、陸側の出入り口を封鎖して防衛拠点を構築していく。
ワイバーンでの上空警戒は勿論、各地にゴーレムを配置して侵入を許さない。
軍港を含め町自体を取り込んだ為に多くの一般人も捕虜としてしまったが、元がガイア王国でる事で気にしない事にしていた。
町には常時兵士を巡回させて問題が起らないようにしていく。そして町の代表者と名乗る数人がアルを訪ねてきていた。
アルは町ともめる事はしたくはないので取りあえずは話しを聞く事にした。
代表者「私は、軍港の町の代官を務めています。セルロ・クレインと申します。ガイア王国より男爵位を賜っております。」
アル「ようこそ、アルフォード・ギルバートだ。」
代表者「早速ですが、軍港を占領したついでに町も占領したように思われます。どうでしょうか町は解放していただけないでしょうか。」
アル「はぁ、お前何言ってんだ。そんなことする訳ないだろう。」
代表者「其処を何とかお願いできないでしょうか。解放していただければ私どもから・・」
代表者は、アルにスッと目録と金を差し出す。
アルはその目録を一瞥すると目録を秘書官に渡す。
アル「こいつらを捕らえろ。」
代表者「ななななっ、、」
アル「お前たちは勘違いをしているようだから教えとくが、俺たちはガイア王国を滅ぼしにきたのだ、お前たちと仲良くするために来たのではない。」
アルに差し出された目録には、金貨1000枚、屋敷と奴隷10人と書かれていた。
この者達は、全く理解していないのだろう。ガイア王国と戦争しているという意識が全く感じられない。アルの事をガイア王国の高級官僚とでも勘違いをしているとしか思えなかった。
アルは町の調査をさせる事にした、奴隷10人と書かれていたことで多くの奴隷がこの町にいる事が分かる。奴隷を集めて色々と確認をすることにしたのだ。
その後の調査で、軍港の町は軍人達をもてなす目的で造られ、町全体もかなり大きく約2万人が暮らしている。その中でも娯楽施設はかなり充実していた。
その2万人の中に奴隷と言われる者達が4000人もいた。その4000人の内娼婦とされている者達は2000人、その他は、町の人々の奴隷であった。
ガイア王国は、王を頂点に王族、貴族、上級平民、平民、下民、奴隷となっている。貴族内でも公爵、侯爵、辺境伯、伯爵、子爵、男爵、準男爵、士爵となり準貴族として騎士と役人がいる。
上級平民は、村長や大きな商家などで平民は税を納めているもの達となり下民は税を滞納した事のなる者達と貧民街に住むもの達だ。この税を滞納した者達の場合、1回目は利息のみであるが2回滞納した場合に下民に落とされる。落とされた下民はもう真面な職に就く事が出来なくなってしまう。
ガイア王国では、少しでも階級を階級を上げようと平民は特に進んで税を納めている。平民が上に上がるには税を納める事でしか上に上がる事が出来ないシルテムとなっているようだ。例外として戦争時に武勲をあげると言う物は有るが、武勲を挙げても上官が手柄を持ってい行ってしまうので事実上不可のである。
この町の4000人の奴隷を調査した結果、奴隷の子として生まれたために奴隷となっている者達がほとんどであった。ガイア王国内に奴隷の町があり奴隷を生産していると言う。使い捨ての奴隷たちは物であり人ではないのだ。
アル「この国はおかしいね。」
騎士「かなり歪な国です。考え方もリーフ王国やロング帝国のとは全く違います。賄賂を渡せば何でも通ると思っています。」
アル「その様だな、敵に賄賂渡して助かると思っているもの不思議だよ。」
騎士「普通は取り上げられて終わりです。」
アル「戦争していると言う意識が薄いんだな。勝つことしか知らないのだろう。ガイア王国は建国以来一度も攻め込まれた事がないようだな。」
騎士「はいそのようです。大陸を支配していますから。」
占領後もガイア王国が偵察に来るが全て撃退していく。
アル以外の拠点も構築に成功したようで、ワイバーンによる連絡も取れるようになっていた。ガイア王国の動きは遅く、国が広いためかアルの拠点以外は偵察も何もないようだ。
軍港の拠点はガイア王都が近いためにかなりの頻度で偵察が来ていた。時には威力偵察も行ってきている。
近々ガイア王国からの大攻勢が予想される。
アルの予想通りに海と陸からガイア王国が攻めて来た。海からは軍艦30隻が港を包囲して逃げれないようにしている。陸は10万もの兵たちが町を囲んでいた。
兵の損耗をしたくないために今回はドラゴンたちに活躍してもらう。マジックたちに10万の兵を蹴散らしてもらう。ドラゴンたちは嬉しそうに飛び発ち10万の兵の中に飛び込んでいた。ガイア兵たちは溜まったものではない。突然ドラゴンが飛び込んできたのだ、そして踏み潰されていく。踏みつぶされて即死ならばまだいいほうだ、犇めき合うガイア兵の中で転んでしまえば仲間である兵たち踏み殺されるのだ。生きたまま何度も何百回と踏まれ苦しみながら死んでいく。
10万人いた兵の半分が殺され半分は逃げていった。
軍港を包囲していた軍艦もワイバーンによって沈めれた。
ガイア王国は、2度軍港の町を攻撃してきたがいずれもドラゴンによって守られていた。
そして、軍港にガイア王国の使者を名乗る者が来た。その使者は、捕虜解放の交渉に来ていた。
使者は一時停戦と捕虜の解放を訴えているがアルとしては何の得にもならない事であり聞く事は無いが、食い下がって交渉をしてくる。アルは少し興味が出てきてその使者に対して何故それ程必死になるのかを問いただすと使者は、自分はガイア王国の者ではなく、船で補給の為にこのガイアに立ち寄ったが、船を人質として取られこの交渉に成功しなければ船を返してもらえないと言う。アルは使者の話を聞いてあきれてしまった。捕虜解放の交渉も自国で行う事が出来ない程なのかと思い使者に告げるが、使者はアルにガイア王国の者が交渉に行けば殺されると思っていると答えて来た。
ガイア王国の高級軍人や貴族達は、自分たちが捕まり奴隷か殺されることをかなり恐れていると言う。下の者が殺されることは問題ないが自分達になると大問題のようだ。
自分たちが今迄やってきたことであるために想像力がかなり偏っている。