232話 王都へ突入
レビンたちが仕入れた情報は、ジークたちの元にも伝えられた。大まかなガイア王国の実態が分かった事で、ある者は怒り、又ある者は悲壮な表情をしていた。
ジークはガリレオ王国王都奪還の指示を出した、強襲を行なう事にしたのだ。
ガリレオ王国民の多少の犠牲は覚悟のうえでの強襲となる。被害の大きくなるワイバーンの空爆は行わないが、地上部隊で力押しで攻める形となる。
そこで問題となったのが、ジークが先頭で出陣すると言い張っていた。カイン達は必至で止めているが全く聞く耳を持ってもらえない。しかもアルに指揮権を渡し、あとは任せたと言いさっさと行ってしまった。
困ったアルは、グリフォンにジークの護衛としてついて行くように指示を出す。
アル自身も戦闘す気満々である事で、実際の指揮する者を探している。ぐるりと見回すとみんなアルと目を合わせようとはしない。みんな戦闘がしたいのだろう。
そしてレイモンドと目が合う、レイモンドは目でアルに(いや無理と)訴えているがアルはにっこりと笑いながら、お前しかいないだろうと言い放つ。
レイモンドはアルには逆らう事が出来ないのだ。ガックリと肩を落として了解と言葉を発していた。
一緒にいたトリックは、レイモンドを見ながら次があるよと言ってレイモンドの方をポンポンとしていた。
アルとトリックは、戦闘準備に入るジークたちが王都の正面から攻め込む為に、アルは反対側の門を攻撃する形になる。アルたちの戦力はアルとトリック、兵士が3000となる。
少ないようだが門を突破するには十分な戦力だろう。
ジークたちの攻撃が始まるとアルたちも攻撃を開始する、アルとトリックは二人で堂々と門へと歩いていく。門の前には肉壁とされているガリレオ王国民たちがアルたちの行く手を阻んでいる。アルはガリレオ王国民に対して手を出さなければ殺さないと告げる。ガリレオ王国民でアルの名は有名であり、実力も分かっている。幾らガイア軍が叫ぼうが誰もアルたちを攻撃する事は無かった。
ガイア軍は、ギルバート家の事を調べていたが、それほどの影響力があるとは思っていなかったようだ。荒唐無稽な話が多く、かなり盛って伝説を作り出していると考えていたようだ。
ガイア軍はアルたちに矢を城壁から放っているが、防御スキルを持つアルたちは全く効き目がない。肉壁になっているガリレオ王国民たちは、必死にアル達から離れようとしている。
門前にたどり着くとアルは剣を取り出し門を斬る、斬る、斬る。3度目で門が開いた。閉じられている門に綺麗な三角形の穴が開いている。
アルとトリックと兵たちはその穴から王都内に入っていく。勿論王都の中にはガイア兵が待ち構えているが、何も問題ないと言う様に普通に入り敵を斬り殺していく。アルたちは防御など一切していない。ガイア兵ぐらいであれば鱗の盾で十分な防御となっていた。その為に剣で斬り殺すだけで済んでいた。
ガイア兵「何なんだこいつら怪物か。」
黙々と斬り殺していくアルたちにガイア兵たちは、顔面蒼白となっていた。パワードスーツを装着したガイア兵は無敵であった。どこの戦場でも敵う者はいなかったのだ。それがこの戦場では通じない。
簡単に斬り殺される事が分かるとアルたちに向かう兵はいなかった。アルが一歩前に出ればガイア兵は一歩後ろに下がっていく。
王都内を進んでいくアルたちに映った王都は悲惨な状況であった。王都民を虐待してであろう跡と吊るされている人たちが見られた。
アルは、3000の兵たちに王都内の制圧を指示する。アルとトリックは城を目指すがそれ以外は王都を制圧させる。
連れて来た3000はギルバートの中でもかなりの強者たちである十分にガイア兵に対抗出来る者達である。
ガイア王国軍幹部たちは、ギルバートが王都を包囲しても何も出来ないと思っていた。ガリレオ王国民を盾てにしていれば攻撃を控え、自分たちは援軍を待っていればいいと考えていたようだが、ギルバートは王都への攻撃を開始したことでかなり焦っていた。ガイア兵は、ガリレオ国内各地拠点に30万もの兵を出している。
それでも王都内にはまだ30万の兵がいる。巨大な王都であるが30万人の兵で守っている簡単に負けるはずがないと思っているが、不安が大きくなっていく。
それはガリレオ王国王都民はそれ以上の人が住んでいるからだ。ガリレオ王国民に対して虐待や暴行など好き勝手にやってきていたのだ、その恨みはかなりの物だろう。ギルバートという味方が来たことで勢いが付くガイア兵を襲う事は十分に考えられる
王都内に侵入したギルバート兵たちはまずは大砲部隊の制圧を開始する。大砲部隊を潰せばワイバーン隊が上空からガイア兵を殺していけるからだ。
幸いに大砲は二つの門に集中的に配置されていた為に制圧か簡単に完了した。
そしてワイバーンたちがガリレオ王国上空で旋回を始めている。このワイバーンの上空旋回が始まるとガイア兵たちは、逃げまどうがガリレオ王国民たち寄ってすぐに見つけられ道端に追いやられる。そしてワイバーンに殺されていく。王都民の怒りはすさまじくガイア兵を追い立てていく。
負ける事を知らなったガイア兵たちは、恐怖で顔が引きつっている。今まで虐めて来た者達の顔をしていた。
王都民の怒りが爆発していく、ガイア兵が王都民を殺してもひるむことなく大勢の王都民たちがガイア兵に向っていく。強力な味方を得た事でガリレオ王国民に火が付いたのだ。一人一人は弱い存在であるが殺されても殺されても前に出る王都民にガイア兵たちは追い詰められていく。上空にはワイバーンが旋回している事で、自由に動けなくなったガイア兵は殺されていった。
ガリレオ王国民の巨力でギルバート兵たちは王と制圧が進んでいく。何しろ王都中の民が協力してくれているのだ進まない筈がない。
王都内でガイア兵が寝泊りしている建物やガイア兵の指揮所などは火がつけられて燃えている。
王都全体が戦場となり、王都民200万人+ギルバート軍対ガイア兵30万人の戦いであった。
そして優勢なのは王都民+ギルバート軍である。