208話 勝ったけど・・・
トリックは、騎士の剣を避けながら斬り殺していく。斬られた騎士は自分がいつ斬り殺されたのか知らないうちに死んでしまっている。
それでも人数は圧倒的に敵の方が多いのだ、いくら殺しても沸いてくる、トリック一人の為に殺された騎士が、周り里転がっている為にかなり足ばが悪くなっている。トリックの動きが制限されていくが、トリックはその死体も利用して匠に騎士たちを斬り殺していく。
100人ほど斬り殺した時にはメリックとエリックのワイバーンが騎士たちを連れてきていた。3人となったトリックたちは勢いが付いていき本陣奥へと進んでいく。
そしてトリックの目に入って来たのはこの軍の幹部たちである。トリックはやっとサンストク軍の幹部迄到着できたのだ。トリックはすかさず「泥沼」魔法を発動して軍の幹部たちを動けないようにした。
そして今度はその幹部たちを守るように三角形となりサンストク軍兵に囲まれた。
トリックはサンストク軍幹部たちを殺すつもりは全くなく。金貨と思っているようだ。
サンストク兵たちは、軍幹部を救うためにトリックたちを囲み攻撃しているのだが、どう見ても泥沼にはまっている者達を殺すために囲んでいるように見えてしまう。
トリックが戦っている間にも続々とトリックの騎士達が合流してきていた。そしてサンストク王国軍内から大きな声が聞こえる。「撤退だ。てったーーーい。」
トリックの周りのサンストク軍兵たちも軍幹部を置き去りに撤退していく。
だがその撤退が上手く行くとは限らない。今のこの状況では悪手であった。
ドラゴンたちに包囲されている事でサンストク軍に逃げ道はないのだ。撤退の声でサンストク兵たちは生き残れると安堵してしまった。もう一度戦意をあげる事は困難だろう。
トリックの周りが開けていく。今までサンストク兵士で埋め尽くされていた兵が集団が下がっていた事で視界が開けていた。
その敵集団を待ち構えているのがドラゴンたちだ、サンストク軍はもう動く事が出来ずにカイン達と騎士たちに斬られていく。
そして一人の貴族が降参すると次々に降参していく。もう戦いは終わっていた。
サンストク兵で戦意のある者は居なくなっていた。
サンストク王国軍5万の内、戦死者は19000にもなっていた。そして捕虜となった者は31000人となるが、トリック自治領で31000人者捕虜を養う事は出来ない。
トリックは急ぎサンストク王国へ使者を出す。サンストク王国軍数人を一緒に連れて行かせる。
その間に殺した者達から武器と鎧を回収していく。捕虜となった者達に作業をされて効率化を図っている。そんな戦後の作業を行なっている時に情報が入ってきた。ミステリア王国軍がサンストク王国領へと進軍をしているとトリックに伝えてきていた。
トリックは、天を仰いだ。「やられたな。」
今のサンストク王国には、大した兵は残っていない。トリック討伐の為に5万もの兵を出しているのだ。それをトリックが撃退して無力化してしまっている。ミステリア王国は被害も受けないままにサンストク王都に迫るだろう。
だが今のトリックには如何する事も出来ない。黙ってみているだけだが、トリックとしてみれば急激に領地が広がった事で管理をすることが出来ない為にもうこれ以上領地は要らないと思っている。ミステリア王国が欲しいのならば、勝手にサンストクとやり合ってくれればと思っていた。
そして10日もするとまたミステリア王国軍から伝令が届いた。ミステリア王国軍は、サンストク王国王都の手前で進軍を停止している。サンストク王国に対して講和の話し合いを提案し、サンストク王とミステリア王、そしてトリックの3者会談を開くと告げて来た。その為にサンストク王都まで来てくれと言う事であった。
トリックは仕方ないとサンストク王都へと行く事にした。戦後処理は弟二人に任せて、トリックと騎士10人で向かった。
サンストク王都に着いたトリックは唖然としてしまった。サンストク王国王都は門を開けミステリア王国兵がいつでも王都内に入れるようになっていた。まるで友好国のよう、いいや友好国どころかサンストク王国がミステリア王国の属国のように見えている。
逆らう事の出来ない強者の言いなりになっているようにトリックには見えていた。
トリックは王城内に案内されてサンストク王とミステリア王の待つ部屋へやってきた。
もうかなり話が進んでいるようでトリックは話しを聞いているだけとなっていた。
ミステリア王国の主張は、両属の自治領がサンストク王国に侵略されている為にその報復でサンストク王国に攻め込み今もサンストク王国の王都より西側を占領している。
ミステリア王国は平和的解決を目的にしているの為に占領地の略奪、暴行などは一切行っていない。占領地は兵もまともにいない事でミステリア王国に素直に従っていると言う。
いい事なのか悪いのかは分からないが、かなりの優遇をしているようだ。サンストク王国よりもミステリア王国に編入を希望している村も多いと付け足しで告げていた。
サンストクは、もう何も言い返せることが出来ないのだろう。必死に領土を返してくれとお願いをしていたようだ。元はサンストク王国は内政の問題としてトリック自治領の討伐としていたが、ミステリア王国と両属の事を忘れてしまっていた為にミステリア王国軍の介入を許してしまった。そして国土を占領までさせてしまっているのだ。
トリックはこれで捕虜の買取が出来るのかと心配になっていく。サンストク王国に金が無くなっていることが丸分かりとなっていた。サンストク王都を攻撃させないために王はミステリア軍へ食料を差し出している。ミステリア王国軍2万の胃袋に毎日金が消えて行っていた。
トリックはミステリア王から色々と説明をされるが、全てはミステリア王が決めていた。
サンストク王も必死で抵抗しているがまるで役者が違う。いいようにあしらわれて納得させられている。
トリックは、ああこりゃ駄目だと思ってしまった。
ミステリア王はトリックに捕虜と戦死者も事を確認していく。貴族当主に戦死者や、捕虜の領地持ちなだ多岐に渡って質問をしてくる。トリックも全てを把握している訳ではないためにわかる範囲で答えていく。