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俺死んだのか、2回目の人生始まる。  作者: 只野人
1章 2回目の始まり
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2話 田舎貴族の3男

ある山間の盆地に一つの貴族領がある。

そこに一人の赤ん坊が誕生していた。


赤い髪に青い目をしたハンサムでも醜くもない、普通の赤ちゃんであった。





その赤ん坊もすくすくと育ち、もうすぐ8歳になろうとしていた。


少年の名は、アルフォード・フォン・ギルバート


ギルバート家の3男である。



このギルバート家3男3女の6人兄弟に父と母、祖母に祖父と合計10人の大家族である。


ギルバート家は、二つの村を領地とする、零細貴族だ。

本村 人口約400人 新村 人口約200人 

このほとんどの村人は農奴(小作人)として連れてきた者達である。


この世界では、王が支配し、その下に貴族いる。平民もいるが、多くは農奴(小作人)として貴族下で働いている。

農奴と言っても小作人のようなものである。

土地を持たない平民が農業をするために貴族の農奴(小作人)になるのだ。そうしなければ食べていけないのである。(自身で開拓が出来ない為)


四方を山に囲まれた盆地は、かなり広いだが交通の便が悪く。人がこない陸の孤島と呼ばれている地域であった。

そのような場所に娯楽などあるはずもなく村でやる事と言えば子作りだけである。

本村人口400の内、18歳以下が200人もいるのだ。そして新村は、人口200人の平均年齢は何と22歳とかなり若い、それは本村の子供たちが新しく開拓した村だからである。


そんなギルバート領も色々な問題を抱えている。農地開拓もその一つである。

あと数年で100人以上の成人が育ってしまうのだ。早急に第3の村を造らなければいけなかった。




ギルバート家の幹部、祖父であり領主のジーク、その妻イメルダ、次期領主のレビンとその妻メイヤーの4人は、話し合っていた。



「レビンどうだ。農地を増やせそうか。」

「父上、かなり厳しいですね。新村もこの10年でやっと今の形になりました。あと1,2年で同じ規模の開拓は無理ですね。」

「そうだな。二年後に100人の成人が育つ、農地を広げなければその子たちは結婚もできず。家の手伝いで一生を暮らすことになるぞ。」

「・・・・」

「・・・・」

「・・・・」


ジークの言葉に皆無言である。そんな事は皆、分かっているのだ。陸の孤島であるこの盆地で結婚が出来ないイコール娯楽エッチが出来ないと言う事である。

陸の孤島では食べる事と子作りが唯一の楽しみなのだから。


ハッキリ言ってこのギルバート領だけである。この世界では子供の死亡率は乳児の半分は死んでいる。

それに成人まで育つ子供はその半分以下である。ではなぜギルバート領が子供が育つのか、それは祖母であるイメルダの力であった。

イメルダは、神からの祝福?を受け治療魔法が使えた。村人の怪我や病気を無料で治している。普通は高い治療費がかかる為に一般の村人が気軽に治療を受ける事等ありえないのである。

何しろ行商人さえ来ない陸の孤島なのだ。村人の必要な物は全てジークとレビンが調達している。


このギルバート領の小作人達はかなり幸せな暮らしをしている。外の世界の農奴(小作人)達は一日1食が普通である。それも薄いお粥にクズ野菜だ。肉など一度も食べた事等無いのである。その為子作りに使う体力などほとんどないのが現状であり。他の貴族は生かさず殺さずで農奴たちを飼っている。そう家畜としてみているのだ。



「父上、開拓には道具が必要です。鉄が無ければ無理です。その鉄を買う金がありません。」



ギルバート領の開拓は、雑木林を切り開くために剣や斧で枝を斬り、手作業で引っこ抜き少しづつ開拓を行なっている。


ギルバート領の鉄は剣が30本、槍が30本、鎌が200本、斧140本、鍬270後は木の槍、木の剣、木の鍬などであった。

これで開拓を行なうの事はかなり無理がある。新村の開拓も10年の月日をかけコツコツと小作人達が開拓していったのである。


「小麦を売る事は・・・無理だな。エールが作れなくなるな。」

「父上、絶対にダメです。エールが作れないと家臣(従士)の褒賞が渡せなくなります。」


ギルバート家の家臣従士は3家ある。この3家がギルバート領の平民階級の者達である。


「・・・・・」

「貴方、近々の問題は他にもありますのよ。新たに小作人を手配しないといけません。血が濃すぎる事態になります。」


今ギルバート領の領民たちは皆親戚状態であった。人口600人血のつながっていない者を探す方が難しくなっていた。皆親戚状態となっていたのだ。


「・・・・・金が無い。」

「・・・・」

「・・・・」

「・・・・」


解決しない問題に幹部会議も佳境に入った頃。




外から「うおぉぉぉぉぉ」と歓声が上がった。



「肉だーーーー。」

「肉ーーーー。」



10歳前後の子供たちが台車を押しながら領主館に向っていたのだ。その台車に乗っているのは3男のアルフォード(通称アル)であった。




「父上ーーーー、イノシシを獲ってきました。今日はお肉祭りですぅーー。」


子供たちは謎の肉踊りをしている。


「アル、こんな大物どうしたのだ。」

「はい、罠を作り仕留めました。」


罠??



そうこの時代、獲物を捕るのは剣や槍、弓矢で射貫く事でしか獲物を捕る事が無かったのだ。


罠を作る事等無かったのだ。


父はアルからもっと詳しく聴くつもりでいたが、周りがそうさせてくれなかった。

皆が、目の前の肉に大興奮しているからである。



祖父であるジークも大興奮中である。


「皆の者、今日はイノシシ鍋にするぞー。」


この一言で、ナイフを持った女たちが一斉にイノシシに群がる。皮を剥ぎ、イノシシが解体されていく。

子供たちは肉の塊から目を離さない。


こんな500キロもある大物はめったに狩る事が出来ない。本村400人の胃袋に入れば一人100グラムあるかないかである。


少しでも肉を多くするために、骨付きをそのまま鍋にぶち込んでいく。野菜と骨付きで美味しい出汁も出てくるのだ。食い意地がもたらした。出汁の完成であった。


大きな鍋が10個あり、グツグツと煮ていく。雑穀米も大量に炊かれていく。


「うめーーーー。」

「肉最高ーーー。」


塩味のイノシシ鍋であったが出汁のきいた鍋であった。みんなが夢中で食べていた。ギルバート領にも猟師はいる。猟師のとった獲物は半分が領主物である。残りの半分を領民たちが物々交換で食べたり売ったりしているのだ。領民全員が肉を食べる事等、収穫祭以外ないのだ。




その日の本村はまさに肉祭りであった。後日新村からクレームが届いたが黙殺された。




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