190話 ミシェル・クラリス
一人の貴族がアル達の前に連れていた。
ゴ「儂をこんなところに連れてきてタダで済むと思うなよ。」
アル「態々悪いね、貴方がゴーマン・グレイト男爵かい。」
ゴ「儂が、ゴーマン・グレイト侯爵だ。」
アル「あれ男爵でしょう、戦争で従軍を拒否して、伯爵に落とされそして戦後の混乱で隣の領地で横領して子爵になって、今回の最初の騒動を起こしたことで男爵なっているんでしょう。良く処刑されないで済んでると思わないの。」
ゴ「小僧よく聞け、儂はこの国を建国した偉大な王の末裔だ、その私が処刑などになる訳なかろう。この爵位も一時的だ。」
アル「貴方は何故、スキルオーブの割り当てが増えると噂を流したのかを聞きたくてね。」
ゴ「フン、馬鹿らしいそんな事も分からんのか、いいかよく聞け儂はなリーフ王国のギルバート一族とつながりがあるのだ。そのギルバトート一族の者がなこのゴーマン・グレイトの為にスキルオーブを増やしてくれるのだ。分かったか小僧が。」
アル「そのギルバート一族って名前は名乗らなかったのかい。」
ゴ「フン、聞いて驚け、あのアルフォード・ギルバートだ。ガハハハハハ」
トムとアスカがアルを見るが、アルは首を横に振っている。
このゴーマンの証言を元にアルフォードの名を騙っている者を捜索した。もう逃げていると思われていたが以外にも王都内の酒場に居た。ダルメシア王国の情報員はこの男を捕らえてアルの前に連れて来た。
同時にもこの男の身辺調査も行っていた。
アル「貴方が、アルフォード・ギルバートかい。」
男「いいえ違います。私は、ミシェル・クラリスです。」
ゴ「なにーーー、クラリスだぁぁぁとぉぉぉぉ。」
ボコっ。
トムが、ゴーマンを殴り黙らせていた。
アル「ミシェル。聞きたい事があるんだけど。アルフォードの名を騙った事があるかい。」
ミ「はいあります。」
アル「理由を聞かせてくれるかい。」
ミ「いいですよ・・・・」
ミシェルの語った事はゴーマンへの復讐であった。もう20年も前のことであるクラリス伯爵家と言う貴族家がこのダルメシアにあった。ゴーマンの罠にはまりミシェルの両親と兄弟が亡くなった事でクラリス家は潰された。生まれたばかりであったミシェルは同行しておらず無事であった。
ミシェルは家臣たちに屋敷を連れ出され何を逃れたと言う。家臣たちから両親と兄弟達がゴーマンの手によって殺された事等を聞き。自分で当時の事を調べていったと言う。
当時の事は簡単に調べがついた。かなりの噂となっていた事で調べるまでもなかったと言う。
ミシェルはゴーマンに復讐するために今回の事を計画したと言う。まずは貴族達に噂を流した。スキルオーブを増やせると言う噂だ。この噂に飛びつかない貴族はまずいないだろう、疑っていても一度は話しを聞き出そうとする。その一回にミシェルは賭けた。
ミシェルは貴族を言葉巧みの操り、ゴーマンへ話を持っていかせた。
そこでミシェル扮するアルフォードとなっていたゴーマンを操り出す。言葉を使いゴーマンに夢を持たせていく。度重なる失敗により爵位も落ち、貴族達からの信頼も無くなってきていたゴーマンは藁にもすがる思いだったのだろう。そこをミシェルが上手くついていた。
ミシェルの言葉を信じて貴族達の信頼を再び勝ち取ったゴーマンはミシェルを信頼していった。
高価な服を着て優雅に振舞うミシェルの事を完全に信じていた。そしてミシェルの言葉通りに事が運んでいく。まるで魔術を見ているようであった。
ゴーマンは思い通りに事が運ぶことでさらに傲慢になっていったがミシェルは微笑んでいただけであった。
スキルオーブの噂でリーフ王国が動き今回の騒動となった。ミシェルの思惑通りとなっていた。
アル「実際ミシェルは、どうしたかったのかな。」
ミ「私はもう目的を果たしていますのでお好きなように処分してください。」
アル「目的を果たしたって、ゴーマンの罪を作る事かい。」
ミ「罪を作ってはいません。実際に罪びとなのです。」
アル「まぁ罪は犯しているよな。でも処刑にはならないよいいとこ爵位の剥奪だろうね」
ミ「それが目的ですから問題ありません。このゴーマンは爵位を剥奪となれば死にますよ。」
アルにはミシェルの言葉が理解できなかった。何故爵位剥奪でゴーマンが死ぬのか。処刑とはならないのだ死ぬ事は無いだろうと思っているからだ。アルはミシェルに興味が湧いていた。飄々と物事を騙るこの男は何者だろうと疑問が湧いてきていた。
そしてアルはゴーマン・グレイトの爵位を剥奪するために特急便でリーフ王国へ伝令を出し、女王からの書状を受け取った。
ゴーマンは、貴族と民衆を扇動したとして爵位の剥奪となった。
平民となったゴーマンは、ある行動に出た。今迄噂で踊らせていたことで自身があったのだろう。ゴーマンは、今迄のように貴族に命令を出した。自分は罠に嵌められて騙されていたと民衆に噂を流せと貴族に命令を出したのだ。だが貴族は一切命令には従わなかった。
従わない貴族に怒こったゴーマンはその貴族家に乗り込んだ。そしてゴーマンは貴族に殺された。
平民となったゴーマンが貴族の家に無断で侵入したことで貴族が平民を処分したのであった。
その貴族には何の御咎めも無かった。
アルは見事なだなーと思いながら。ゴーマンが殺されたとミシェルに伝える。ミシェルは淡々としていた。
ミ「それで私の処刑は何時になりますか。もう大分待たされています、ゴーマンの事を待っていてくれたのですね。」
アル「嗚呼そうだ、ゴーマンが殺されるのを見届けてから処刑してやろうと思ってな。」
ミ「アルフォード様の温情に感謝いたします。これで心残りはありませ。」
アル「・・・・・・」
数日後、ミシェル・クラリスは民衆の見守る中公開処刑となった。
ミシェルの罪は、民衆を誘導・扇動した事によって国を混乱させた。平民であるミシェルは処刑となる。もしミシェルが貴族であったならば処刑は無かったであろう。
民衆の中を堂々と歩くミシェルは、民衆の罵声を浴びても涼しい顔をしていた。広場の上段に縛られ木に括りつけられる。そして火炙りの刑で灰も残らない程に燃やされつくされた。民衆は喝采をあげ喜んでいた。
アルは処刑を見届けると城へと戻っていった。城内の部屋に入ると一人の女性が待っていた。
女「公開処刑は、どうだったの。」
アル「あまり見たいものではないね。」
女「・・・・・・見たかったわ。」
アル「まぁそうだよな自分の公開処刑だもんな。」
そうこの女性はミシェルである。今まで男装をしていたのだ。