19話 その頃王都では
その頃、王都では
祖父ジーク、父レビン、長男クリストフは王都に到着していた。
祖父「久しぶりの王都だな。」
クリス「凄い賑わいですね。」
祖父「そうだろう、何しろこの王都は、10万にとも20万人ともいわれているからな。」
クリス「20万人ですか想像も出来ません。」
父「それはそうだ、ギルバート領は2000人しかいない。その前までは、600人だったからな。アハハハハ。 それより父上、王城への手配かいかがいたしますか。」
祖父「うむ、昔の知り合いに頼もうかと思う。まだ生きていればよいが・」
「「・・・・・・」」
到着した翌日は、みんなで王都観光を楽しんだ。
リーフ王国王都は、正式には15万人とされているが、流民、難民と城壁外に街が形成されている。その人口は10万人とも云われている。
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| 流民、難民の街城壁 |
|ーーーーーーーーーーー|の外 |
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門| 王都 |門
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この流民・難民の街も王都の民に役立っている、汚れ仕事などは全て流民難民たちの仕事となっている。
(城壁内一部スラム化している。)
領主ジークは昔の仲間を訪れていた。
アレン・ドーマー男爵である。
アレン伯爵は、ギルバート領のジークの元上官であった。
アレン伯爵率いる部隊に一時期は部下に回されたことがあった。その時にアレンを窮地から助け出した事があった。
アレン「よくきたな。30年ぐらいぶりか。」
ジーク「はっ。ご無沙汰しております。」
アレン「代替わりか。」
ジーク「いいえ、今回は別件です。」
ジークはアレンにギルバート領周辺の事情を話す。
アレン「そうか隣地の領地の事情は分かった、こちらでも調べてみよう。それとこれが蒸留酒か実に美味いな。」
アレンは蒸留酒をいたく気に入りちびちびとなめるように飲んでいる。
ジーク「この米もな中々です。水の豊富な場所でしか育ちませんが、かなりうまい物が出来ます。陸稲(畑)も出来ますが味は少し落ちます。米は麦の2倍の収穫量があります。ギルバート領では肥料(魔法)を使い連鎖弊害をなくしております。(二耕」
アレン「ほー、2倍か。だが米を主食とする者がこの国ではギルバート領だけだろう。」
ジーク「そうなのです。この米は当初、貧民や家畜の餌として扱われてきました。ですが改良し美味い米が出来るようになったのです。」
アレン「まぁ米は直ぐには無理だな。民の印象が悪すぎる。」
ジーク「そうでしょうな。仕方ありません。少しずつ美味いという事を広めていきます。」
アレン「アハハハ、そうだな。」
それからもアレンとジークは王への謁見を出来る様に相談していった。
通常、貴族同士の争いは双方で解決となる。だが2貴族が3貴族の問題となると話が変わってくる。
王国の問題として取り上げることが出来るようになる。
ジークはアレンに蒸留酒とビール、麦(新種)として)渡した。米は無理だが麦は通常の2倍の大きさに実ったものである。
レビン「父上、いかがでしたか。」
ジーク「何と話になりそうだ。アレン伯爵が協力してくれる。蒸留酒2樽が効いたな。」
レビン「蒸留酒があれば誰でも協力的になります。売られていない貴重な物ですから。」
数日後マレン伯爵は王に謁見していた。
アレン「陛下、これが今回献上される物となります。」
陛下「ほー、酒か。」
陛下は一口のむ。「うっ、美味いな。」
アレン「ジーク・ギルバートの話ではこのほかにも蒸留酒があり、民用にも焼酎なるものまである様です。新しい酒があれば外交交渉も優位なります。ギルバートは長年リーフ王国に仕え、鄙びた土地を改良し豊かな領地としました。ここでその功績を認め、謁見されてはいかがでしょう。」
陛下「うむっ、この蒸留酒は王家で一括して扱う。功績を認めよう。」
アレン「はっ。ありがとうございます。臣もこの蒸留酒を大変気に入っております。良しなにお願いいたします。」
陛下「分かっておる。分かってる。で、どのくらい用意できるのだ。」
アレン「はい。大樽で5つ(一つ1000リットル)です。」
陛下「中々の数だな。卿には大樽一つの采配を任せよう。」
アレン「ありがたき幸せ。」アレンは胸を手に置き一礼する。
この時代はまだガラス瓶は存在していない。陶器(壺)で壺詰めしている。1リットル瓶(壺)と500ミリリットルのハーフ瓶(壺)の2種類となる。
王家はギルバート領から毎年税として大樽5つの蒸留酒で税(固定)とした。ギルバート領の主食であるコメを税としての価値を認めなかった。(家畜の餌と認識している)王都の役人たちは田舎貴族と思っている。
大樽5つ以上は1リットルにつき金貨1枚での買取となった。王家は蒸留酒を家臣への褒賞や外国への土産に使う予定にしている。そのために価格はかなり高めになる。(金貨1枚で50万円)王家以外に蒸留酒(1種類ウイスキー)の販売は出来なくなった。
(蒸留酒は年数を重ねなければ美味しくならないが、そこはアルの魔法開発(発酵魔法)でまろやかな味となっている。)
王城の役人たちは新たに献上されるこの蒸留酒を少しだけ飲むことが出来た。その数30人程だ。王とアレンがわざと飲ませたのだ。話を進めやすくするためと価値を上げるためである。
その思惑は効きすぎた。
城の役人たちは、目の色を変えてギルバートとの謁見を薦める。男爵以上でなければ謁見自体が出来ない。そのためにギルバートを男爵に叙爵しなければならかった。通常の叙爵式は年に一回である。半年も先であった。今回は他領地との問題もあり役人たちは特別に問題を解決しなければならないためと、多くの言い訳を考え叙爵を速めていった。
1、長年の貢献
1、難民問題
1,貴族間の争い
1、新種の米と麦
1、蒸留酒の開発(発明)←(役人、貴族達はこれにしか興味がない。役人たちは蒸留酒だけとなると自分たちのおこぼれがない事で、恩を売るためにギルバート領の問題解決のためとして上記の問題と貢献を前面に出してきたのであった。)
長年の貢献と米と麦の開発(新種として)を表に出し叙爵とすることが決まり。急ぐ理由として貴族間の問題を取り上げ難民が発生している為に早期解決するために謁見する事としたのだ。役人たちの情熱は凄まじい物があった。
そして謁見となる。