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俺死んだのか、2回目の人生始まる。  作者: 只野人
2章 激動の時代
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157話 農民たちの苦悩

ギルバート家が去った、キロエ山近くの避難居住区では生活が一変していた。今までは食事などはギルバート家の者たちが用意してくれていた。材料の節約と人材不足のため纏めて作っていたのだが、これが又非常にありがたい事であった。食事を各自で作る事はかなり困難だ。避難民たちは帝国に集団での食事の提供を願い出たが却下された。

農民が何言ってると聞く耳をもってくれなかった。

それだけであればまだよかった、食料も各家庭に配られる量も少なくなっていたのだ。それはロング帝国とギルバート家の輸送能力の違いが出ていた。


そして決定的だったのは、賃金の支払いであった。ギルバート家は、浮遊島での生活の中で仕事をさせていた。女子供には簡単な作業、男たちには、近隣での狩りや採取をさせていたのだ、その働きによって賃金を支払っていた。避難民たちは少しでも稼ごうと必死になって働いていた。ギルバート家が引き上げる時には、特別手当迄支給していた。

これがロング帝国の居住区に移り住んだら、がらりと変わった。ロング帝国は強制労働としたのだ賃金は一切支払われることはない。これはこの時代は普通の事でありロング帝国だけが非難される事は無い。

だが避難民たちは賃金を貰えることを知ってしまっていた。ギルバート家は他国の者達と言う事で賃金を支払っていた、後で文句を言われないためであったが、その事が仇となりロング帝国と避難民との間で大きな亀裂が出来てしまったのだ。

この事実に気付いた貴族は、現場に居なかった。


キロエ山周辺は溶岩によって岩となっている。これを砕き元の土地に戻す事は人の手では不可能であった。ツルハシ一つでは、どんな怪力男でも無理だろう。それを現場の貴族達は避難民にやらせているのだ。自分たちの土地なのだ岩を砕けと嗾ける。

そして本来であれば作業を行なうはずの兵士たちは監視となっていた。自分たちは作業を行わずに監視をするだけとなっていた。これはこの地の領主が悪い。農民は道具と思っているようなものであったために、帝国にいい顔をするために兵士に監視を願い出たのだ。兵士たちも仕事は楽な方がいいに決まっている。監視役を喜んで引き受けだのであった。



作業が進まない事に貴族が切れた。農民を怒鳴り散らし殴りつけたのだ。それはもう溜まっていた鬱憤が爆発するんは十分な引き金となっていた。暴動が起きたのだそして兵士によって鎮圧された。



この事実を帝国が知った。

そして調査を行って初めてこの事実が明るみになったのだ。

ロング帝国は、これ以上ないほど責任者たちを大量に処罰した。民に見せるために公開処刑迄行った。特にキロエ山付近の領主は公開処刑になった。その数4人であった。伯爵1人に子爵1人、男爵2人だ。

派遣していた兵士長や騎士たちも処分されていた。


それでも殺された者達は生き返る事は無いのだ。


ロング帝国にやっと正常な報告が挙がってくるようになってきた。そこでアルの言付けもロング帝国の知る事となった。溶岩を砕けるのは飛竜かドラゴンだけだろうとの言付けであった。

ロング帝国は、もうあの土地が元通りに戻らない事を知った。

避難民を移住させることになった。それはそうだろう、岩盤の上に作物は育たない。あの土地ではもう農業が出来ないのだ。農家を移住させるしか方法がないのである。


ロング帝国は、キロエ山周辺を封鎖する事にしたが、そううまくは行かなかった。その領地の貴族達が騒ぎ出したのだ代替え地を寄こせと騒いでいる。

代替え地などそんな貴族達は与える事は出来ない。また同じことを繰り返すからだ。避難民だけを移住させることになり、帝国は各貴族に引取りを打診していく。少数ならばと貴族達も前向きだ。これならいけるとなったが、農民たちが嫌がるもう帝国に信頼は無かった。


困ったロング帝国は又ギルバート家に相談をした、事実を話し避難民を受け入れてもらえるようにお願いをした。

そこでアルは、仕事としてなら受ける事を伝える。ただ働きはしないと告げていた。

ロング帝国は、承諾をするしかなった。

取り決めとして、岩盤の撤去をギルバートで行う。その費用はロング帝国が支払うとなったがロング帝国には支払う金が無い。莫大な費用なのだ払える訳がなかった。ギルバート家は分割でも可能と言ったが帝国としてはそんな事をしたくない、それならいっそ土地を手放してしまおうと話になった。今回の対象地域はかなり広範囲だ。溶岩が固まり岩盤となった地域だけではない。火山灰にょって埋め尽くされた土地もある。アルのフェアネス王国迄被害が及んでいるのだこの地方一帯が対象であった。

そこでロング帝国はこの地域一帯をギルバートに譲る事にした。キロエ山からフェアネス王国迄の地域すべてを譲渡しようとしたのだ。

それはギルバート家としては受け入れられなかった。広大な土地を貰っても管理が出来ない。それに妬みが激しくなることが一番の理由であった。


困ったロング帝国は、代案として半分でどうだと言ってきた。どうしても面倒となった土地を手放したいだけに見える。

アルはロング帝国とフェアネス王国の保護国としては如何かと提案をする。帝国内の国とするのである、これはよくある事でもあったので名案として了承された。


そしてまたギルバート家総出で工事が始まる。


ドラゴンで岩盤となった岩を砕き運ぶ、それはもう気の遠くなるよな作業だ。広大な土地全てが対象地なのだ。

それでもゴーレムを大量に使い効率を上げた。一部分でも回復すれば農民たちの気持ちも違うとドラゴンたちも張り切って作業を行なう。

そして一つの町が蘇った。これはもうお祭り騒ぎとなった。復活の象徴の町となりこの地域の中心となっていく。


一つ復活すれば後はどんどんと復活していく、村が一つ、又一つと元の形に戻っていく。

すると今まで知らん顔をしていた貴族達が土地を戻せと騒ぎ出していた。ギルバート家は相手にしない、全てロング帝国に振っていた。


ロング帝国もその貴族達を押さえつけて黙らせていた。今余計なことは絶対にさせないと強い意思が感じられていた。

ギルバートは安心して又作業を続けていく。


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