14話 家族会議
アル9歳の冬
町の開発も一段落した頃、ギルバート領の幹部会議(家族会議)が始まる。
祖父「皆。集まっているな。この館も今年で最後だなー。」
父「ですね。何だか少し、寂しく感じます。」
祖母「でも壊す訳ではないのでしょう。又使うわよ。」
祖父、父「「・・・・・・」」
祖父「ゴホンッ、そうだな。まぁ開発も一段落してかなり落ち着いてきたな。」
アル「はい、町の開発もほぼ終わり。今は個人宅の要望に応えているだけです。」
祖母「みんなこだわっているようね。」
アル「ええ、まぁ、少しこだわっていますね。正直別料金を頂きたいぐらいですね。」
祖母、母、父「「「・・・・・・」」」
祖父「ゴホン、まぁそれは後で考えよう。それより王都の件だ。これ以上王都に行くことを引き伸ばすわ けには行くまい。」
父「そうですね。難民の報告と処理の許可を取らなければなりません。」
アル「はい。僕王都へ行きたいです。」
父「ダメだ。」
アル「えーーー、行きたいです。王都は色々な物があるんで勉強です。」
祖父「アルよ。今回は諦めよ。儂とレビン、クリスでいくのだ。アルまでいなくなるとこちらが困る。」
アル「・・・・・はい。」
祖父「王都へは、米と麦、蒸留酒、と毛皮を持っていく。」
父「蒸留酒を持っていって大丈夫ですか、これは争いになりますよ。」
祖父「そうだな、取り合いになるな。ククククッ。面白いではないか。田舎貴族の物産品を取り合いだぞ。」
父「そうだ、クリス。牛と羊の放牧はどうだ。」
クリス「はい、父上順調です。難民の子供たちを中心に行っています。おばあ様の協力で薬草畑の隣地に放牧地を作り今は牛24頭、羊は88頭までになりました。」
アル「イノシシは飼えないですかねー。あれ美味しいんですよね。」
クリス「アル、イノシシの大人は無理だな。子供のウリボウなら可能じゃないか。ウリボウから育て繁殖させれば家畜化できると思うぞ。」
アル「おおぉぉぉ、それやりましょう。クリス兄ぃ。」
サリー「イノシシステーキは美味しいわ。」
サリーの一言にみんな笑いが出る。
少し和んだ幹部会議(家族会議)は終わり数日後、祖父ジーク、父レビン、長男クリストフと騎士達が王都へと旅立っていった。
見送りのアルたちは、羨ましそうにいつまでも街道を眺めていた。
アルは気を取りなおして、山峰にある集落を目指した。この集落は難民の中でも弱い立場の者達を集めた集落である。母子家庭、孤児の子供、年老いた者達と普通の農作業の仕事が出来ない者達を集め、薬草畑や牛の乳搾りや、牛舎の清掃などをチームを組んで起こっている。
アルが集落に着くと子供たちが駆け寄ってくる。
「「「「「アルにいちゃーん。お菓子はーーーー」」」」」
「お前ら菓子目当てかーーー。ほらあるぞ。」
アルはまだ小さい子供たちにお菓子を配っていく。難民だった子供たちは当初、笑う事も無かった。笑うという事を知らなかった、もしくは忘れていた。難民になる前から過酷な環境での暮らしで、毎日お腹をすかし、葉っぱや虫なども食べていた。
それがこの地では、美味しい牛乳を飲み、美味しい野菜、そして肉やパンをお腹いっぱいまで食べることが出来る様になっていた。たまにお菓子も食べれる。
「アルにいちゃん。リザねー、いいこと思いついたのー」
「リザ、何を思いついたんだ。」
「へへへ、えっとねー。ハチさんの蜜を塗るとパンが美味しいのー。」
「えっ、ハチに刺されなったか。」
「うん、大丈夫だった。ハチさんもいいってよっ言っていたよ。その代わりお花を近くに植えてあげるのー。」
「へー、リズは偉いなーハチさんときちんと話が出来るんだ。凄いなー。」
アルは子供の言う事だと話半分でしか聞いていなかった。ハチと話す、花を植える代わりに蜂蜜を別けてもらう等普通は信じられない話だ。たまたま蜂蜜が取れたんだろうと思っていた。
だが実際は本当の事だった。このリズという子は、ハチの気持ちがわかり、気持ちを伝えることが出来た。動物や虫などに好かれいつも周りに生き物がいた。
蜂蜜を頻繁に持ってくるようになったリズを母親が優しく聞き、上に報告が来るまでにそう時間は掛からなった。
そしてリズを中心による養蜂がスタートした。
「うんとねー、うんとねー、僕、うっ(牛)さんのお乳搾れるようになったのー。」
1人胸を張る。4,5歳の男の子である
「そうか凄いなー、牛の乳は美味しいかー。」
「うん、すっごくおいしいーよー。」
「ミラも、できるぅーーーっ。藁を運べるもんー。」
「おーー、凄いね。ミラは藁を運べるんだー、凄いねー。」
「ぼっ僕も出来るもん。」
「おー凄いなー、えらいなー。」
アルはこの集落ではいいお兄ちゃんだ。小さな弟、妹の話を聞き褒めてあげる。褒められて嬉しがる弟と妹たち。
幼児たちのお守りが「みんなーお昼ご飯よーーー」
「「「「「「わわわぁぁぁぁい」」」」」」と一斉に歓声を上げた。
「アルお兄ちゃんも一緒に食べようー。」
「そうだな、俺の分はありますか。」
「勿論です。」
アルは子供達と一緒にお昼を食べることにした。今日のお昼はおにぎり(雑穀飯)と野菜炒めとスープであった。
米は腹持ちが良く栄養がある。
ワイワイと騒ぎながら食べていると、集落の代表者である。おじいさん(ガスト)がやって来た。
ガスト「アル様、態々起こし頂きありがとうございます。」
アル「爺さんも元気そうだね。」
ガスト「まだまだ若いもんに負けませんよ。アハハハハ。」
このガスとも難民であった。妻と子に先立たれ。消沈している所に村を追い出され、難民となってこの地にたどり着いた。この集落でおじいちゃんとして頼られ、子供達は毎日、おじいちゃん、おじいちゃんと駆け寄ってくる。少しづつ元気を取り戻していった。
アル「何か問題はありますか。」
ガスト「問題という程ではありませんが、羊の護衛と監視を強化するために犬を飼おうかと。」
アル「犬ですか?、近くにいるのですか。」
ガスト「はい。狼と犬の子供を何匹か確保しました。訓練をすれ牧羊犬になります。」
アル「それはいいですね。繁殖させて他の場所でも使えますね。ぜひやってください。」
ガスト「おまかせください。」
このあと薬草畑を子供たちと見学したり、共同トイレを見学(点検)したりと集落を回っていく。
「アルおにいちゃん、また来てねー。」
「お菓子持ってきてねーーーー。」
「又近いうちに来るからねー、いい子で待っていてねー。」