139話 タイガー王国の今後
タイガー王国の一室で、アルはこの国の今後の事に悩んでいた。王妃、前王妃と問題のない貴族達がいる。だがこのままこの地に残っても、あまりいい結果にはならいだろう。怨みは深い。王の妻というだけで攻撃の対象にもなるだろう。幼い王子や王女もいるし守る資金もないだろう。アルが面倒を見る事も出来るが城に軟禁もあまりよくはない。
「ホントウ島か、あそこしかないな。」
アルは、前王妃と王妃と王子、王女を部屋に呼ぶ。そして今後の話をしていく。
アルはこのタイガー王国に残っても怨みを持った者が多く危険である事、王子や王女の安全を考えるのならば他の場所で暮らすことを進める。この城に残る場合は軟禁となる事も伝える。
前王妃「分かりました。他の場所で暮らします。いいわね。」
前王妃が王妃に同意をとる。王妃は頷く。
アル「よかった。その方がいいと思いますよ。場所は俺の領地に大きな島があります。ホントウ島と言ってかなり大きな島です。この島周辺にもつ4つ島があります。中々いい所ですよ。元王族となりますので、男爵位を渡します。領地も渡しますので将来は王子に継がせてもいいでしょう。
前王妃「爵位と領地を頂けるのですか、そのまま出されると思っていました。」
アル「流石にそれでは寝覚めが悪い。もしそのまま出したら1、2日で死体になりますよ。」
アルは前王妃に真面目な貴族達ならば連れて行っても構わない事を告げる。だがあまり大っぴらには出来ない事もつけ加えておく。
前王妃「なにからなにまでお手数をかけます。ご厚意に甘えさせてもらいます。貴族は問題の無い者を数人連れて行きます。このタイガー王国内に居ては殺されるだけでしょう。」
アル「優秀な人ならば私の家臣にしてもいい。功績を残せば領地や爵位も与える事が出来ますよ。」
これで王妃の問題は一応片が付いた。貴族の一部も王妃たちについて行くだろう。
後はあっ、このタイガー王国ってどこのトラだよ改名しないとダメだな。新しい国なんだからな。
ギルバートはダメよな。んーー、そうなるとギルベルトかな。似てるのは拙いのか。誰かに聞いてみるか。
アルはジークに確認するが却下された家臣たちがギルベルトを使っている為にそれが国の名になると拙いと言う事だった。
仕方ないと別の名を考える事にした。
それよりも、大量の貴族が又必要になる。この問題が一番の大問題と成っている。最低でも領地貴族は必要だ。家臣たちももう分家は作れないだろう。アルは騎士、兵士、内政官の功績を調べる。
少しでも功績を上げた者を引き上げるしかないのだ。小国と言えどもアル一人ではどうにもならない。
アルはなるべく、今現在の貴族達の推薦する子弟は使いたくはなかった。元の特権意識を持った国へと戻る感じがしているのだ。ここは功績が小さくとも実力で勝ち取った事にしたかった。
そして一つ違和感を見つける。騎士たちの評価は普通に行われてたが、兵士の評価が低く見られていた。
ワイバーン乗り、騎士たちは派手に活躍をしている。これはある程度は仕方がない。ワザと目立つようにしているからだ。だが兵士たちには、そのような演出は今まで行ってこなかった。
アルは兵士たちの活躍を細かく調べた。地味な仕事が多く。苦労の割には評価が低い、やはり派手な方に目が行っていた。アルも反省しなければいけない。
ドロイド王国と島の兵士、新領地の兵士たちの事も調べ、何とか人数を確保できそうだ。後は各領主に了解をとるだけだ。
この国は専制君主制の国家だ、王を頂点に貴族から平民そして奴隷がいる。奴隷は戦争奴隷と犯罪奴隷だ。アルは余り奴隷制度を好まない。戦争奴隷と犯罪奴隷は仕方が無い。戦争の捕虜解放には金が支払われる。金のない者達は働いて解放となる、それまでの身分が戦争奴隷だ。犯罪奴隷は基本解放はしない。
このタイガー王国が、違う国へと変わる事をアピールしなければならない。今までがひど過ぎだ。
民は国内で場所変えを行なう為、国中で引越しとなる。これは強制で行う同意など取らないし取れないだろう。
「よし決めた。適当でいい。」
アルはもう考える事を放棄した。いや全てを完璧に行う事は出来ない。完璧にやろうとすればするほど不完全になっていく。不完全が正常なのだ。不完全だからこそ正常に機能する。完璧は理想であって正常ではない事にやっと気づいた。
少し気が楽になったアルは城の庭に出ていた。改めでこの城の庭を眺めるとかなり凝っている。庭師が優秀なのだろう。
(あの前王妃が好きそうな感じのする庭だ。もしかしたらあの前王妃が造ったのかもしれないな。)
アルが、色々と考えながら数日過ごしていると、妹のサリーがやってきた。
サリーは、アルに進化のスキルオーブを貰いに来たのだ。貰いに来てホイホイ上げる物ではないのだが。アルは上げてしまった。サリーにお願いされると何故か断れないのだ。妹パワーなのか分からない。
サリーはこのスキルオーブをエリザベス1世に渡していた。5人の集まりでエリザベスだけ少しだけ年上に見える事がサリーには物凄く気になっていた。エリザベルは年上なのだから気にはしていないようだったが、スキルオーブには興味があった。進化の実と言われているスキルオーブだ使ってみたいと思うのは当り前だろう。
エリザベス1世は、ドキドキしながらスキルオーブを胸にあてる。スッと胸の中に吸い込まれていく。
エリザベス1世の姿が、20代になっていた。40を過ぎていた姿が、20歳ぐらい若返っていた。サリーは大喜びだ。これで10代後半と20歳前半?の者達のきゃきゃ出来ると大はしゃぎだ。見ている者達は微妙な表情であった。
だがスキルオーブの噂は聞いていたが見るのは初めての者が多かった。サリーは頻繁に見ている為に気付く事が出来なかったが、この小国群ではギルバート系の者以外で始めての使用者であった。
若返りのオーブではなくハイヒューマンになるスキルオーブなのだ。
エリザベス1世は、若返りよりも能力が飛躍的にかがっている事実に驚き感謝した。これで国を維持できると喜んだ。
サリーにはその気は無かったが、結果的にエリザベス1世のプリテン王国をよい方向に持っていていた。