13話 順調な開発
町の開発は順調に進んでいる。
町の計画図
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l (居住区) 道道l 領主館/従士達の家
l 道 l_______l
l(商 店 街) 道 (商 店 街) l
門道道道道道道道道道道道道道道道道道道道門
l (商 店 街)道 l
l (居住区) 道 (工場/居住区) l
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各居住区に幾つかの建物が建ち、商店街予定地にも3件の店が出来た。食堂兼飲み屋が2件と雑貨屋が1件である。
食堂兼飲み屋は2件はもう営業を開始している。開発の労働者たちの強い要望により予定を前倒しして開店させていた。
他にも前倒ししている場所がある。ビール工場であった。ギルバート領のビール消費量が右肩上がりで生産がお追いつかない状態となっていた。
アル「ビール工場は本村にも造らないと追いつかないな。」
カル「本村でも一応エール工房はありますが、そこを使いますか。」
アル「そうだな、エールよりビールの方が消費が激しいから工房も納得すかな。」
カル「その心配はありませんよ。あいつらもビール好きですから、喜んでビール工場に変わりますよ。」
カルロスの予想通り、エールの工房はビールの作り方を教えてもらいビール工場として再出発した。最新の設備に変え、職人の人数を増やし仕事に入った。仕事終わりの一杯のビールを飲む喜びに仕事をしたが、忙しすぎて一杯のビールを飲むのは真夜中になっていた。
町の開発と共に難民たちも働きだし、何とか領民として受け入れられていった。ギルバート領主の自作農政策が功を奏した形になっていた。
元の領民(小作人)が同じ小作人として、難民と同じであったなら反発しあっていたのかもしれない。
今回の難民、移民の中で自作農になっている者は一人もいない事に元の領民たちが優越感を感じていたからである。
その辺のジークの政治感覚は天才的である。それもギルバート領の生産性が2倍以上になった事が原因であるが、1200人者難民移民を受け入れてしまうギルバート領の底力は周りの領主たちに恐怖を与えてしまった。
今までは人口が少なく、多少力があっても問題なしと思っていた領地が、突然3倍の人口になりそれを受け入れる力があった事が貴族同士の噂になっていた。潰すか、抱き込むか。
貴族の中でギルバート領に取り入るという発想は全くなく、自分たちより下との思いが強く出ていた。近隣の領主は皆爵位なし領主であり、同列に置かれることが多い。そのために少しでも優位になるために噂を利用しているのであった。
ギルバート領は貴族同士の付き合い自体が無いので全く噂話を耳にする事は無かった。
アル「えっ、館をもっと小さくですか。」
祖父「そうだ、なんだあの城のような建物は」
アル「これからは必要になります。人口も増えていき、役人の仕事場も造らなければいけません、それに商人たちとの打ち合わせ、兵士、騎士達の訓練場(雨の日)と足りないぐらいです。」
ギルバートの館の半分はアルの趣味が入っていた。地下2階、地上4階建ての館は手動であるがエレベーター付き、浴槽もあり露天風呂付である。まず地下2階は訓練場となっている雨の日などに利用でき、ギルバート家の鍛錬に使用するためである。
地下1階は、倉庫などの備蓄庫と冷蔵設備である。氷を精製し冷やす施設を作っていた。
地上1階は、内政の為の仕事場、食堂、厨房、パーティー会場、会議室となる。
地上2階は、領主の執務室、領主代理(3人)の執務室、各村担当官の執務室などである。
地上3階は祖父と祖母の専用居住区と客室(一部アルの実験室これはアルの部屋からしか行けない。秘密である)
地上4階は父、母、クリス、カイン、アル、マリー、ケリー、サリーの居住区となっている。
祖父「人口2000もいないのだじゃぞ。」
アル「大は小をかねます。大きいに越したことはありません。色々と使えますよ。その時なって増築では余計に経費が掛かります。」
アルは必死だ。自分の研究室の為に大きく分からない様にしているのだ。
祖父「まぁ予算内であれば仕方ないか。アル、予算はこれ以上出せんぞ。」
アル「分かっています。コンクリート製の立派な館を作って見せます。」
実際に館の建設費はほとんどかかっていない、建材であるコンクリートと木材はただで領地内で確保でき、労働力は難民たちである。実際に掛かるお金は出来上がった館の家具やカーテンなどの装飾品だけでとなる。
祖父「それとな、従士家の屋敷も少し要望を聞いてやれ。あの者達もこれからは準貴族としてやってくからな。」
アル「正式な騎士とするのですね。」
祖父「そうだ、色々と苦労を掛けていたからな、いつまでも民と同じ平民ではカッコが付かんだろう。」
アル「ですね。騎士家は3家だけですか、これから増える予定はありますか。」
祖父「今のところないが、どうしてだ。」
アル「せっかくなので後2,3件一緒に建てようかと思いまして。」
祖父「ふむ、そうだな建てておくか。」
(クククッ、何とか誤魔化せたかな。あの研究室がバレると拙いからな。成功するまでは秘密にしないとね。)
アルはスキップをしながら本村の館を出ていった。
祖母「アル、待ちなさい。話があります。」
アル「おばあ様、どうしましたか。」
祖母「アル、こちらに座りなさい。」
アルは椅子に座る。侍女がアルに紅茶を入れる。
アル「美味しい紅茶ですね。」
祖母「そうね、この1,2年でこんなにおいしい紅茶が飲めるようになるなんて誰も思わなかったね。」
アル「この地は貧乏だったのですか、あまりそういう感じはしませんでした。」
祖母「そうねアルは森で狩りをしたり、木のみを集めてドライフルーツを作ったりと自分で豊かにして言っていたわね。フフフ。」
アル「何かお話があるのですか。」
祖母「そうそう、薬草の事なのだけど薬草の畑を確保してほしいの」
アル「森での採取ではなく育てるのでね。」
祖母「そうよ、女性と子供たちの仕事にします。」
アル「そうなると森の近くに集落をつくる必要が出てきますね。本村から通うのはかなりきつくなりますから。」
祖母「ジークには了解とっているわ。」
アル「それならば早速、場所の確保と計画書を作成します。出来たら持ってきます。」
祖母「頼むわね。」