123話 巨大な木
その木は巨大という言葉が、足りないぐらい大きかった。村からこの巨大な木は見えなかったのかが不思議だ。こんな巨大な木であれば遠く、島の外からでも確実見えるはずだ。
答えは空間が歪み人の目には映っていない。何もないように人は見えるという人の目が錯覚している。
アルはそうなんだで終わった。
アルは巨大な木の周りを探索する。ひと回りするだけで20分もかかった。
その木にぽっかりと開いている穴があった、その穴からアルは木の中に入っていく。そこは広い空間になっていた。さらに奥へと進むと、木の人たちが生まれてくる場所があった。巨大な木から産み落とされた木の人(卵のように丸い)が丸から人型にゆっくりと変わっている。アルは興味があったが後回しにして先へと進む。
次の空間には、一つの若木があった。
アルはその若木に向かう。若木は嬉しそうにゆらゆらと葉を揺らしていた。アルはそっと若木を撫でる。
若木とアルは繋がった。ダンジョンを作る事の出きるアルとこの巨大なダンジョンが繋がった。
このダンジョンは、一人の神が造った。その神は人々から自然の恵みを感謝され生まれた神であった。自然の恵みには魔力が必要であった。神は考えた。人が自然の中で豊かに暮らせるようにと思い。この木を植えた。木から人と共に生きれる木の人を作り、自然を守れるようにと願いで植えた。だがまだ若い木を守るために周りに魔物を作りはなった。まだ弱い若木に近づかせないためであった。
この若木が大きく成長するころには、木の人も多くなり。自然を守ってくれるだろう、そして巨大な木は人々の為に魔力を作り自然界に放出してくれる。魔力が自然界に溢れれば木や水、土、から生き物が生まれ自然を維持する。
その神はこの木を植え、造った事で満足した。いずれ人の役に立つ。それで神は満足であった。
そして忘れた。
ダンジョン(木)長い年月を掛けて大きく育った。土の中に根を張り、巨大になった枝や葉からも魔力を遠い所へと風に乗せて世界中にばらまいている。
この木は自然界を支える為に存在している。
この木は、根を地下深くまで張り、この星の力も吸い上げ放出している。そして張り巡らされた根の数本が星の裏側にも到達していた。そこに芽を出し若木として育っていた。それが世界に3本あった。
アルは、驚いた。そんなに巨大なのかと驚いた。
このダンジョンは、スキルオーブもお宝も何も出ない。出るのは魔物と木の人だけだ。だがこの巨大な木を守らなければいけない。自然界を維持しているのはこの木が多きな役目を果たしている。
まぁアルとしては木を守りながら魔物狩りを出来るこの場所を気に言っただけだが。
ダンジョンから異常とも思える数の魔物は豊富な魔力があればこそできる技だ。
ダンジョン外に出て繁殖した魔物も多いが、魔力があればこそだろう。ここが島でよかったと本気思うアルであった。
人、魔物、全ての生物は体内でも魔力を作る事が出来る。だがそれだけでは今は足りなくなっている。昔は魔力を利用する事はほとんどなかった、嫌、出来なかった。今は魔法を使う事が出来、魔道具もあり魔力を大量に消費するようになっている。この巨大な木を失えば世界中で混乱が起きてしまうだろう。誰も知らない巨大な木が世界を支えているとは思わないだろう。
アルはこの木を守る為に、この地に拠点を作りに指示を出す。ギルバート以外はこの地迄来れるとは思えないが、一応拠点を造り防衛する事にした。
島の外縁とダンジョン外層は自由に行き来できるようにする。砂漠や洞窟、岩場などに守られているこの場所に一般人は近づく事も出来ないだろう。
アルがこの巨大な木に魔物は多く生み出してと頼んだのは内緒だ。
そしてこの島の魔物が一時的だが、魔物が消えた。ギルバートの者たちに魔物を狩り尽くされた。
魔物の価格が下落したと大騒ぎとなった。大量に持ち込まれた魔物の素材が余り、多くの冒険者や探索者の生活を脅かした。アルは知らない振りをしようとしたが、そうも行かず対策を講じた。
ギルバート家が定価で買い取りする事になった。ギルバートとしてもアイテムボックスがある為に、保管には困らない。いずれ使う事もあるだろうという思いと、金を余の中に放出する機会が出来た事を喜んだ。ギルバートに金が集中しすぎると拙いのだ。
クレタ島へと帰って来たアルたちは一応、クレタ島主に報告をした。
サンマリアは事実に驚き、そしてアルに巨大な木を守ってもらう事をお願いしていた。
そして報酬としてクレメン島を正式にアルに譲った。アルは先日の賠償で貰った領地をサンマリアへ譲と共同開発する事をで提案する。ホントウ島の開発はギルバートで資金を出す。そして部隊の駐屯をすることを告げる。サンマリアは、喜んで認めていた。
ホントウ島の割譲された地域は、人口も少なく平地も少ない。どのような開発を行ない。人が多く行き来できるようにするのかが課題となっていた。ホントウ島の東が割譲された場所である。その向こうにクレメン島がある。目視できる距離なのだ。アルたちは、クレメン島への玄関口にするように開発を進める。ワイバーンでの輸送と船での輸送の冒険者の為の町を造る。アルは指示を出すだけだ。後は家臣にお任せであった。
アルにはもう一つやる事があった。トロイカ王国とコウエンの事だ。調べたがトロイカ王国の事が分からなかった。別の大陸にあるのだろうと思ったが、他の者たちは想像が出来なかった。
当分の間は、アルがコウエンの面倒を見る事になった。一応家臣として召し抱えた。
別大陸と周辺の調査団の一員に抜擢した。
アルはこのホントウ島(割譲地)の管理を誰に任せるんかを悩んでいた。かなりギルバート領から離れている為に悩んでいた。
ワイバーンを使えば数時間で着く事は出来るが家族持ちにはキツイだろうと思う。
そんな、お悩み中にワイバーンを大量に捕獲したと報告が来た。
アルはまさか島で捕獲したのかと思い、急いで現場へと向かった。
クレメン島の外縁部でワイバーンたちが行儀よく座っていた。
一瞬アルは見間違いかと思ったほどだ。