119話 ワイバーンは脅威の対象
海に沈む大型船を救助しようと船が集まっている。
ウイリーはこの後の行動を考える。一緒に救助、無理だな。ならば停船を再び勧告するしかない。
ウイリーは大声でまた勧告をするが見事に無視された。
上空を旋回しながら考えるがいい考えが浮かばない。その間にも船からの攻撃は続いたいた。
そして敵に魔法使いがいたのだ。強力な一撃がワイバーンを直撃した。そのワイバーンは、海に落とされてしまった。ウイリーは、家臣に救助を指示、落ちたワイバーンは、無事のようだ。ウイリーは一瞬思った。家臣よりワイバーンを心配していた。(これは内緒だな)
さぁこれで船は完全に敵となった。
ウイリーは再び上空に上がって来たワイバーン達と船への攻撃を指示した。3頭による攻撃で7隻の船が海の藻屑となっていた。
そして7隻の船を撃沈したところで応援部隊が到着し、後を任せて報告の為に帰還した。
その後の報告によると、あの船団は、ウイリーの沈めた船を後方の船が追っていたことが分かった。
何でも、南の島で戦争があり逃げた者達だという。本当か分からないが、今後の調査次第だろう。
島に後ろにいた船団が、港に着岸している。陸への上陸許可は出ていない。まだ何ものかもわからん状態だ。
そうこうしていると、アルたちが島へ到着した。
アル「どう言う事だ、説明してくれ。」
島部隊長「はい、先日の事になりますが、警戒中のワイバーンが船団を発見、そして調査、監視の為にワイバーン小隊を派遣しました。その小隊が船団からの攻撃を受けたために反撃しました。7隻を沈めました。」
アル「それでその船は何者が乗っていた。」
島「はい、沈めた生き残りからの情報ですが、この島より南下したところに比較的大きな島が幾つもあるようです。その島で戦となり。島が占領され逃げて来たと申しております。追っていた船団も同じことを言っておりますので間違いはないですが、多少の食い違いはあります。」
アルたちは事実確認のため、双方に聞き取りを行った。真実は、この地より南下した場所に大きな島があり、そこで侵略戦争が起きた。一番大きな島が攻め占領したが王族に逃げられた。そして王族を捕らえる為に船で追ってきたという所だ。
追われていた王は第4小隊が撃沈してしまったが生き残りの中に王女が二人いた。
船は沈んだが多くの者達は助かっていた。救助活動をしたおかげで助かった。そして島国の為、皆泳ぎが達者だったことも大きい。
アルはその王女と対面する事にした。
アル「私はこの島の統治者でアルフォード・フォン・ギルバートです。」
王女「初めまして、私は、クレタ島、島主サンマリア・クレタと申します。今回は行違いにより戦闘となりました。謝罪いたします。」
王女2「初めまして、私は、マリア姉さまの妹で、メアンア・クレタです。宜しくお願います。」
アル「宜しく、サンマリアさんとメアンナさん。おかけ下さい。」
アルは二人の王女から話を聞いた。5島ある島は比較的平和であったが、一番大きい島で政変が起きた事で変わってしまった。大きな島は、クレタ島に侵略してきたという。クレタ島は防衛したが占領された。王は島からの脱出をした。だが追手に迫られて必死に逃げていた所にワイバーンがやってきた。島ではワイバーンは脅威でしかなかった。襲われて食い殺されると思い。ワイバーンを攻撃、まさか人が操っていると最初は思わなかったようだ。だがもう攻撃をしてしまった事で後には引けず再度攻撃をして、船が沈められたという。
アルは思ったワイバーンは恐怖の対象なんだ。こんなにかわいいのに。
サン「アルフォード様、今回の事で今私が島主となっております。そこでお願になりますが、ホントウは政変の起きたマレーシ家が現在の王家となっています。他にイース島(イース家)ネシア島(ネシア家)そしてクレタ島とクレメン島がクレタ家の所有です。クレメン島大きな島ですが魔物が多く人は監視員しかおりません。ですが所有はクレタとなっております。クレタは昔からクレメンから魔物が出てこないよう監視と防衛を行なっております。他の島の者達は、クレタに全部任せる事で、他に力を注いでいました。クレタは防衛費の遣り繰りで色々と大変な思いをしております。軍事力の殆んどをクレメンに向けていた事で簡単に占領されてしまいました。撫し付けではありますがお力をお貸しください。クレタ島を取り返す兵をお貸しください。」
アル「島を取り戻した時の報酬はあるか。」
サン「この身とクレメン島しかありません。」
メ「姉さま、私が報酬です。自慢ではありませんが、まだ男を知りません。」
アル「ブゥホォ。いやいらん。まぁいい。そこ迄の意気込みがあるのなら。そのクレメン島を報酬として兵を貸そう。」
サン「あ、あのう、言ってなんですが、クレメン島は魔物が多く住む事が出来ません。魔物を島から出さないように警戒もしなければなりません。かなりの負担となります。そんな島では報酬にならないと思います。」
アル「嗚呼、いいんだよ。魔物が強い、いいねぇ、うちに会っているよ。いい島だよ。」
アルの言葉を理解できなかった。それは仕方のない事である。ギルバートを知らなければ理解できない事だろう。
聞き取りは終了し、クレタ島の面々は、アルが用意した屋敷に滞在させた。その暮らしぶりに暮れた島の人たちは驚いていた。しばらく休養されるつもりだ。
そしてもう一方は、アルたちにクレタの王女の引渡しを迫っていた。
アル側「引き渡しはしません。うちが捕まえた捕虜です。関係ありません。」
ホントウ「我らが追っていた者たちだ、引き渡してもらおう。」
アル側「だから何度も説明していますが、関係ありません。お引取りを。」
ホントウ「いいか、後悔するぞ。」
アル側「お好きなように、私どもは戦闘で捕虜にしましたのでそちらとは一切関係ありません。」
ホントウ島のマレーシ家家臣は困惑していた。簡単にクレタの姫を返してもらえると思っていたのだ。
全く関係のないこの島でクレタの者達は邪魔者であると思っていた。ところがそうでもないらしいと雰囲気が漂ってきている。
アル達とホントウのマレーシ家(新王)は決別した。