117話 新家臣と公爵
パーティーが終わりアルは少年と話をしている。少年の事は家臣たちから聞いている。
アル「捨てた親が憎いか。」
少年「分かりません、親の顔も知りません。」
アル「そうか、お前は生きる意志がある。普通の者では死んでいただろう。お前には力がる自分を信じろ。そしてお前にチャンスをやる。このスキルオーブをお前に与える。これは今回の報酬だ。」
少年は驚いた。スキルオーブの事は知っている。非常に高価な物で貴族でも中々買う事が出来ないと聞いたことがあった。それを報酬で貰える。
少年「いいんですか。高価な物と聞きました。」
アル「いいんだ使え。使って冒険者にでもなるか、ダンジョンに潜ってもかなり戦えるぞ。」
少年「も、もし、許されるなら、貴族様の元で働きたいです。」
アル「ん、俺のとこでか別にいいぞ。それならもっと強くならないとな。俺の所は猛者ばかりだ。よしならば、初めは色々と移動もあるしな。」
アルはなぜか上機嫌で少年にワイバーンのスキルオーブと身体強化のスキルオーブを渡し使わせた。
少年の最初に貰ったスキルオーブは槍であった。アルは弓のスキルも渡し。これでダンジョンに潜って訓練しろといった。少年に部下の中から一人選び指導者にした。その指導者は、少年が自立できるようになれば領主にすると伝える。
少年に名が無かった。アルは、その事を気にしていた事に気付いていたがタイミングが掴めずにズルズルと話が長くなっていた。
アル「俺の家臣になったんだ。俺が名をやろう。そうだな。俺の名がアルフォードだからフォードだ。お前はこれからフォード。そうだフォード・ギルベルトにしよう。
この言葉にこの場に居た者達、みんなが驚いた。普通は、貴族以外に苗字はない。それをフォードに授けたのだ。
トム「アル様、アル様苗字は拙いでしょう、貴族でもないんですよ。」
アル「嗚呼そうだった。でも今さら止めますとはいかないよこの俺が名づけを行なったんだ。よし決めた。トムお前の養子にしろ。それでフォードを分家にして独立だ。あっ丁度いいトムの所も苗字が決まっていなかっただろ。男爵なのに」
トム「うっ、みんな揉めてるんですよ。」
アル「それなら、まだならとりあえずでギルベルトを使えよ。まだの者達はとりあえずで使っとけ。正式に決めたら変えればいいし苗字がないと正式書類が出来なくて不便なんだよ。」
トム「分かりました。みんなが使うのなら俺はギルベルトーズにします。」
アル「おおいいね其れ。ギルベルトーズかぁ。
少年は置いてけぼりだった、勝手決まっていく自分の人生だがなんか温かく心地が良かった。
このアルのギルベルトとギルベルトーズはギルバート家の新しく叙爵する家臣たちの人気の苗字となっていく。ギルバートの関係者とすぐ分かるこの苗字が多くつかわれるようになる。そして最初にこの苗字となったフォード・ギルベルトは、平民から爵位なし貴族となり、子爵までになった。民の間では伝説となり成り上がりの物語の主人公を何度も務めている。
そして王城では
陛下「フリードリッヒ、よくも問題を起こしてくれたな。」
公爵「へ、陛下これは大問題です。この公爵に子爵が・・・」
陛下「黙れ、今回の事は宰相より、報告があった。詳細は分かっている。公爵が宣戦布告をしたことになるな。もう今頃は領地も占領されているだろう。」
公「ま、まさかまだ数時間しか経っていません。」
陛下「まだ分からんようだな。お前の領地はもうない。」
公「・・・・まさか。」
この後アルより王家に報告がなされた。公爵領を占領した事,公爵領をリーフ王国に全て献上する事がアルより伝えられた。
その後
陛下「公爵、領地のなかっ事が分かったであろう。」
公「・・・・・・」
陛下「お前は誰を相手にしたのかを理解しろ。」
公「・・・・・」
陛下「領地なしでは公爵は務まらんだろう。」
公「ま、待ってください陛下。領地は今リーフ王国が管理しているとお聞きしました。お返し願えませんでしょうか。」
陛下「あの領地はギルバート家のアルフォードがリーフ王国に献上してきたのだ、公爵には関係あるまい。」
公「・・・まさか。本気ですか。リーフ王国に長年仕えたこの公爵家の領地を取り上げると言うのですか。」
陛下「余が、公爵から取り上げたのか。」
公「い、いいえ違いますが、これまでの貢献を考えていただきたく。」
陛下「これまでの貢献かないな。」
公「えっ、」
陛下「リーフ王国に今まで何をもって貢献したと言うのだ、己が貢献したことを言え。」
公「・・・・・・・・・・・・・」
10分ぐらい沈黙が続く。
陛下「貢献していないのだ。公爵、今迄一度たりともリーフの利益になった事がないのだ。」
公「・・・・・・・・・」
陛下の周りにいる重鎮達と貴族達は、この陛下と公爵のやり取りを聞いていた。
みんな何とも言えない表情をしていた。
陛下「余も、さすがに調べさせて驚いた。このまま公爵を続けることは難しいだろう。領地もなく貴族としての付き合いも出来まい。このまま没落はさすがに余も思う事がある。」
公「で、ではどこかに新しい領地を頂けると言う事でしょうか。」
陛下「そう期待するな、普通は公爵位の剥奪だ。平民となるのだ。それではもう生きて行けまい。情けは今回だけだ。公爵位は剥奪だが、子爵位をくれてやる。領地は暮らせる程度は・・・宰相どこか領地の空きはあるか。」
宰相「そうですな、ダルメシア王国との国堺の直轄地ならあります。」
陛下「ならばそこで再起を計れ。もし次に何かやれば平民になるぞ。子供をいるのだ貴族として継がせてやれ。」
公「・・・・はい。」
そして今まで公爵にすり寄っていた貴族達は、王家にすり寄り公爵領のおこぼれに与ろうと必死で食いついてきていた。陛下も宰相もうんざりした顔をしていた。
一人となった。元公爵は、王都の屋敷に帰っていった。が屋敷は閉鎖されていた。王城からの馬車もいなくなり側使えの者2人と途方に暮れていた。
夜になってもその場を動かない元公爵たちにさすがに同情したのか、隣の貴族が泊めていた。




