105話 女神様
鉄道工事は順調に進んでいる王都~ギ4ルバート領までの列車の影響か、物凄い速さで工事が行われている。
鉄道路線上の貴族達も協力的になった。大物貴族のような勝手に駅を作る者もいない。
以前の大物貴族の二人は隠居した。もう貴族界に顔を出せなくなってしまった。
アルは王都で陛下と雑談をかわしていた。
陛下「アル、鉄道は順調だな。」
アル「はい、工事もかなりのハイペースで進んでいます。」
陛下「今、5か国から問い合わせが来ている。鉄道の件だな。」
アル「あーー、来ますよね。特にロング帝国は興味深々でしょうね。」
陛下「あお広大な領土に鉄道を敷きたいと思うだろうな。」
アル「そうですね。鉄道は、国家に取って有効な乗り物になります。大量輸送に適していますから。」
そんな時、一人の役人が陛下の元にやって来る。
役「陛下、失礼いたします。」
陛下「アルは大丈夫だ申せ。」
役「はい、先ほど、東の小国タリー王国が我が国に使者を送ってまいりました。小国ですので陛下には謁見させずに処理をいたしました。小国タリー王国は、リーフ王国に援助要請を求めております。」
陛下もアルも、そのタリー王国がどこにあるのが分からなかった。役人に地図を持ってこさせた。
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|ーーーーーーーーーーーー| ダルメシア王国 | | ー|ーーー
海| | |ーーーーーーーーーー| |
| セレン王国 | | |
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海| | | |ーーー|
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| | リーフ王国 | |
海| | | ロング帝国 |ーーーーーーーー
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海|ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー |
| | | | 小国国家集合体
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| ガリレオ王国 | テトラ王国 | |
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役「大まかな地図しかありませんが、この小国国家集合体の中にあります。」
陛下「小国集合体は、何か国ぐらいあるのだ。」
役「20か国はあります。正確な数は把握しておりません。」
陛下「でそのタリー王国は何を求めておる。」
役「はい、援助要請の内容は、兵の派遣です。」
陛下「無理だな。却下だ。」
役「了解しました。そのように伝えます。」
アル「少し聞きたいのですけど、何故うちに援助要請を頼みに来たんですか。」
役「其処まで聞いておりません。」
アル「陛下、この話私が聴いて対処でよろしいですか。」
陛下「リーフ王国は一切関知しない。どのような状況でもだ。それでよいのなら好きにせよ。」
アル「ありがとうございます。」
アルはなぜか話を聞きたかった。何故かは分からない。
役人にアルはその国とのコンタクトを頼んだ。
そして翌日、タリー王国の使者は、ギルバート王都邸に姿を現せた。
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| スリート王国 | メイセン王国 |ーーー
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|ーーーーーーーーー|ーーーー| タリー王国 |ーーーーーー|
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| ドロイド王国 | アンデル王国 | クリデン王国 |
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使者「初めて御意を得ます。私はタリー王国、宰相マクロス・ウイリアムと申します。本日はありがとうございます。
アル「アルフォート・フォン・ギルバートです。リーフ王国で話を聞きました。興味がわきましたのでお声を掛けました。まだ援助するかは未定です。」
使者「もちろんです。私の話をお聞きしていただいた後にご判断ください。」
タリー王国は、現在小国群の中でもさらに小国である。小国の中の小国と言われている。
その国が今狙われている。その理由がダンジョンが発見されたのだ。それも王城内(敷地)でだ。
小国であるタリー王国は通常であれば、各国に対して譲歩して共同経営なりを承諾する。それが一番問題にならないからである。最悪でも領地の割譲で済ますまで譲歩する。まぁその結果今の領地になってしまっている。要はこのタリー王国は争わない国なのだ。それを知っている各国はタリー王国に常に要求をするようになっていた。だがそれも、今回のダンジョン発見は、場所が悪い、王城内であった。さすがのタリー王国も城を明け渡すことは出来ない。もしそれをやってしまったら国が無くなってしまう。
各国は今タリー王国に軍を派遣するぞと脅しをかけてきている。困ったタリー王国は、ロング帝国に助けを求めた。ロング帝国は小国群には手を出したくないのだ。揉め事は避けていきたいとの姿勢だった。それでも必死にタリー王国は縋りついた。そこで一つの噂を聞いた。ロング帝国で噂になっている女神様の噂であった。
リーフ王国の女神、その噂に賭けてみる事にした。宰相であったがいざリーフ王国に来てみると女神の噂が全くないのだ。そして困った宰相はリーフ王国の城にやってきたと言う。
話しを聞いていたアルは、苦笑いしか出なかった。