100話 6か国協議
6か国協議が始まった
事前に話の内容が伝えられていた事もあり、最初から白熱した話になっていたダンジョン内移動が可能なった。この事実は衝撃的であった。リーフ王国からロング帝国帝都迄馬車で50日は係る。それが1日で移動が可能となる。この効果は計り知れない。まぁワイバーンという移動手段もあるが、大きな荷物を持って移動出来る事が大きかった。
各国の王都に造る事の確認とその内容であった。ダンジョンを今造る事の出来る人間は7人それも限定されている。
各国は、その7人のうち一人が各国の担当となる。
レビンはガリレオ王国、クリスはロング帝国、カインはテトラ王国、ベントレイはセレン王国、レイモンドはダルメシア王国となる予定だ。
(国内は、ジークは南、クリスは西(作成済み)、アルは東と北)
各国担当の者達は各国より名誉伯爵位(レビンは侯爵位)を授与されることが決定された。それに伴いダンジョン周辺の土地も譲渡される。小さいが領地となる。
この情報で各国の貴族達の動きが活発化されてしまった。王都周辺貴族が牽制し合い険悪になってきていた。
この事実を重く見た各国首脳は話し合った。国内にて再度ダンジョンの場所の選定を行なう事を発表していた。今この場での揉め事を嫌ったのだ。
それでも貴族達は動く、各担当の人に接触を試み、祝い品を贈る者が多く出ていた。
送る貴族達を驚かせたのが島の品質の高さと品物の豊富さであった。舶来品も多く。別大陸の物も多かった。
改めてギルバード家の力を見せつけられたようであった。
そして各国はダンジョンの内容にも関心が高く、詳しく説明する事になってしまった。
ダンジョンには、作物、鉱石、魔物、スキルオーブ等が設置できる事、ある程度はそれを選べる事(希望を聞く)スキルオーブは、40層迄のスキルオーブなら可能と説明を行なった。
各国はワイバーンスキルを欲していたが出来ないものは仕方がないとすぐに割り切っていた。
そんな各国の首脳陣をよそに、ワイバーンスキルが出来ない事を知った貴族が無能だのとほざいて回っていた。それに激怒したのがジークであった。ジークは、その国には造らんと怒り譲らなかった。
その国とは、テトラ王国であった。困ったのはテトラ王だ。
リーフ王国とは長年揉めていた。ここ数年はリーフ王国の譲歩が有り、島の効果で両国の関係も改善されてきていた。だが今回は長年揉めてきていたダンジョンの事であった。テトラ王国貴族も過激に反応したこともあるが、造ってもらえる者に無能呼ばわりは余りにも不遜であった。その貴族の処刑を持って不問として貰う事となった。
各国の首脳たちは、内密に担当者と話し合いをしていた。ダンジョン作成でどのようなダンジョンになるのか、どのように希望を取り入れて貰えるのはを確認していた。それは真剣な物であった。セレン王国担当のベントレイは、セレン王国がベントレイに対して下手に出てくることに戸惑い、困っていた。元が真面目な騎士である。爵位貴族でもなければ、領主でもなかった。親が騎士であり、偶々ギルバートのマリーと知り合い結婚をしただけであった。それが今では貴族以上の扱いを受けている。お情けで男爵位を貰ったと本気で思っているベントレイであった。
実際は、ベントレイは最初はお情けで男爵位と領地を渡されたのは事実であったが、今ではその能力がきちんと評価されている。ギルバート家の一員として他の貴族では出来ない事も今のベントレイであれば何事なくこなせる様になっていた。その辺の貴族なんかには及びもつかな程に差がついている。
今のベントレイは、飛竜を乗り回し、剣で槍でハイオーガでさえ一撃で倒す。そしてファルコン家の騎士団長でありマリー家の騎士団長でもある。ベントレイ一人で二つの騎士団とワイバーン隊を持っている。ギルバート家を抜きにすれば、リーフ王国内でもかなり上位の軍事力である。
もう一人の婿ではないが半婿のレイモンドは、今ではいっぱしの領主である。爵位なしから男爵になった。爵位なし貴族の憧れとなっている。
レイモンドは努力の人であったアルやカイン、クリスとも仲が良く。本当の弟ようである。
そしてその実力もアルたちに追いつくまでになっている。青い飛竜を操り、ワイバーンたちを率いている。戦争での活躍で一躍英雄の中入りを果たした。蒼き悪魔はその若さと爽やかさでリーフ一の人気を集めている。この若さで二つ名の持った者はいない。
ついでに、ケリーの夫サイダーは、研究者である。戦闘能力は皆無であった。いや興味がないだった。
爵位にも興味がなく、錬金術と実験にしか興味のない男である。
実験資金だけには執着するがそれ以外の金には無頓着だ。
ケリーに尻を叩かれ、怒られて幸せそうにしている。微笑ましい夫婦である。ちなみにサイダーは、世界中で今では飲まれている。大金持ちである。爵位も男爵となっていたが、本人も男爵と聞いてビックリしていた叙爵された事をすっかり忘れていたのだ。
話を戻すと各国の担当者が、各担当者を過激に持ち上げてきていると言う事だ。まぁ悪い事ではないが普通に扱ってほしいのが本音であった。各国としては、リーフ王国貴族であるが自国の名誉貴族でもあるのだ、それにダンジョンの所有者という世界で7人しかいない者の一人である。大事にしてもしたりない。
多少過激に、下手に出る事は仕方のない事であった。
そんな各国の首脳陣の部下たちは、必死になっている。その者達の印象一つで自身の出世も決まってしまう可能性がある。また出世も思いのままになるかもと夢も膨らんでいる。膨らみ過ぎて破裂しそうになっているが・・・。
このダンジョン作成で、世界に十数個しかなかったダンジョンがこの6か国に10個増える事になる。
6か国以外の国々は、面白くない。かなりの抗議がリーフ王国とロング帝国、ガリレオ王国に寄せられている。ロング帝国とガリレオ王国は、世界の中でもかなりの大国である。
この二か国はその調整や宥めに奔走もしている。自国の利益の為であって各国を思いやっての行動ではない。それは仕方に無い事でもある。自国優先は皆同じ考えである。
そして6か国協議は終わった。
各貴族達の思惑は別にして、6か国協議の結果は、各国の思惑通りとなりホクホク顔であった。