俺の初めての彼女とのデートは、まるで初恋のような甘酸っぱいデートでした。
俺は以前から好きだった女の子に告白する。
ただ彼女からしたら? 一度も会った事も話した事もない男に突然
告白されて、どう思ったのか?
・・・でも彼女は意外な言葉を俺に放った!
俺が彼女に告白したあと直ぐに、“付き合ってもいいよ” と良い返事をもらう。
見知らぬ男に急に声をかけられ、更に“告白されて” それを受け入れる彼女。
なんだか冷静に考えると? かなり不気味な話だと俺でも思うがな!
俺も何が何だか分からないけど。
それでも俺は彼女と付き合えた事が嬉しかった。
そして今日、“彼女と初めてのデートをする。”
『ごめんごめん、待った?』
『“・・・い、いや? 待ってないよ! 俺も先、来たところだし。”』
“本当は嘘! 緊張して1時間前から待ち合わせの場所に居たよ。”
『水族館だよね、数尾さんは海の動物が好きなの?』
『・・・ま、まあね、』
“これも嘘! 正直、動物園か水族館か悩んだし、動物を見てる時間が増える
方が時間も間も埋まると思ったからだ!”
『どこから回ろうか? あぁ、あそこにペンギンが居るよ! 見に行く?』
『・・・う、うん、』
“正直、今の俺は何を見ても全く記憶に残らないだろうな、緊張し過ぎて
彼女に何を話していいのかさえ分からない。”
『ほらほら、あそこ見てよ! ペンギンがこっち見てるよ。』
『あぁ、そうだね、』
“緊張がピーク、どのタイミングで彼女と手を繋ごうか? ワザとらしく
見られたくないし、自然に彼女の手を繋げ、行けるぞ俺!”
『大丈夫? 顔が青ざめてるけど? 気分でも悪いの? 少し休もうか。』
『・・・あぁ、ううん、』
『じゃあ、飲み物買ってくるね!』
『うん。』
“結局、手を繋ぐタイミングを逃してしまった! どこで手を繋ごうかな?”
『買ってきたよ! どっちがいい、お茶と水?』
『・・・じゃあ、水で、』
『じゃあ、私はお茶で!』
『うん。』
“なんか話さないとな? 俺が面白くない人間だって直ぐにバレちゃうじゃん!
でも頭が真っ白で何も浮かばない、ヤバいヤバいよ!”
『少しは、体調治った?』
『あぁ、ううん、』
『どれどれ?』
『・・・えぇ!?』
“案外大胆なのか? こんなところでオデコとおでこをあてるとか?
皆が見てるのに平気なの? それならこのタイミングでキスとかできちゃう?
いやいや? このタイミングじゃないよな、我慢がまん!”
『もう行こうか、時間勿体ないし。』
『・・・あぁ、うん、心配かけてごめんね。』
『別にいいよ。』
“彼女はなんて優しい人なんだ! 眩しいほどの笑顔でこんな俺にも優しい。
彼女に嫌われたくないけど、絶対に俺は彼女と手を繋ぐんだ!”
『どうしたの? なんかやる気が出たみたいだけど?』
『えぇ!? まあ、だってせっかく一緒に水族館に来てるのに、
俺のせいで楽しめなかったら、申し訳ないし! やる気も出るでしょ!』
『でも無理しないでね! まだ体調治ってないんでしょ?』
『大丈夫! 大丈夫!』
“俺は絶対に今日、彼女と手を繋ぐと決めて来たんだ! こんなところで
諦めてたまるか! 俺は絶対にやるぞ! 彼女と手を繋ぐんだ!”
*
結局、緊張しっぱなしの俺は最後まで彼女と手を繋ぐ事はできず。
水族館の動物もロクに見れずに初めての彼女のデートが終わる。
ただ、彼女と一緒にデートができたコトは今日の俺の収穫かもしれない!
優しく可愛らしい彼女がたくさん見れたから、まあ今日はそれだけでいいかと
思いながら、まだ彼女と一緒のデートの帰り道。
・・・突然! 彼女が俺の手を握り俺の手の中に何かを入れて帰って行った。
これは! 俺は彼女と手を握ったと言えるのではないのか?
手を繋ぐという言い方ではないが、確実に俺は彼女の手を握った。
それが俺の更なる収穫だ!
でも、彼女は俺の手の中に何を入れていったのか?
彼女が居なくなった後、俺はゆっくり手を開くと、、、?
手の中には小さな“キーホルダーが入っていた!”
どうやら? 俺に内緒で“お揃いのキーホルダーを買っていたらしい。”
なんか青春だな、これが恋ってやつだな。
俺は遅い青春を今送っている!
37歳、初めての彼女が今の彼女。
恋はいつしてもいい! 俺の恋はまだはじまったばかりだ!
そんな恋愛もサイコーだよな!