表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/25

第五話     進んでゆくとき

投稿遅くなってすみません!!


こんな作者でよければ、これからもお付き合いねがいます^^

「へえ・・・君も」


「はい。でもこの学校に、これほどまで契約者がいたなんて・・・。びっくりですよ」

真鶴は桃真の隣に腰かける。


「ところで、先輩方も琶月さん絡みですか?」

「ああ。そうだ」

「・・・・」

琶月はどうやら、知らぬ間に話の中心にいるらしい。

桃真が琶月を遠くから見つめていると、たくさんの視線を感じた。

「なんすか?」

「いや、まず。知っていることをききてぇなって思って」

みな真剣な瞳で桃真を見ていた。

「『だから行くなっていっただろ』ってことは、こうなることがわかってたってことなんだよね?」

「そうです。俺には少し先の未来を見る、つまり、予知能力があります」

桃真は話し始めた。


自分にはなぜか予知能力があり、物心ついた頃には使っていた。

でも、何が起こるのかを他人に言ったり知られたりすると、その未来は確定してしまう。

言わなかったとしても、未来が変わるのはごくまれだが。

でも、ある日から琶月にストップをかけられていて、知っているのは琶月と俊祐だけだった。


「こんなもんです」

桃真が話し終えると、部屋はしんと静まり返った。

そして、陸原先輩の声がその沈黙のなかに響く。


「・・・お前は契約者だろう。知らぬ間にそうなっていることもある」

「・・・契約・・・・」

いきなり契約者なんていわれてもぱっとこない。

納得できないという感情が顔にでていたのか、真鶴があることを提案する。


「信じられないなら、信じてもらうまでです。きっと桃真先輩も、戦いに巻き込まれるでしょう。僕の力を見せてあげます」


真鶴は桃真と目を合わせる。


戦いに巻き込まれる?力?

一体何を言って・・・


「“一体何を言っているんだ”・・・ですよね?」


「!!??」


心を読まれたような感じだ。

真鶴は「僕にはわかります」と言ってにこっと笑った。


「なんでわかった・・・?」


「そういう能力ですから・・・」


どこか悲しそうに言って、真鶴は息をすいこんだ。


「僕は、“憑神”という名の妖と契約しました。目を合わせると、無意識のうちにその人の感情がわかってしまいます。それはアノ頃の僕が心から望んだ力だったけど・・・今の僕は誰とも目をあわせたくない」


そう言って真鶴は顔を伏せた。

そして、波沢先輩が手をひょいっとあげる。


「俺は、風を操る“天狗”と契約したなぁ。そのまんま風を操る程度の能力だけど、こりゃ俺の罪だ。文句言ってらんねえよ」


波沢先輩はへへへ、と小さく笑う。

そして陸原先輩も言う。


「“鬼”と契約した俺は、尋常ではない力を手に入れた」


それ以上はなにも言わなかった。

残るは・・・

「僕だね」

凪森先輩が薄く笑う。


「なんか幼稚園の自己紹介みたいで気が乗らないよね、こういうの。ていうか、どうしても言わなきゃだめ?」


きいても誰も答えずに、じっと凪森先輩を見る。

すると、凪森先輩は苦笑いをして話してくれた。


「僕はね、“名もなき神”の力を持ってるよ。名がないっていうのが名前なんだ。変だよね」


何もないふうに笑いながら言った先輩だったが、次の瞬間。


「うわ!!」


俊祐の声が聞こえた。

あわてて振り返ると、俊祐が髪の毛を引っ張られていた。


・・・・誰に?何に?


俊祐の髪の毛を引っ張っているものは何も無い。

勝手に動いている(・・・・・・)のだ。


「ふふふ。お姉さんがいくら好きだっていっても、ずっと眺めているのは気持ち悪いよ」

凪森先輩がクスクス笑いながら言った。

・・・え?

やっているのは凪森先輩?


「なんか、こんな感じなんだよね。ん~。簡単に言えば、超能力かなあ?」

何かが切れたと思うと、俊祐は痛がるのをやめたかわりに、なみだ目になりながら混乱していた。


「わかってくれたかな?」


凪森先輩はにやりと笑った。

すると、陸原先輩が溜め息をつきながら言う。


「お前は馬鹿か」

「秋君もお馬鹿さんだよね♪」


すぐに、にこにこと凪森先輩が答える。

そして、俊祐を見た。


「君は、何があるの?この話しを聞いてるんだから、それなりの理由があるんだよね?」


「・・・・!!」


俊祐は体をこわばらせた。

・・・俊祐には、なんの力もないから。

凪森先輩は、どうしてそういうことに鋭いのだろうか。

すると、今までじっとしていた波沢先輩が俊祐のもとに歩いていった。


「俊祐、でいいんだよな?・・・お前も、琶月ちゃんの記憶がない間のことわかるんだろ?なら聞いててもいいんじゃん?」

「波沢先輩・・・!」

 

波沢先輩はニッと笑った。

きっと、先輩なりのフォローなのだろう。


でも、そんな気遣いを受けて俊祐の心はさらに沈んだ。


「俺は・・・・入院していて、意識が無かったので・・・・わかりません」


そんな、暗い空気になってしまった中。


「にしても、琶月ちゃんてホントかわいいよな」



「「!!??」」


波沢先輩がいきなりそんなことを言った。

もちろん、桃真と俊祐はわずかに反応する。


「いきなりなんすか、先輩」

「姉さんがかわいいのは当ったり前です」


波沢先輩は「そかそか」と言って笑う。

・・・去り際に耳元で。

「その話し、今度詳しく聞くからな」

そういわれたが。


一瞬この部屋の緊張が解けた気がした。

波沢先輩は、とてもいい人だ。

だが、そんな空気もすぐに終わってしまった。


「では、また話しを戻してもいいか?」


陸原先輩が有無を言わさないような声で言う。

・・・まだ続くのか。

そんな感情を押し殺して、桃真はうなずく。


「そういえば、まだ話していなかったよな。俺らの共通点」

「ああ」

「共通点・・・?」


なるほど。

その『共通点』で、この人たちは無意識に集まったのか。


「俺たちが契約した妖はみな、“我愛しの魔女を守りたまえ”という願いを俺たちに与えた。これは、魔女と契約した者を守るということ。つまり、琶月を守れということだ」


魔女・・・?


「魔女って一体な」

「ま、そういうことだからよろしく」


聞こうとしたが、凪森先輩は「今日はこれでおわり」とでも言うように、桃真の発言をさえぎった。


「桃真ぁ、俊祐!これから仲良くしようぜ!!」

「よろしくお願いします」


そのあと、なぜかみなあいさつをした。

これには俊祐も意味がわからなかったようで、琶月の傍を離れて桃真の隣へ行き、俊祐も疑問符を浮かべている。


「・・・?」


なんだか、『これからずっと一緒にいるから』といっているような・・・?


「妖さんが守れって言ってるんだから、琶月ちゃんはなんらかの理由で、なにかに襲われるってことでしょ?だから、これからは僕ら、出来る限りそばにいるから」

「そゆこと」


ぽかん・・・


「「ええぇぇええええ!!!??」」


さすがに、それはちょっと!!

二人は同時に声を上げた。

すると・・・


「・・・・・ん?」


「姉さんっ!!!」


琶月が目を覚ました。

俊祐は風のように琶月のもとへ駆け寄る。



「姉さん!!!大丈夫???」

「は、はい・・・大丈夫、です」


大丈夫といっておきながらも、体がとてもだるそうだった。

桃真は琶月のもとに行き、しゃがんで背中を向ける。


「ほら、おぶってやるから。帰るぞ」

「桃真君・・・?」


軽く寝ぼけているようだ。

「そうだ。桃真だ」といいながら、自分の背中をぽんぽんとたたく。


「う~・・・?」


すると琶月は、ふらふらと桃真の背中に身を預けた。

桃真は一瞬、背中にあたるやわらかなふたつの感触と、手に触れたふとももの体温にドキっとしてしまったが、そういう気持ちはだめだ!!!と自分に言い聞かせて、冷静を装う。


そんな三人を見ている人たちは。


「な~んか、二人の世界だよね」

「・・・・・」

「仲がいいんですね」

「む~・・・・・・」


取り残された気分で見ていた。


「じゃあ、俺ら帰りますんで」

「さようなら~」


そそくさと帰ろうとする三人を、真鶴が止めた。


「まってください!僕らもご一緒させてください!」


外はもう橙色。

7つの影がならんでいた。



――そんな様子を、遠くから眺める影・・・・また一つ。




・・・・まだ、物語は始まったばかり。

それでも、歯車は回っているのだ。


彼女らが笑っていられるのは、あとどれくらい?

はたまた、彼女らが本当に笑えるまで、あとどれくらい?









どうでしたか~^^

キャラ紹介をします!

火谷真鶴(ほたにまつる)

礼儀正しい。真剣なときは真剣だが、普段はおどおどしているかわいい少年。

波沢泰人(なみさわたいと)

ムードメーカ的な存在で、運動神経抜群だが残念な学力。

凪森遊(なぎもりゆう)

いたずら好き。なんでもはっきり言うタイプ。

陸原秋(くがはらあき)

生徒会長。自分の努力は人に見せないタイプ。


です!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ