第二十話 ××の独り言
私は、自分の部屋でパソコンをいじっていた。
開いているのは、最近人気のネットゲームのサイトと、自分で書いた小説を載せることができるサイト。
「どうして私は、私を作ったんだろう」
私が作った私は思う。
――私を作った私は、この世界をどうすることもできる。
なのに、私は作られた。
なぜ?
私は、この世界に作られた。
友達も設定されている。
役割も、設定されている。
「この世界でなにかあったときのための私。そして、あの子を苦しめるための私」
私は、この世界で不都合があったときに働く。
たとえば、死。
だれかが死ななければならない展開になったのなら、私は死ぬだろう。
たとえば、謎。
私を作った私が、この世界に作った彼女達をどう動かすかに困ったなら、私がヒントを与え、世界の進み具合を助けよう。
私は彼女達と違い、自分が作られた存在だというのを知っている。
だからこそ・・・辛い。
彼女達は、私の友達、という設定。
だから私は、彼女達の友達。
私は私に与えられた、私の役割のせいで、彼女達を苦しめなければならない。
私を作った私は、
『この世で一番切ないのは、恋。
この世で一番感動するのは、切ない恋。
だから私は、切ない恋を書きたい。』
そう考えている。
そのせいで、彼女達は・・・・・
“切ない恋”をしている。
私は、その“切ない”を、さらに切なく。
謎を置いていき、ヒントを与え、秘密を作る。
そんな私が、作られた。
「この世界がどうなるか、そうするかなんて・・・あなただけでいいじゃない。自己中で、いやしくて、うそつきで、最低な私」
――もう一人の私は、私にそう言った。
「ごめん。自己中でさ。」
私は、物語の中の私を、幸せにできるのだろうか。
パソコンの電源を落として、もうそろそろ寝よう。
明日は、姉ちゃんとカラオケに行く。
これはきっと、××の独り言・・・。
誰視線なのかは、言いません。