第一話 『普通』でいられた最後の刻
ドキドキの初投稿・・・!
何度も読み返したので、誤字はないと思いますが
あったらごめんなさい;;
下っ手クソな小説なので、暖かい心で読んでくださると
幸いです^^;
んで次話も書く予定ですが、テスト勉強を捨てきることができないため、投稿は遅くなると思います(汗
では、どうぞ~^^
どうか、泣かないで。
どうか、謝らないで。
どうか、悲しまないで。
どうか、悔いないで。
私を殺したのは、私です。
私を癒せなかったのも、私です。
あなたを殺したのも、癒せなかったのも・・・この私なのです。
私は大変な罪を犯してしまった。
どうか、あなたさまも。
御自分の罪に気付いてくださいますように――――
あなたは誰・・・?
ゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロ!
「ん・・・・」
カエルの形をした目覚まし時計がやかましく騒ぐ部屋で、玖堂琶月は目を覚ました。
「もう朝かぁ・・けろちゃん、うるさいですよ・・・っと」
独り言を呟きながら、うるさいけろちゃんを落ち着かせる。
ふと、目が熱くなっていることに気付き、そっと触ってみると。
「あら?なんで私、泣いて・・・」
自分の顔が涙で濡れていることに気付いた琶月は、あのときに見た夢を思い出した。
考えてみても、あれは自分の声だった。だが、あんな喋り方はしないし、殺したがどうのこうのって・・・誰かを殺したことなんてない。
あれこれ考えたって時間の無駄だと考えた琶月は、うわついた足取りで顔を洗いに行く。
「目は腫れてないはいないようですね」
さすがに、目が腫れている状態で学校へ行くのいやだと考えていた琶月は、鏡を見て目が腫れていないことを確認しほっと胸をなでおろす。
そして、制服に着替えたら、全身を鏡で見て身だしなみを整える。鏡を見れば、思うところはたくさんある。
琶月は露出を避けたいため、ニーソックスを愛用している。長いスカートにしょうと思ったのだが、ミニスカを希望する友達が多かったためやめたのだ。それにいつも思うが、制服は胸元がきつい。中学のときからきついが、制服とはやはりこんなものなのだろうか。
なんなんだ一体という感じだが、そこは抑える。
時間をちらりと見ると、もう7時だった。
「・・・急がなきゃ!」
琶月の学校、翠藍高等学校へ行くには最低でも三十分かかる。八時を過ぎると遅刻になってしまうので、7時半には家を出なくてはいけないのだが。
「お弁当も作ってない、俊祐君も起こしてない、朝ごはんも作ってない。今日の私、どうしちゃったんでしょうか」
焦りながらもゆったりとしてしまうのが悩みだ。全くどうかしてる。
小走りで二階に上がり、自分の部屋の隣の部屋へと向かった。
そこには、少年が1人眠っていた。
「俊祐くん、起きてくださーい!」
俊祐と呼ばれた少年はもぞもぞと体を起こす。
「おはよ~。姉さん」
「はい。おはようございます」
彼は玖堂俊祐。琶月の義理の弟だ。
琶月は小さい頃 孤児院にいたが、娘がどうしてもほしかったらしい玖堂家に引き取られ、この家に住んでいる。
今はもう思い出したくもない、いや思い出せない中二の夏の“アル事件”がきっかけで、玖堂家にはこの二人しかいなくなったが・・・。
「ごめんなさい、今日は少し遅れてます。なのでちょっと急いでくれますか?」
寝ぼけ眼に問いかけてみると、一気に目が開いた。
「・・・姉さんのためならなんだってするよ!!」
「ありがとうございます」
「お礼なんていらないってば!」
ふんわりとかわいらしい笑顔を浮かべて、自分のやるべきことをしにいった俊祐は、階段で盛大に転ぶのだった。
その後、琶月はエプロンを身に付け、すばやくお弁当作りにとりかかった。料理は得意だが、この短時間で二人分を作るのは難しいので、おにぎり4つに昨日の夕食の残りを弁当につめる。思ったよりもあっさり完成してしまった。
時計を見れば七時二十五分。思ったよりも早くできたが、まだやることはある。朝ごはんは・・・・食べる時間なんてない!
「俊祐くん、大丈夫ですか~?ごめんなさい、朝ごはんを食べる時間はないみたいです」
俊祐がいるところに声を掛けると、もう準備ばっちりの俊祐が歩いてきた。
「大丈夫だよ姉さん!おれは姉さん見てればおなかいっぱいだからさ!」
「もう、朝から何言ってるんですか」
いくら弟の言葉でも、照れるものは照れる。照れをごまかすために少し笑うと、
「姉さんは今日もかわいいよ!」
「・・・・」
なぜそんな言葉をいつも簡単に言えるんだろう。はっきり言えばこの言葉は毎日聞いているのだ。いまだに言われなれていないため、こればっかりは頬をほんのりと染めてしまった。
「姉さんかわいいいいい!」
しまいには抱きついてくる始末だ。最近の弟とはこんなにも人懐っこいのか。小さい頃からこうだが・・・。
「って、時間は!」
時計をみると三十五分。もうダッシュで学校へ向かうしかない。
「いってきます!」
「いってきまーす」
もう誰もいない家にそう告げて、急いで家をでた。
「これは絶対間に合いませんね・・・ホントにごめんなさい、俊祐くん」
「いいって!気にしないでよ姉さん!」
俊祐は軽く琶月を見て、笑顔で答える。
そのとき。
「お前ら、まだここにいたのか。遅刻するぞ?」
ふと後ろから聞きなれた男の声が聞こえた。その声の主は、簡単に琶月を追い抜かし、琶月の手をとった。
「桃ちゃ・・桃真くん!」
「桃真兄ちゃん!」
「おう。それよりお前、今『桃ちゃん』って言いそうにならなかったか?」
「そ、そんなことないですよ!桃真くん!」
彼は、琴片桃真。琶月と俊祐・玖堂家のお隣さんで、小さな頃から仲がいい。幼馴染というものだ。
「それよりも、桃真くんはお寝坊さんですか?」
「・・・お前を待ってたからこんな時間になっちまったんだよ」
桃真はぷいっと顔をそらす。
「あの、走りながらなので聞こえなかったのですが・・・」
素直に聞き返すと、桃真は顔をこちらに向けふてくされたように言う。
「ったく。ああ、そうだよ!俺も寝坊したんだ!」
「そうだったんですか~」
琶月がにっこり微笑むと、桃真は目線をそらし、繋いでいた手をさらに強く握り走るスピードをあげる。
「ほら、急ぐぞ!」
「はい!」
・・・・そんなやりとりを一部始終見ていた俊祐は、心底おもしろくなさそうに口をはさんだ。
「ね~、桃真兄ちゃん。なんで手ぇ繋いで走ってるの?」
「な、んでって・・・こ、こいつの足がおせぇからっ・・・」
答えながらも、桃真の頬に赤みが増す。
「姉さんの運動神経。これだけ一緒にいるんだもん、知らないワケじゃあないよね?」
「そ、それは・・・」
桃真らしくもなく答えに詰まると、俊祐がいたずらが成功した子供のように笑った。
「桃真兄ちゃんって、押しに弱いよね♪」
「なっ!てめぇ俊祐・・・!」
桃真の顔が怒りに歪み、ケンカになりそうな雰囲気で琶月はようやく二人がケンカ直前まできていることに気付いた。
「二人とも~?ケンカっぱやいのは短所です!ダメです!ケンカなら私が相手になってあげますから、ね?」
普通なら驚くセリフを上目遣いにいうその姿はとてつもなくかわいらしくて、二人は撃沈してしまった。
~三十分後~
琶月はおとなしくなった二人とともに、無事学校に到着した、のだが・・・・・。
「一年 玖堂。二年 玖堂・琴片。遅刻だ」
校門の前に待ち構えていたのは、陸原秋。この学校・翠高の生徒会長だ。
「ごめんなさい。ほら、桃真くんたちも」
「・・・・」
「・・・・・」
琶月は謝っているのだが、二人はずっと黙っている。そんなことをしていては時間が過ぎるだけだ。どうにかして何かしゃべらせないと。と思った琶月をかばうようにして、桃真が口を開いた。
「陸原先輩。遅刻したのは悪いと思っています。でも、ここで説教を聞いてるほどヒマじゃないんです。なので・・・・琶月だけは通してもらえませんか?」
桃真の言葉に耳を疑う。疑問を浮かべたままの琶月をさらに困らせるように、俊祐も前へでた。
「桃真先輩の言うとおりです。姉さんが遅れたのはおれのせいでもあります。説教はおれらだけにしてください」
「そんな・・・!」
琶月はおどろいた。陸原先輩の説教はこのうえなく怖いと言われている。二人は琶月をかばってくれているのだ。だが、よく考えれば、遅刻の元凶は準備に時間をかけてしまった自分。そう気付いた琶月は二人を押しのけて言った。
「陸原先輩!遅刻したのは全部私のせいなんです!今日、目覚ましでおきたんですよ?でも、ちょっと準備に時間がかかって・・・!」
必死に訴えたが、陸原先輩は何も言わず。
「なので、あの、えっと・・・・・」
そのあとに言う言葉が見つからず、おろおろしていると、
「琶月お前、何に言ってんだよ!何も言わなければ見逃してもらえたかもしれなかったんだぞ!?」
「そうだよ姉さん!説教はおれらだけで十分だって!」
「何に言ってるんですか!私も遅刻したんです!説教受けなきゃダメなんです!」
結局は三人で口論。
そんなやりとりをじっと見ていた秋は笑いをこらえきれなくなってしまった。
「ふっ、はは・・・お前らは何を言い合ってるんだ?まったく、俺は遅刻したものを指導しなくてはいけない立場なのにな」
「へ・・・?」
「「・・・・・・」」
陸原先輩が笑っている・・・?
三人ともポカーンとしていたため、秋はたんたんと話し続ける。
「もういい。遅刻について説教する気はなくなった」
その言葉を聞いた三人は、さらに唖然とする。
「え?じゃあ・・・!」
「説教なしでとおしてもらえるんですか!?」
しばしの沈黙・・・・
「それは違う」
「え?」
「どういう意味ですか?」
「俺もよくわからないっす」
素直な反応。三人ともまたも疑問符を浮かべた。秋は、そんな三人にきっぱりと言った。
「希望に満ちた瞳で問われても、俺はやはり指導せねばならない立場。お前達にはまだ指導せねばならない点がある・・・という意味だ」
指導されなければない点がある、と言われても、三人は首をかしげるばかり。
「・・・指導されなきゃいけないならないところ・・・ですか?」
「なんだそりゃ」
「陸原先輩、おれ自覚ないっす」
「やはり気付いていないか・・・。では、それに気付くことができたら見逃してやろう」
それを聞いた途端にもんもんとしていた空気が、琶月の笑顔で吹き飛ばされた。
「わぁ!クイズですか!?がんばります~!」
「お前、ほんとにクイズ系好きだよな」
「姉さんががんばるなら、おれもがんばるよ!」
・・・・・だが。
「わからない・・・!?」
そんな様子を見ていた秋は、溜め息交じりに言う。
「ヒントをやろう。お前たちは俺に最初に会ったとき、まず何をした?謝罪と沈黙だろう?」
「「「・・・?」」」」
ヒントをもらったのにまだスッキリとしない顔をしている後輩達を見て、「まだわからないのか」と、今度こそ深く溜め息をつく。そして、面倒くさそうに続けた。
「お前たちは、『あいさつ』というものを知らないのか?」
これで理解した。
「おはようございます!陸原先輩!」
琶月は満面の笑みで言うと、彼も少し口元をゆるめあいづちを返す。
そして琶月は思った。
――陸原先輩は、優しい人でした。
「それより、俺の説教はそんなにいやなのか?」
「「「絶っっ対いやです!」」」
「そんなに拒否しなくても」
「「「面倒なのはいやなんです!!」」」
「・・・・そうか」
という会話があったのは内緒です☆
あの、最後まで読んでくださってありがとうございました!!
次話が気になってくださったならうれしいです^-^
感想ばっちこいです!!