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僕の最終兵器  作者: ぷちちゅん
2/7

ゼロ・シュタイン

目が覚めた。

いつの間にか寝ていたみたいだ。


昨日より幾分調子が良い気がする。何より今日は初めから音が聞こえている。

昨日、彼女が座っていた場所に目をやる。誰もいない。出かけているのか。

薄暗いテントの中を改めて見回す。ほとんど何もない。あるのは机と椅子、それに大きな木箱と、今僕がもたれかかっている小さな袋があるだけだ。


足に力を入れてみる。途端左右の足に鈍痛が走る。

それでも無理に力を入れ、何とかバランスを取りながら立ち上がった。

二、三歩よろけて、後ずさりする。おぼつかない足で何とかこらえた。

僕はどうしてしまったのだろう。立つことさえままならないとは。


ふと、彼女の声が聞こえた。


「……じゃあね、クリス。私はゼロの様子を見てくるわ」


テントの幕が開いて光が入ってくる。彼女だった。


「ゼロ!まだ無理しちゃ駄目」


彼女は僕を見るなり血相を変えて走り寄って来た。僕の肩を担ぐとゆっくり元の場所に座らせる。

僕は再び荷物にもたれかかり、ため息をつく。

彼女は僕の溜息など気にしない様子で、昨日手にしていた銀色に輝く器具を手に、モニターを抱えてやって来る。再び銀色の器具を僕に向けると、何やらチェックし始めた。


「良かった、数値正常。ゼロ、まだ無理しちゃ駄目よ」


そう言えば僕の名前は、なんて言うんだっけ。彼女はゼロと言っているが……


「おかしいわね…計測数値は正常なのに。記憶機能の一時的な障害かしら……」


彼女は、またもや、銀色の器具を使って僕の数値を計測した様子であったが、モニターをみて首を傾げていた。


「僕の名前は…… 」


彼女は僕の突然の問いかけにビックリしている様子だった。そして、少し思案していたが、何やら閃いたようで大きく頷く。


「あなたの名前は、ゼロ・シュタイン」

「ゼ……ゼロ・シュタイン? 」

「そう。みんなは、ゼロと呼んでいるわ」

「ゼロ……僕の名前はゼロと言うのか」


僕は心の中で自分の名前を繰り返した。駄目だ…何も覚えていない。


「私は、アーチャ・ドルチェ。よろしくね。アーチャと呼んでくれれば良いわ」


アーチャは銀色の器具を、手の中で器用にくるくる回しながら言った。


「アーチャ、教えて欲しい。ここは何処? 」

「ここはビルスクル王国とライマン王国の国境よ。私達はライマン側。つまり、劣勢側よ」

「劣勢側? 負けているのか? 」


僕の問いかけに、アーチャは少し悲しそうな顔をする。


「二年前まではライマン側が優勢だったのよ。でも、ビルスクル側は新兵器を開発成功したの」

「新兵器って、何? 」


アーチャは昨日座ってた机まで行くと、手のひらサイズの四角い容器を二つ取ってきた。


「話が長くなりそうだからさ。何か飲みながらゆっくり話そうか」


そう言って、手に持っている四角い容器を僕に向かって放り投げた。

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