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七話「TPS」








今日は比較的早めに仕事を終えれた。

というか、明日が休みだからどんなに遅くなろうがどうでもいいから相対的に早く感じるのだ。





「よっこらせ。事務所からすぐなのに、渋滞のせいで遠いよここ……」


原付を駐車場に停めて、頭からヘルメットを外してそこに閉じ込められていた髪を躍らせる。

以前はせいぜいセミロング程度だったものが、今ではロングヘア程度まで伸びてきたから色々鬱陶しいのだ。

しかもそのせいか周りの車とかから微妙に視線を感じたりもするが、それは無視だ無視。






「やれやれ……」


とにかく原付の鍵を外してから、その建物を見上げる。





ゲーム専門ショップ。

ようするにゲーム機やらゲームソフトやら専門の店だ。








「さーて、ちゃんとあるかな例のソフト」



言うまでもなく今回の目的は、新しいゲームソフトだ。

ここ最近休日の度に暇になることが多く、故にその退屈を凌ぐものが欲しくなった。


こういう時、手っ取り早くこの身に突き刺さるのがゲームだ。

だからゲームを買うことにしたのだ。






「あるかなーあるかなー」


だがどういうわけか、新作のゲームにしろちょっと前のゲームにしろ意外と見つからないものだ。

実は今回探しているゲームも数日ほどかけて何件か回って探しているが、それでも見つかっていない。





「あ、あった」


だから、目的のゲームを見つけた時は嬉しいもの。

それなりに苦労したものだから、小さくガッツポーズしてしまうほどだ。






「やったぜやったぜ。今日は宴じゃーい」




もうこうなると、帰るのが楽しみで仕方なくなる。

新しいゲームを買うと、いつもそうなっちゃうのだ。











「いやこのゲーム、チュートリアルないのかよ」



え、どうすんのこれ。

そんな叫びがアパートの部屋に響き渡る。



言うまでもなく叫んだ先にあるのは、さきほど買ったゲームだ。






「いやまじか。いきなりオープンワールドにほっぽり出されるのか」


今回のゲームは、オープンワールドで銃ぶっぱドンパチする系のTPS。

なんとなくゴチャゴチャした銃を観賞しつつ「おりゃー」とダンマクドウを極めたくて買ったのだ。




「まぁいいや。車に乗ってミッションポイントに行かなきゃ……うわ運転しづら。もう交通事故起きたよ。楽しいからいいけど」


だがどっちかっていうと、車での移動がちょっと楽しい。

現実のトラックと違ってハンドル操作が融通利かない。

だからすぐ運転している車がふらついて別の車にぶつかったり、その辺の歩いている民間人とか吹っ飛ばしたりしてしまう。

でもゲーム的なペナルティがないから、いくらでも交通事故できる。

人轢くってこんなに楽しかったんだ。(※ゲームの中の話です)







「さてと……照準ボタンはこれで、発砲はこっちのボタンと。リロードボタンも覚えたし、なんとかなるかな?」


それはそれとして、ドンパチもやる。

来るまで移動している時に簡単なチュートリアル画面が出てきてくれたから、思いのほかどうにでもなりそうだ。






「うらぁああああ!」



とりあえず敵がいるから銃弾をぶっ放す。

もうそれだけで楽しい。

銃弾が敵に当たる独特の効果音や感触が楽しい。

その度に敵が血を出して倒れていく姿を見るのが楽しい。


もう既に開けている酒がさらに進む進む。





「物資確保ー」


それはそれとして、敵拠点にある物資をどんどん確保していく。

ゲーム世界観的に敵組織は強大で、プレイヤー側は所謂物資も何もない現地民側として戦っているから物資はあればあるほどいいという感じだ。

ゲーム的にはプレイヤーキャラのスキルを強化するのに使用する仕様ということで物資を集めることになるのだが、それはそれとしてなんとなく楽しい。

こういう物資の少ない状態から、どんどん物資を集めて稼いでいくという何とも言えない雰囲気が楽しい。





「ついでの情報入手でミッション完了、と」


そんな感じで、事実上のチュートリアルかもしれない初ミッションクリア。

とにかく弾幕張りまくって、敵拠点から物資を奪いまくって、敵の幹部を脅して情報を抜き取っただけだが、やっぱり楽しい。






「さぁ次のミッションだ! ……ってまた車がふらつくなぁ」



そんな感じで次のミッションポイントまでまた車で移動することになるのだが。

やっぱりまた車がふらつくから、どんどん別の車や道端の看板にぶつかってついに車が壊れる。

仕方ないからそこら辺の民間人から車を奪おうとする。

そしたら死角から民間人の車が出てきてそれに轢かれてしまう。


思わず爆笑してしまった。

楽しい。






「おかしいなぁ。ダンマクやりたいだけだったのに、気がつけば車で運転する方がなんか楽しい」


そんな感じでカーライフを楽しんだ。

意外とジャングルとか砂漠とか雪山とかそういう景色も堪能できるのだ。

なんなら銃を構えた兵士が集うキャンプ地とかもある。

平和な日本では味わえない、危ない魅力がこのゲームの景色にはあるのである。






「あ。また事故った」








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