龍国の襲来(4)【おかしいんだ】
父上を探さないと――
長い、長い廊下だった。
今は夜。
そのためなのか廊下はとても暗い。
しかしあたしはまだはっきりと見える。
龍なので当然でしょ。
それにしても、なんだか不気味だね。
城は【結界札】で覆われているので不法侵入は不可能なはずだけど、なぜか嫌な予感がする。
にもかかわらず、その嫌な予感を無視して、あたしは歩き続ける。
父上の書斎はあたしの部屋からそんなに遠くはない。
それを考えると、まずは書斎に立ち寄ることにした。
もしいなかったら自分の部屋にいるはず。
……とはいうものの、さっきの【どん!】が何らかの兆候ならばおそらく、この時点で城の外では【はぐれドラゴン】と戦っているのかもしれない。
どちらにせよ、父上のところまで行って、【はぐれ】ドラゴンをどうやって追い返せるか作戦を考えなきゃ。
もちろん、カエデは【龍の末裔】に選ばれた者として頑張っているとはもう知っているが、とんだけ強ければ1人じゃこんな大勢の【はぐれドラゴン】を休戦に協定させるかどうかは不安だ。
正直無理とは思う。
【はぐれドラゴン】と平和条約を結ぶなんて。
そもそもどうやって非現実を現実にさせるわけ?
そんなのできないに決まっている。
我々ドラゴンができるのは戦って殺し合うだけだから。
カエデか考えついた【はぐれドラゴン】と同盟する作戦はうまくいかないに違いない。
ただそれだけなのに、なんで胸がさわいでいるんでしょ。
もしかしてこれが、希望なのか?
あたしはいま、希望を感じてるのか?
いや。
わからない。
わからないけど、そこはかとなくわかってる。
あたしは信じているからそこはかとなくわかってる。
実はわからないけど。
こんなの、感じたことがないので。
……なんか、言いたいことがめっちゃくちゃごちゃごちゃになっている。
とりあえず、目標に集中しよう。
父上を見つけ出し、【はぐれドラゴン】をどうやって追い返せるか作戦を考えること。
それがあたしの現在の目標である。
遠くからなにか地面に激突するような音がしたが、もしかして…………いや、余計なことを考えるな。
目標に集中しなさい。
集中しなさい……集中しなさい……集中しなさい…………
でも、やっぱどうしても、集中ができない。
そんなあたしはおかしい?
……うん。
おかしいんだ。
だってこういうの、はじめてだからね。
他人、しかも人間に対して心配するなんて、やっぱり【龍国】――あたしの故郷に帰国してきた時点からあたしは最近おかしいんだ。




