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さて、始めようか

服屋を出ると、ロリババアの言う通り空には日がもうほとんど沈んでいた。

いいことだ。


夜の帳で俺の幻惑魔法が強化されるってさっき吸収した本にそう書いてあった。

月の光を反射しやすいとかそういうのも書いてあったが。


それに夜になると、幻惑の使用時間も延びるというのも。

ひとつ悪いことを強いて言うなら、【透明化】は長時間に存続する呪文だ。


その為に使用中、魔力がどんどん削られていく。

幸いなことに俺には魔力が沢山ある。


無尽蔵ではないけど。

でも、それはそれでしかたないことなんだ。


さて。

この奴隷なんちゃらなんちゃらは一体どこなんだ?


出る前にロリババアに聞くべきだったな。

そう、通りを歩きながら悩む俺。


まあ、【世界地図】を使えばなんとかなるでしょ。

そう決めると【世界地図】を開く。


今の俺の現地は服屋から100メートル離れたところだ。

通りを歩く人や亜人はときどき見るが、一言も交わさずに通り過ぎたのだ。


恐らく急いで帰ろうとしてるところだな。

いいな、家って。


お金を稼いだら家を建てようか。

できれば街の郊外に。


まあでも、今の時点で未来の計画とかを考えない方がいいかも。


任務を優先にして、俺はタスクに取り組むことにした。


しばらく地図を見ると、やがて怪しそうな何かを見つけた。


イマゼンの街の遠い右側に位置している歓楽街で、おそらく路地裏であろう狭い道に【???】というのが表示されている。


俺は【???】をクリックすると、目の前に画面が現れる。


─────────────────

クエスト:ロリババアの弟子を救って無事に服屋に戻ろう。

ステータス:進行中

クエストクリアの報酬:

・スキルブック【古代魔法・始】、【戦場へ】、【まがい物の黄金】、【創成】の入手。

─────────────────


あれ?

クエストシステムはいつ導入された?

これ初めて見たんだけど?


………とは言っても、これは今さ、別にどうでもよくねぇ?

あとでじっくりと考えるけど。


で、つまりこの【???】っていうのが目的地なのか?

だったらまじで便利なんだな。


どうやら俺の目的地はこの街の歓楽街に構えられているらしい。


なんで、奴隷売買施設が歓楽街に構えられているのか、正直に言って俺にはわからない。

まあ、街はそんなふうに築かれたので、しかたないことなのだ。


とりあえずいこうか?


そう決めると、クエスト画面を閉じて歓楽街を目指して俺は歩き出す。


現地から歓楽街までは恐らく20分がかかるだろ。

で、歓楽街についたら目的地につくまで更なる10分がかかるか。

まとめて30分以内に目的地につくはず。


考えれば、けっこうの時間がかかるが、夜になったばかりだ。

記憶が正しければ5時頃に日がまた昇るだろ。

それにこの時期に夜の時間は普段19時から。


つまり今から任務を完成させるまで、あと10時間が残っているというわけだ。

俺に言わせればたっぷりだ。



しばらく通りを歩くと、歓楽街へと着いた。

流石に歓楽街だけあってイルミネーションがたくさん。


飲食店、居酒屋、風俗店など、空高く聳え立つビルが道端に沿って並んでいて、それとさっき俺がいた繁華街と違ってここにまだ人や亜人がたくさんうろついている。


仕事で溜めたストレスを発散させる為に酒に溺れた人が多いそう。


酒を飲みすぎたか足もとがふらついていた人々がいた。

それにしても動じることなく大声で笑いながら仲間と他愛ない話を交わしている。


身に纏っている鎧や持っている武器からして、一瞥して冒険者だとわかる。


人集りで俺でも見た事のある顔がちょくちょく見れる。

もちろん、あいつらと接したことがないけど。


自分に注目を集めないように、俺はゆっくりと歓楽街の大通りを進む。


影のように、手の込んだパターンを描きながらすらすらと人集りの隙を縫うようにして進んだ。

そしてやがて、目的地に辿り着いた。


右に折れ、ずいぶんと細い横道に入った。

石積みの壁が三方を囲んで、完全に行く手を遮っている。


入口らしきものなんて、どこにもない。  

壁にも地面にも、蟻一匹通れるほどの隙間すらなかった。


地図を再確認。

確かにここは俺の目的地だ。


つまりあれか。

どこかに隠し扉、もしくは通路があるってことか。


でもどこなんだろ?


目を閉じ、五感を研ぎ澄ます。


地面を覆う砂利や埃の匂いが鼻に侵入し、耳に人の話し声が前より大きく聞こえている。

服装の粗い感触を手で感じて、今朝食べた朝ご飯の味がまた口の中で味蕾を刺激する。


そしてしばらく五感を研ぎ澄ますと、やがて【それ】を感じた。

ありとあらゆる生き物が有する生命の源。


魔力。

下から。


つまり地下に、彼女がいるってわけだ。

なるほどな。

そういうことか。


おそらくこの辺に入口があるが、探すの正直に言ってかなりめんどくさい。


まあ、別に自分の入口を作ってもいいでしょ。


息を整え、俺は体内に流れている魔力にしばらく集中する。

地下にあるってことは、土魔法を使って簡単に侵入できる。


適切な魔力量を集めた後、地面に穴が開いていることを想像すると、1回地面を足裏でコツンと叩いた。

すると想像通り、人間が入れそうな広さの穴ができた。


これで、侵入完了ってことだ。

あとはリナの弟子を救って、あいつのところに戻るだけ。


……さて、始めようか。

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