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第九話:ホームルームの終わりで

拙い文章ですが暇つぶしに貢献できたら幸い。

 コウ達が所属するクラスこと2-Aは重苦しい空気に支配されていた。

 その様子はまるで氷壁で作られた部屋に閉じ込められ、長いこと監禁されていたかのようであった。

 

 この圧倒的な威圧感を放っているのは2-A担任こと、ミシェル・フィナーレルで、その威圧感を一身に受け止めているのは彼女の最初の仕事であるホームルームを邪魔した男であった。

 2-Aのクラスメイト達はこの男に向けられている威圧の一部を受けているにすぎないのだ。


「……私も教育者だ、一応理由を聞こうか? ロン・スティニア?」


 新学期の初日そうそうに遅刻という過ちを犯した男は、余波だけで2-A全体が凍る威圧を受けながら静かに口を開いた。


「……すみませんでした」


 ロンが正座の状態から言葉と共に静かに頭を下げる。

 しかし、担任教師はそれでは納得しないようであった。


「私は謝罪の言葉が聞きたいんじゃないんだ。理由を言えと言っているんだ」


 ミシェルの追撃にロンはただただ顔を青くするだけであった。

 何故なら彼自信の手には言い訳のしようのない証拠が握られていた。


「ならば言葉を変えようか。何故授業に遅れてきた貴様が飲食物の入った購買の袋を持っている?」



 つまりは、こういう事だ。

 生徒の出席を済ませたミシェルが2年から始まる授業について説明をしていたところに、本日欠席となっていたはずのロンが元気な挨拶と共に遠慮など微塵もない様子で扉を開け入ってきたのである。

 そして、その手にはあろう事か購買の袋を握っており、それは体調が悪いのに無理して来たのでなく、やむを得なく遅刻したという意味でもなかった。

 その手にする物が示すのは、遅刻しているのに購買でダラダラと買い物をして来たということであった。

 

 ちなみに購買は一応朝から開いており、緊急の用事で物資が必要となった生徒の手助けとなっている。

 授業の合間に買って食べることが出来るように菓子などの軽食も置いてあるのだ。


「……まぁ良い。今日は特別に罰を軽くしておく」


 ミシェルがそう言うと、先ほどまで顔を青くしていたのが嘘のようにロンが顔を輝かせて何故かミシェルに抱きつこうというのか手を広げて立ち上がろうとする。

 しかし、完全に立ち上がりきる前にミシェルに額を軽く押されて尻餅をつき、再びミシェルを見上げることとなる。


「あまり調子に乗るなよ? ロン・スティニア。それに私は罰を軽くすると言っただけで、無くすとは言ってないからな」


「……はい」


 罰は後で通知するから席に着け。

 その言葉にロンは足が痺れたのか、途中で転びそうになりながら何とかコウ達の方へとやってくる。

 そして順にコウ・リーネ・アヤと顔を見ると、


「何で俺だけクラスが同じだって教えてくれなかったんだ……」


 割と本気で泣きそうな顔をしながら唯一空いていたコウの隣の席に座る。


「お前が逃げたからいけないんだろうが。逃げなきゃ教えてくれただろ」


 なぁ、とコウが隣に座っているリーネに顔を向けると気まずげに顔を背けられた。

 嫌な予感を覚えながら更に隣に座っているアヤに顔を向けると、同じく顔を背けられた。

二人の視線は姉妹同然に育ったせいか、同じ方向に向けられているようであった。


「……………」


 コウはロンに向き直ると、そっと肩に手を乗せて囁くように言う。


「後でなにか奢ってやるよ」


「う、うわあああああああああああああああ!」


 それが止めになったのか、泣きそうだった顔を歪めてロンが顔を伏せる。

本当に泣いているかを確認するのは、この時は無粋なのであった。


 実際コウはミシェルが出席を取った際にロンの名前が出て初めて知ったし、いない現状を考えて今日はサボるのだと思い欠席だと伝えたくらいであった。

 最も、ルームメイトだからできる気の利かせ方も逆効果であったのではあるが。


 購買に向かったロンも悪いのだが、現状が自分たちの行いが関与している事で慰めの言葉が浮かばずに三人が対処に困っていると、静かだが確実に鼓膜を振るわせる声が鋭く向けられた。


「うるさいぞ、そこ。それ以上騒ぐのなら私に対する挑戦と受け取るぞ?」


 途端にロンが静かになる。

 どうやらこの担任を怒らせてはいけないというのは、このクラス全員の共通概念となったようだ。


「なんで問題児を二人も抱える羽目に……」


 どこか疲れたように言葉を漏らす。

それに反応してコウがにこやかに言葉を返す。


「大変ですね。教師って仕事も」


「……それで成績最下位だというのだから、本当に良い度胸だよ貴様は」


 ミシェルが今まで見てきた成績最下位の者とは、だいたいが自分に自信がなく、劣等感を抱いているのか周りに対してビクビクとしているか捻くれていた。

 一応コウの態度も捻くれたものといえるが、劣等感から生まれたとは思えないものであった。


「まぁいいさ、貴様に構っていたら時間が無駄になる。説明の続きをする」


 ロンが登場するまで二年からの授業についての説明をしていたこと忘れていたクラスの者達が聞き逃したら今度は自分たちが恐ろしい担任教師の標的にされると怯え、話を聞く姿勢を取る。


「何処まで話したか……。あぁ、選択授業についてだったな。と言ってもこれに関しては特に言うことはないか」


 と言うのも、そもそもクライニアス学園に入学した者達の多くがこの選択授業を学ぶために来たようなものであるのだ。

 クライニアス学園の選択授業は自分が望む専門的な内容を学ぶことが出来る。

 例えば騎士になることを望む者がいれば、剣術、槍術、馬術、等と騎士としての基本的な技術を学べるし、魔術師になることを望む者なら、攻撃、防御、回復、支援、等の自分が覚えたい魔術を覚えることができる。

 他にも、先ほど例を挙げたものよりは週間でやる回数は減るが専門分野とよべる授業も存在している。

 クライニアス学園は各専門分野のエキスパートを生み出すことで広く知られたな学園なのである。

 クライニアス学園を卒業したと言うだけでネームバリューが生まれるほどで位なのだ。


 ミシェルの言葉に、クラスの者達の反応は二つに分かれた。

 一つは、自分たち実力を高める機会が来たことに喜びの色を隠せずにいる者達。

 そしてもう一つは、何処かどうでもよさそうな態度を取っていたり、喜びの色を隠せずにいる者達を嘲笑うかのような態度を取る者達である。

 その反応の差に、ミシェルは内心顔を顰める。

 

 前者多くは、主に平民・庶民と区分される者達の多くで、自らの実力を高めれば高めるほどに明るい未来が待っているとも過言ではないのだ。

 当然だがやる気が出てくる。


 そして後者のやる気が無い連中の大体は貴族と分類される親を持つ子供である。

何故このような反応を示すかというと、この学園のあまりの有名さからこの学園を卒業するのは貴族として当たり前であるという考え方が上流階級にいつの間にか浸透していたせいである。

 しかし、そのような考え方を持っているのは親であって、子供からすれば親に言われた学校にただ行っているだけで、無事に卒業できれば親の跡を継いで何もせずにのんびりした生活を送れば良いだけである。

 名誉だとかは果てしなくどうでも良いのである。


 もちろん、全ての上流階級の家を持つ者達が同じ反応だとは言わないが、それでもそれはごく少数で、前者の反応を示した者達が平民と呼べる者達が多いせいかバカにしたような態度を取る者達が多数なのである。

 

 差別や不平等を嫌うミシェルはその態度に苛つきながらも、こればかりは国家レベルで存在する悪癖なので後者組を睨み付けるだけにしておく。


………睨み付けただけで十分な抑制効果があったことは本人は気づかなかったが。


「それでは最後にグループ登録について説明する」


 選択授業の事で様々な理由で騒いでいた生徒達が、ミシェルの一声で静かになる。


「貴様らはは中等部から、現在に至までに基礎の繰り返しをしてきたと思う」


 その言葉に何人かの生徒が感慨深そうに頷く。

 クライニアスでは、高等部の二年から始まる選択授業のために高等部二年までに同じような基礎を量を増やしていくだけといった、中身に微妙な差異があるとはいえ慣れてくると少々退屈な授業を繰り返す。

 それは選択授業は専門分野のエキスパートを生み出す程の高度な授業を教える際に、水準以上の能力を初めから身につけさせておくという考えのためであるのだが、生徒達からすれば新鮮さのないのは、つまらないだけであった。


「だが、今年からは違う。実用的な攻撃魔術、体術を学びそれを実戦形式で覚えていかなければならない」


 退屈な授業に慣れきってしまっていた生徒達はこの言葉に貴族、平民関係なく表情を明るくする。

 やっと次のステップに行けることに理由は様々なれど喜んでいるのだ。


「そして時に班を組み、学園が用意した課題に挑ませる事もある。その班のメンバーは通常なら、こちらが決めることなのだがやはりチームワークというのは気心知れた仲の方が生まれやすい。よってグループ登録をする事によって友と特殊な授業に挑むというわけだ」


 まぁ、同じクラスの者限定だがな、とニヤリとミシェルが笑う。

 その言葉に隣に座っている者と笑い合う者、周りを見回す者、一緒に組みたい者が同じクラスにいないのか、肩を落とす者、様々な反応を示した。

 

「グループ登録には特に期限はない。これから行っていく選択授業でクラスの者の実力を計るのも良いだろう」


 そこで一旦言葉を句切ると、一瞬だが確実にコウの方をチラリと見る。

 その視線にコウは気づかなかったかのように明後日の方角を見る。

 ミシェルはその態度にニヤッとしてから、本日の授業を終わらせる。


「積もる話もあるだろう。今日はこれで解散とする。皆、明日は遅刻などしないように」


 そう言って号令することなく、ささっと教室から出て行く。

 しばらく唖然としていたが、授業が終わったことに気づくと放課後特有の騒がしさがどこからともなくやってくる。


 コウがやっと部屋に戻って寝ることができると席を立つと、三つの視線がこちらを見ていることに気づく。

 リーネ、アヤ、ロンだ。

 恐らくリーネとアヤは成績最下位の件について、我慢していた質問を口から出したく思っているのだろう。

 逃がさないと言わんばかりにコウを監視するように見ている。

 ロンは先ほどコウが奢ると言ったのを忘れていなかったのだろう、嬉しそうにコウを見上げている。


「……積もる話、ね。あの担任分かってて言ったんじゃないんだろうな」




 コウが面倒そうに顔を顰めて呟いた言葉は、放課後の喧噪に飲み込まれ消えた。




自分は文章を書くのが好きです。



自分の書いた物が人の眼に触れ感想を言って貰ったりすると考えると怖いような嬉しいような不思議な気持ちになります。


が、物事には何事も例外が憑きものです。(ここはあえて漢字間違えてます

自分の例外と言うのは自己PR等と言った自分を語る文章です。

ちょっとした日記等なら恥ずかしい気持ちはありますが、まぁ書いても良いです。

ですが、自己PR…

簡単に言えば自分を褒める文章を自分で書く…


……勘弁して欲しいです;;

と言っても自分は受験生。

何をするにしても自己PRを書くことになります。


……長々と前振りを書きましたが、最近自己PRノイローゼにかかりそうです(謎

先月から何度も何度も書く紙に向き合い、自分が誇れるものを探し、何とか書いて教師に見せて駄目出しを食らう。

この繰り返しです…

友人が指摘する誇れるところは胡散臭いし

何度も書いた紙を教師に持って行ったりしていたら、なんだか悪いことをして反省文を書いてる気分になってきた うましか でした。


……後書きなので書くのですが、本文のミシェル先生がちょっと嫌みな成分が強いのは自分の心理的な作用なのですかね;;


愚痴っぽい後書きなのに最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


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