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第八話:担任との顔合わせで


拙い文章ですが暇つぶしに貢献できたら幸い。

リーネ達との友達宣言の後、自分のクラスの場所が分からないので総合掲示板へ行く途中だったことを告げるとリーネが嬉しそうに微笑みながらコウのクラスを教えてくれた。


「私たちと同じクラスですよ」


“たち”ということはアヤも同じクラスなのかと考え、ふと思った事を口に出す。


「会ってまもない俺のクラスまで確認したのか? ってただ単に知ってた名前が目についただけか。」


口に出してから 可愛い女の子に注目されてるのか? というニュアンスを持つ言葉が自意識過剰なものだと思い直し、自分で否定の言葉を述べるが意外なことにリーネがフルフルと首を横に振りコウの否定を否定する。


「お友達になりたいと思ってましたから、コウのクラスの場所をつい調べてしまいました」


そう言ってはにかむリーネに苦笑するコウ。

その後ろから突然手が伸びてくる。

伸ばしてきている手の勢いはそのまま体当たりへともっていくつもりなのだろう、とても強いものだった。

後ろから迫るものをコウの前にいたリーネは確認するが、いきなりだったこともありコウに忠告しようとした手が中途半端な位置で止まり、驚きで体を硬直させてしまう。


コウは背後から迫る手を後ろを確認せずに払い、直ぐに手首を掴み相手を巻き込むように体を回転させると、相手と自分の立ち位置を一瞬で入れ替える。

立ち位置を変える際に掴んだままだった手首を捻り締め上げる。

その一連の動きには無駄が一切なかった。


「あだぁ!っぎ、ギブギブ!」


背後から迫って来た者――――ロンが痛みに粘ることなく直ぐにギブアップをする。


「なんでお前はごく僅かだが殺意を持って俺の背後に迫ってきたんだ? あ?」


そう言って冗談交じりに笑いながら問いかけ、手にかける力を強くするコウ。

やってる側は笑っているが、やられている側は痛みで笑えるはずがなく悲鳴を上げるように慈悲を請うていた。


「いだだだだだ! ごめんなさい! ごめんなさい! コウごときが女の子と仲よさげに話してるのが気にくわなかったです!! いででででで! 嘘です! 冗談です! 出来心です! ついカッとなって! すいませんしたぁ!」


明らかに前半の言い分が本音であり、誤魔化しがきかないのだが面倒になったので手を弛める。

コウの力が抜けたことに気づくと直ぐに腕を振り解き、飛び退くように距離を離すロン。少し涙目であった。


「まったくお前は……」


コウは呆れたように言ってからリーネとアヤがこちらを注目していることに気づく。

リーネはコウの動きを見たことがあるので、コウの動きには驚きより感心といった感じであったがアヤはというと


「今、後ろを確認せずに動きましたよね? それも正確な動きで……」


目を丸くしながら驚いているようであった。

ただの一般生徒だと思っていた者がまるで熟練の戦士のような動きを見せたのだ。

しかも、周りに人が居る場所な上に、会話をしていた状態なので人が接近しても一々警戒することもなかっただろう、本来なら完全な不意打ちになったはずなのである。

しかし、コウは顔色を変える事なく、話しながら手で虫を払うような気軽さでやってのけたのである。

驚いているアヤにコウが誤魔化すように言う。


「いや、後ろから来てるのは何となくで分かっただけだ。足音とか? 動きはただのまぐれだ」


そう言いながらコウ自身このような言葉が信じられるはずがないと思っていた。

いくら素人の学生の奇襲攻撃とはいえ、あまりにコウは奇麗に動きすぎていたのだ。

当然の如くアヤが納得するはずもなく訝しげにコウを見ていた。


「コウ殿……。あなたは一体……」


アヤの思わず漏れたような言葉にリーネもコウを見つめる。

リーネも誤魔化された身なので気になっていたのだろう。

ジッとコウを見続けていた。


コウはどうしたものかと考えていた。


(何でかリーネに嘘つきたくないんだよな。)


ちらりとこの状況を作り上げた悪友の方に目を向ける。

しかし、周りを見回しても悪友の姿はなく、遠くに廊下を走り抜けていく裏切り者の遠ざかる背が見えた。


(逃げやがったよ……)


ガクリと項垂れるがそれで事態が好転する訳もなく、どうしたものかと考えていると救いの福音が鼓膜を振動させた。



キーン コーン カーン コーン



「ほれ、授業開始5分前のチャイムが鳴ったぜ? 遅刻して良いのか?」


あからさまに逃げなのだが今はこの場を凌げれば良いなどと適当に考え歩き出す。

二人は不満そうな表情を浮かべていたが、コウが歩き出すと後ろから連いてくるのであった。








コウが配属されたクラス2−Aに着くとそこには授業開始前なので当たり前なのだが、ほとんどの生徒が席に着いており遅れてやって来たコウ達に注目する。

そして面子を見ると、こそこそと話す感じの悪い態度を示すのであった。

友達宣言の時はその視線は払拭されていたのだが、あれから時間も経ちあの場にいた者以外の者が混じると態度は元に戻ったようであった。

そして感じの悪い視線はコウにも向けられ始めたようであった。


背後にいたリーネが後ろからコウの袖を摘まむように掴み小さな声で「私のせいでごめんなさい……」などと呟いている。

横に立っていたアヤの方を見ると悔しそうに下唇を噛んでいた。

リーネ達といることでコウが巻沿いにあっていると思ったのだろう。

その様子に少しの誤解があるのを感じ、コウがリーネにささやく。


「今の状況はな、別にお前だけのせいじゃないぞ。というか黙ってたけど俺もちょっと問題があるんだ」


そう言うとリーネが目をパチパチと瞬かせ首を傾げる。


「あー、なんか無駄に隠してたけど俺な……」


コウが周りの態度に隠すことがどうでもよくなり誤魔化していた真相を話そうとするが、コウ達3人の後ろからやって来た人物に妨害されてしまう。


「貴様達、教室の前で何してるんだ? 邪魔だから早く席に着け」


まるで横柄な男のような口調なのに意外にも女性の声であったため、コウは驚きの気持ちと共に振り返るとそこには女性が立っていた。


背は175cm程であるコウより少しだけ低く、正装の一種であるスーツを身につけていた。

スーツは男性が好んで着るために男性が着る物というイメージが強いのだが、目の前の女性はそれを違和感なく着こなしていた。

髪は長く右肩に掛かるように一つに束ねていた。

細長い円のメガネをかけている顔は端整で鼻のラインがくっきりとしていて美人と言える容姿をしていた。

眼鏡越しに見える瞳は鋭く、少し冷たい印象を覚えるほどであった。


「聞こえなかったのか? 私は席に着けと言ったぞ?」


コウが女性をゆっくりと観察していると女性から警告のように再度注意される。

それを聞き慌ててリーネとアヤが空いている席へと小走りに走っていく。

コウは教室を見渡す。

教室は広く、席は4人掛けの机が一列ごとに段差をつけて配置しており、最後列の者は少し首を下へと傾けて授業を受ける事になるだろう。

1クラス約50人と少々多いのだがそれでも窮屈さを感じることのない広さだった。


「……これが最終通知だ。席に着け」


のんびり教室全体を見ていると低い声で言われ、スーツの女性が睨み付けていた。

コウが何でこの女キレてんの? というふうにリーネとアヤの方を見ると、二人は必死にこちらへ来るようにとジェスチャーを送っていた。

それを見てようやく動き始めたコウを見て、スーツの女性が顔を顰めながら手元にあった資料を捲った。

そして一枚の資料を見てコウと見比べている。

どうやら生徒に関する資料であったようだ。


「貴様もしかしてコウ・クラーシスか?」


コウは歩むのを止め振り返り静かに見返す。

スーツの女性の言葉にクラスの者達はざわつきだす。

所々で「あの……」だとか「あれが……」などと断片的に聞こえてくる。


周りが静かに騒ぎ出したことでリーネは抱いていた想像が現実味を帯びだしたと考え、アヤはやはり手練れの者なのだと考える。

つまり、コウは学年でトップクラスの成績を有する者ではないのかと。

もちろん、学年上位の成績を持つ者ならば有名になるはずで、リーネ達がコウの存在を知らなかった事を疑問には思うが何かの偶然で知らなかったということもあるのかもしれない。

そのように、やや強引ではあるが結論づけようとした二人であったが、スーツの女性がニヤリと笑って続けた言葉は自分たちの想像とは真逆の事だった。


「学年最下位の奴がよく私に生意気な態度が取れるものだな」


そう言って珍しい物を見るように、つま先から頭の天辺まで無遠慮にジロジロと観察するかのようにコウを見る。

その様子を見ていたクラスの者達が小馬鹿にするようにクスクスと笑い出す。


クラス全体が侮蔑や嘲笑を込めた視線をコウに向ける中、リーネとアヤの二人は混乱していた。

リーネはコウの戦いぶりを直に見ているし、アヤは先ほどの事でコウを少なくとも無能ではないと思っていたのだ。

それなのに周りのコウに対する評価は自分たちのものとは正反対のものだったのだ。


二人が考え込んでいる間もコウは侮蔑と嘲笑を含んだ視線の中に晒され続けていた。

それに気づいたリーネはコウを助けたいと考えるのだが、友達が少なく、コミュニケーション能力が少ないリーネにはたった50人のクラスの者達でも諭したり、いさめたりするのはハードルがとてつもなく高すぎるであった。


リーネが自分の不甲斐なさを噛み締めながらコウの方を見る。

最初リーネは、コウの今の状況と自分の状況を無意識に重ね合わせていたので、とても悲しく、辛い気持ちになっていると考えていた。

しかし、コウは突き刺さる視線に怯えるでもなく、理不尽なクラスメイト達に怒るでもなく、まるで現状をまったく理解していないのかのように普通に突っ立っていた。

その姿には本当に自然で、やせ我慢をしているなどの様子は一切見られなかった。


リーネがその自然体を見て呆気にとられていると、不躾なクラスメイトを叱る声が意外な人物から発せられた。


「大衆に紛れて人を笑う奴ら、貴様らは何様なんだ?」


その声の発信源はスーツの女性からだった。

教室全体に聞こえただろうその声は、怒鳴るでもなく、語尾を強めるわけでもなく、ただ静かに語りかけるような声なのに、教室にいる全員の鼓膜を振るわせて彼女の感情は怒りを示していることを教えた。

リーネはそれを少し意外に思っていた。

コウが侮蔑の視線に晒される流れを作ったのはスーツの女性だったからである。

しかし、よくよく考えるとスーツの女性は別にコウを小馬鹿にするような態度は取っていないし、先ほどの言葉も確認口調だったし上に、最後は何処かコウをおもしろい奴と認識しているようであった。


「貴様らの中には貴族での者もいるのだろう。身分ある方のご子息、ご令嬢なのかもしれない」


そこで一旦言葉を切ると眼鏡越しに見えるその鋭い眼を教室全体に静かに向ける。

コウをあざ笑ってい者達が一瞬息を止めてしまうほど鋭かった


「だけどな、この学園にいるかぎり貴様らはただの学生だ。上も下もないただの学生なのだ。そのことを忘れるな」


そう言って言葉を締めくくると、睨むように向けていた視線をクラスの者達から外しコウに向き直る。


「貴様にも言えることだ、コウ・クラーシス。私は貴様が成績最下位だろうがそうじゃなかろうが容赦なく教鞭を振るうつもりだ。泣き言なども受け付けないつもりだからそのつもりでいろ」


それでは席に着け。そう言ってコウに促してから黒板へと向かうスーツの女性。

コウは一瞬おちゃらけた反応をしたい衝動に駆られたが、一応庇われた形になったの、黙ってその後ろ姿を見てからリーネとアヤが座る席の方へ行く。

席の場所は特に制限がなく生徒の自由に座れるようになっているのだ。

未だに混乱したままのリーネとアヤを尻目に静かに席に着く。

コウがリーネの隣の席に着くのを見届けてからスーツの女性が口を開く。


「自己紹介が遅れたな。私は貴様達の担任を受け持った、ミシェル・フィナーリルだ。選択授業では魔術系の授業、特に攻撃呪文を担当することになっている。これからよろしく」


スーツの女性――――ミシェル・フィナーリルは宣言するようにそう言った。

その姿には緊張なんて縁がないと言わんばかりに堂々としていた。


「それでは出席を取る」


ミシェルがそう言うと、やっと教室らしい光景となりミシェルにびびっていたクラスの者達が緊張をほぐす。

そして同時に彼らは、この担任を怒らせることは決してしてはならないと心に刻みつけるのであった。



(なんかおもしろい教師だな)


(なかなか興味深い生徒がいるな)


そんなことをコウとミシェルが同時に思った事は誰にも分からないことであった。






……自分には、自分ルールという自分で決めたルールがありました。

その内容は数少なく(自分に甘い為)それ故にそれ位は守ろうと思っていました。

しかし、今回破いてしまいました。

今回破ってしまったルール、それは………


一週間に一話はあげること♪


そして前話から二週間……

やっちまっただぁ…


どうも、うましかです。

自分ルールを守れなくて凄く悔しいです。

ただ言い訳させて貰うと今月は


・文化祭(準備を含む)

・体育祭(準備を含む)

・受験関連云々

・私的な用事

・他からの用事

・+α


などとイベント盛りだくさんで秋万歳こんちくしょうな状態だったのです。

まぁ、前にも一週間過ぎたこともあったし心構えの話なのですが、今回の遅れはイベント事の疲れでPCに電源を入れるのを躊躇った事もあったので駄目だなぁ、と反省してたりします。


あいかわらず言い訳が長い うましか でした。

ここまで読んでくれた方、どうもありがとうございました!



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