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第四話:荷馬車の中で


拙い文章ですが暇つぶしに貢献できたら幸い。

コウとロン、それに加えてリーネを乗せた荷馬車は襲撃があったこともあり、現在出せる最高のスピードを維持したまま学園へ向かっていた。


「これならギリギリ夕方になる前に学園に着くな」


そう言ってコウは、先ほどの戦闘がなかったかのように自然体で、体を伸ばしながら二人に話しかける。


「すみません。私がいるばかりに…」


リーネは自分がいることで二人を急がせていることを申し訳なく思っているのようである。


「気にすんなって、どうせ俺はとっと帰って寝たかったから丁度いいさ」


そう言いながらも、大きくない荷馬車の中の隅に集められたガラクタの山の横に寝転がせ、今にも眠ろうとするコウであった。

その姿を見てリーネは申し訳ない、と気負っていた気持ちが幾分か安らいだのか、笑顔とまではいかないが表情を緩ませる。


「あの、先ほどの話の続きなのですが…」


ロンと合流する前、ドリーク達との戦闘が終わった時にお互いが話したいことがある。

と、言ったまま中断されていたことだろう、荷馬車に乗った時から落ち着きなく、そわそわしたり俯いたりしていたリーネを見ていれば考えるまでもなかった。


「それで…」


「待った」


意を決したとばかりに俯いていた顔を上げ、話を切り出そうとしたリーネをコウが待ったをかける。

これにはリーネも顔をしかめ不服そうにする。


「いや、質問等に一切答えないとかじゃないから安心してくれ」


それを聞き、では何故?と言った表情で首を傾けるリーネに困った顔を見せ、コウはロンに問いかける。


「お前さ、何で黙ってるの?」


コウとリーネが合流した時はコウのリーネの運び方を見て騒いでいたのに、学園に向けて荷馬車を走り出した時あたりから、ずっと黙り込んでいるのだ。


「お前の大好きな美少女だぞ? 学園一変態なお前が何故反応を示さない?」


コウの美少女発言、または運ばれ方を思い出したのか折角上げた顔をまた俯かせ顔を真っ赤にしているリーネをよそに、コウは心底不思議そうな顔をする。


「あれか? ロングは好みじゃないと? あれか、胸か? お前はそうやって女性を判断する男だったのか? それとも、」


「……集合」


軽くセクハラな発言を繰り返すコウの言葉を遮るようにロンがポツリと呟く。


「あん? なんでまたいきなり、」


「集合!!」


何故ロンが激しく集合をかけるのか疑問に思いながらロンの側による、その際にリーネが不思議そうにこちらを見ていたので自分でもわからない意思表示を示すため肩をすくませた。


「なんだよ?」


ロンに近づき問いかけるが、それでも口を閉ざしたまま手を動かし耳を貸すようにと催促してくる。

その態度に更に疑問に思いながら仕方なく耳を貸す。


「面倒な奴だな……。なんだよ?」


耳を貸してようやく話す気になったのかロンが掠れた声で話し出す。


「コウさん、なに気軽に話しかけてるんっすか!?」


「何だその舎弟みたいな口調」


まぁ、舎弟みたいな扱い受けたいなら別にそうるすけど?

と、コウがニヤニヤしながら冗談を言ってもロンはそれに構うことなく事なくさらに続ける。


「お前、あの子がどのような奴だとか知った上でお話しになられてんだろぅな!」


「…いや、落ち着けって言葉めちゃくちゃになってるぞ」


「これが落ち着いてられますか!? あいつはだなぁ!!」


ロンとしては内緒話をしてるつもりなのだろうが、妙にヒートアップして言葉を荒げてる時点でそれは失敗していた。

そして、もちろんそれにリーネが気づかないはずもなく、


「私がどうかなさいましたか?」


先ほどから気にはなっていたのだろ、自分が話しに出ている事に気づいてこちらに近づいてきた。


「いや、あの、その」


先ほどまでの勢いよいとは打って変わって、しどろもどろになるロン。


(こいつはナンパとかするわりに結構ヘタレだったりするからなぁ)


そんなことを思いながらリーネの方を見るとそこには驚くほどに無表情な少女が居た。


「どうなさいましたか?」


そういって無表情な顔をしたまま首を傾げる少女、リーネはロンに静かに問いかける。

ロンは完全に固まり口をぱくぱくと開け、誤魔化しの言葉を何とか絞りだそうとしていが、うまくいかないようだ。

それ程までに少女の威圧感は凄まじかった。

少女の豹変ぶりにコウは多少驚きつつも何処か納得していた。


(むしろ念話の時の雰囲気や言葉は、今の方が違和感がないな)


思えばドリーク達に囲まれ自分を守るのが謎の障壁だけの状態の時、しっかりと確認したわけではないが、少女は今のように無表情で怖がることなく、ただ周りを見つめていた気がした。

そう思いながら少女の顔を見ていると、ふと気づいた。


「ロン」


未だ固まっているロンに静かに促す。


「え、あ」


「謝れ」


「え…」


「いいから謝れ! ボケ!!」


そこまで言ったようやく固まっていた脳が動き出したのかロンは慌てて謝る。


「ご、ごめん!!」


ロンが頭を何度も下げて必死に謝る姿を見てリーネは顔を背け、


「いえ…。私こそ大げさな態度を取ってしまって、すみません」


そう言ってリーネは自分が座っていた場所に戻り無表情なまま顔を俯かせてしまう。


「はぁ、マジびびった…」


「…お前ちゃんと反省してるか?」


「してるしてる」


「本当かよ」


コウが溜め息混じりにロンに言うと、反省しているのだろうロンも申し訳なさそうに言葉を漏らす。


「無表情は凄く怒ってるって、感じで怖いよな。悪い事したわ…」


「……アレは無表情と言うよりむしろ。いや、いい」


まぁ、わかってないようだから言ってもしょうがないだろう。

そう言ったコウを不思議そうに見るロンに、肩をすくませて見せながら疑問に思うことがあった。


「しかし、お前が悪いことは俺の中で変わりないけど、ぶっちゃけ俺にはお前の言葉の何処にさっきの状況になる要素があるのか分からないな」


不思議そうにロンに理不尽な言いぐさで語るコウ、それに対してロンは言いづらそうにする。

どうやらロンには理由がわかるらしいが、ここで話すのはさっきの二の舞になると思ってか口を開かないようだ。


「ま、懸命な判断だな。」


そう言ってロンを後回しにして放っておき、荷馬車の中の重い空気を振り払うべく今度はリーネに近づく。


「リーネ」


コウが近づいても反応を示さないので呼びかけるが、それでも反応が無く項垂れたままぴくりとも動かないまま静かに言葉を漏らす。


「別に私のことは気にしないで下さい。先ほどまでの状態の方がおかしかったのですから」


それはまるで普通の少女のように笑っているのが普通ではないと言っているようで、気にならないはずがなかった。


「……正直、俺にはさっき何でお前が悲しそうな顔をしたのかわからない。けど、あいつも悪気があった訳じゃないんだ、許してやってくれないか?」


無表情ではなく、悲しそうな顔。

先ほどコウが気づいたことはそれであった。

一見なんの感情もない無表情な顔であったが、コウにはそれがとても悲しんでいるように見えたのだ。

コウの言葉にリーネは驚いたのか、目を少し見開いて顔を上げる。

それに対し構わずコウは言葉を続ける。


「それにだ、お前は笑ってる方が絶対に可愛いぜ? お前、笑いながら町歩いてみろ、そこら辺の男なんて振り返るどころか後ついてくるぜ?」


「……知らない方についてこられるのは困ります。」


そう言って、拗ねた口調ながらもリーネは花が時間を掛けて咲くように、ゆっくりと微笑む。


「うむ、やったぱり笑顔が一番可愛いよ。お前は」


そしてロンに呼びかける。


「舎弟のロン君見てみ、この表情を。可愛いだろう!」


まるで自分のおもちゃを自慢する子供のようにロンに問いかけるコウであった。

そしてリーネも何度も可愛いと言われて顔を赤くしながらも、コウの悪のりに付き合いロンに少し気まずそうに微笑むと、ロンは


「………」


完全に固まっていた。

本日二回目の硬直である。

そして少し間を置きコウが手綱を心配し始めた時、手綱を握ったまま急に立ち上がり叫ぶ。


「結婚してください!」


「流石に調子に乗りすぎだ!バカ野郎!」


ガラクタの山にあった手頃な大きさの物を手に取り投げつける。


「あだ! こら宝を投げるな! そして俺の情熱の邪魔をするな!」


「……急に変態に戻ったな。反省の時間は終わったのか?」


「反省などしてる場合か!俺の本能は一刻も早くリーネちゃんに求婚せよと告げている!」


「いろいろと突っ込むべき所はあるが、とりあえず告白とかの順番飛ばしすぎだろ」


「いいや、問題ないね。俺の愛が伝わればリーネちゃんだって理解してくれるはずだからな」


先ほどまで反省のため沈んでいたとは思えないほど興奮し、変態に戻ったロンに若干引きつつも事態を沈静化する案を思いつき実行する。


「だそうだけど、リーネ?」


ここでまさか話を振られるとは思っていたのだろ、リーネは戸惑いの表情を浮かべるがコウは構わず続け、


「ついさっき自分を傷つけた男がしつこく迫ってきたらどうよ?」


そしてリーネにニヤリと意地の悪い顔を向ける。

それで悟ったのだろう、リーネも笑いながらロンの方を向いて言葉を放つ。


「そうですね。最悪ですね」


この言葉にロンは絶望したかのような表情、いや確実に絶望したのだろう。

目を見開き、口を開けて、信じられないといったように崩れ落ちる。


「しまった…。さっきのはマイナスポイントが高すぎたか…」


もはやブツブツと呟くしかないロン。


その姿を見て、二人顔を見合わせ自然と笑い会うコウとリーネであった。

そこには重い空気など、まったく無くなっていた。




あれ…おかしな…

この話では学園に着くまでに話合いが終わって、最終的に学園に着くはずだったのに…

何も考えずに自由に書きまくってた結果がこれですね。

しまりが悪い話でしたので、なるべく続編は速く仕上げるように心がけます;;


明け方に目が覚めて書き上げたら直ぐに投稿したわけですが……今日学校に行く日だった……

眠いのに…

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