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第二話:少女との会話で

拙い文章ですが暇つぶしに貢献できたら幸い。

リーネ・ヴァルティウスは1人考える。

なぜ、こうなったのだろうか。

思えば最初からおかしな話だったのかもしれない。

リーネは、ある事情により実家から遠ざけられている。

そのはずなのに、新学期が始まるよりも少し早い時期に適当に考えたような理由でいきなり呼び出さた。

考えれば考えるほどおかしな話であった。

だが、自分に良くしてくれている人たちの事や立場を考えるとその誘いを断るわけにはいかなかった。


しかし、結論として誘いに乗ったのは失敗だった。

呼ばれた先に顔を出し、嫌いな相手に笑顔を向けあいさつをして疲労を感じながらも、なんとかやり過ごして無事に終わったと安堵していた帰り道。

自分が乗る護衛付きの馬車がウィールス平原を走っている途中で急に止まり、疑問に思い外を見ると護衛の姿はなく、魔物に囲まれていたのだった。

護衛はどこにいったのか? なぜ平原には滅多にいない魔物が目の前に多数いるのかなど、疑問はあったがすぐに自分の命が危ないことを察し、いつも持ち歩いている愛用の杖で呪文を唱え、なんとか包囲網を抜けて逃げることができたが、それも時間の問題になりつつあった。


杖の先に簡易魔術で火を灯して牽制として使うのは、本能的に火を嫌う魔物達には最初は効果的であった。

だが、次第にこの魔術が攻撃用ではないと理解し始めたのか、先ほどから火を避ける動きよりこちらに向かってくる事を優先し始めているようであった。


攻撃魔術を唱えようにも魔術は時間が掛かるものである。

しかも自分は攻撃系の魔術が得意ではなく、一番早く唱えることができる魔術を選んでも5秒はかかる。

さらに魔術を唱えている間はかなりの集中力を必要とするため、動きながらだと更に時間が掛かってしまう。

たくさんの時間を与えれば、魔物達と自分との距離は0になってしまうだろう。

焦りや恐怖が行動を制限し、自分の頭の中で『死』という文字を浮かぼうとした時、静かに声が聞こえた。


『そこの爬虫類に追われてるフードの奴、俺の声が聞こえてるか?』


不思議なことに、その静かな問いを聞いた瞬間、パニックに陥りそうだった頭が冷静さを取り戻した


『なんだ、魔術師じゃなかったか。』


頭の中に直接語りかける声は確認をするように呟く。その言葉を聞いてようやく自分が何も言葉を返していないことに気づき、慌てて念話と探知の魔術を展開し、届けられている念話からの情報を探知し言葉を返す。


『近くに誰かいるのですか?』






さきほどフードの人物が魔術師だと予想を前提に、コウは試しに念話の魔術で声を飛ばしたのだが、どうやら予想道理魔術師だったらしく相手もこちらに念話で言葉を返してきた。

フードの人物とコンタクトが出来たことに、ひとまず安堵したコウであったが、意思疎通が出来ただけで問題の解決にはなっていないと気を引き締めつつ、フードの人物が女性、しかも念話の声は肉声と同じなので同年代位の年頃の少女だと知り、少々驚いていた。

その上、続けて言われた言葉にはさらに驚かさせられた。


『私は今、魔物に襲われています。危険ですので逃げて下さい。』


なんと、この少女は自分が危機状態であるに関わらずに他人を巻き込むまないようにしているのであった。


『普通そこは助けを求める所じゃないのか?』


しかし、コウには懸命に巻き込むまいとする少女の行動を美しい物だとする考え方はなく、むしろ呆れながら少女に問いかける。


『でしたら、近くの村の警備隊に私が襲われていることを伝えて下さいませんか?』


少女はこう言うが、一番近い村でも着くのに30分は掛かる距離がある。

往復で1時間、とてもじゃないが今の状態の少女がそれまで保つとは思えなかった。しかし、そこで疑問に思った。


『つか、何で俺に助けを求める。という選択がないんだ?』


俺の声ってそんなに弱そうな奴みたいな声なのか。などと変なショックを受けていると意外な答えが返ってきた。


『いえ、気持ちは大変嬉しいのですが、あなた達は実戦経験がないはずです。無理をさせて取り返しのつかいないことになってはいけませんし……』


言葉通りに聞けばこちらの身を案じているように聞こえるが少女の言い様は淡々としており、どこか諦めと拒絶のようなものを感じた。

その返答を聞いて、今まで一緒に少女の言葉を聞いていたが会話の邪魔にならないようにと、黙っていたロンが思ったことをコウにぶつける。


「なんであの子、俺達に実戦経験がないって決めつけてるんだ?」


当然の疑問ではあるが、コウには少女の言葉でおおよその予想はついたので特に少女の言葉に突っ込まない。


「なぁなぁ、なんでー?」


ロンの問いかけを無視して念話を続けようとしたが、袖を引っ張りながらしつこく聞いてくるので、しかたなく説明する。


「はぁ…。フード女が言った言葉をよく考えてみ」


これなら分かるだろうとロンの顔を見ると、そこに理解の色はなく、むしろ先ほどより不可解になってしまったらしく眉を歪めている。

仕方なく説明することにした。


「…いいか、さっき念話の魔術を展開する際にこちらの位置情報を探知しやすいようにしたんだ」


念話の魔術は普通に魔術展開するよりは難易度は少し上がるが、相手に自分の声や位置といった情報を分からないようにすることができる。

しかも、今回は隠す必要がないので普通に魔術展開し、必要な量より多めに魔力を込めて探知しやすくしていた。


「これによってフード女は俺たちの位置情報を簡単に知ることが出来た訳だ。」


ロンはコウの細かさに関心しながら頷いている。


「それでだ、フード女は『あなた達』と、言ってただろう? 俺は話す時に一人称しか使ってないのにだ。 つまり、遠視系の魔術でこちらを見ていることになる。」


ロンが理解しているかを顔色で判断しつつ、コウは自分の装備を確認する。


「んで、お前の疑問の答えなんだが……あ?」


コウは突然慌てだし、ロンから望遠鏡をひったくり少女がいる方角をのぞき見る。

そこにはドリーク達に囲まれつつある少女の姿があった。


『ちょ! お前、静かになったと思ったら何が警備隊呼んでこいだよ! 全然保ってないじゃないか!』


現状の原因は少女が転んだことなのだが、

長い時間魔力を削りながらドリーク達から逃げていた為、疲労が溜まっており、切れ切れの集中をなんとか繋ぎ止めて所にいきなり話しかけられたことによって完全に集中力が切れ、石に躓き足を捻るという初歩的なミスを犯したのである。

つまり、話しかけておいて放置していたコウにも非はあるのだが、本人は気づかない。


『くっ、はぁはぁ。どうやら限界のようです。魔力も底をつきかけていますし…』


なんとかその場で残りの魔力で牽制はしているが、動かない標的を確実に追い詰めるための包囲網は完成しようとしていた。

少女の声は諦めてしまったのか弱りきっていた。


『せめてアヤとゼウマン様には今までの感謝の言葉を言っておきたかった……』


『おいコラ、何勝手に諦めてんだ!』


コウが叫んでも少女の独白は続け、悲しそうに言葉を漏らす。


『あなた方も警備隊を呼びに行ってくれませんでしたし…』


「ちゃっかり俺らの責任みたいに!?」


ロンが少女の言葉に驚愕している横でコウは案外余裕あるんじゃないかと考えたが、どう考えても少女に現状を打破する力があるようには見えない。


『では、さようなら。せめて私の遺体を回収してくれたら嬉しいです。』


残っていればの話ですがね。そんな皮肉めいた言葉を最後に残し少女が展開していた念話の魔術が消えたのをコウは確認した。

それは少女の魔力が完全に底をついた事を意味していた。


「じゃあコウさん、いってらっしゃい」


ロンは少女の状況を知りながらも特に慌てることなく、普通に送り出すようにコウに言った。


「なんで『さん』付けなんだよ気持ち悪い。というかあのフード女曰く俺は戦えないらしいけど?」


コウはロンの冗談めいた物言いに軽口を言いながら荷馬車を降り、望遠鏡を投げ渡す。


「っと、だから適当に扱うなっての。いいから早く行ってこいや。じゃなきゃ秘密バラしちゃうぞ?」


投げ渡された望遠鏡を受け取りながらロンはニヤリと笑う。

バラす、という単語に関してコウは言葉を返さなかった。

ロンの言葉が何を指しているのかを理解しているからである。

しかし、腕を組み考えるような素振りを見せ、ロンを見ながら面倒そうに顔をしかめる。


「俺の秘密だけどさ」


ロンが不思議そうにコウを見る。


「実は助けたら確実にバレることになるんだ」


「え? なんでだ? さっきのは冗談だから俺は喋らないよ?」


コウの言葉に慌てて訂正しようとするが、コウにしてみれば問題なのはロンではなく少女の方であった。


「お前が疑問に思ったさっきのことだけど」


「ん? ああ、なんであの子が俺たちが戦えないって決めつけてるのか?」


「それそれ、その答えなんだけど多分あのフード女は学園の生徒だな」


ロンはその答えに目を見開き、慌てて何か言おうとするがコウが手を広げて突き出しロンの言葉を遮る。


「わかってる。でも俺だって助けを求め…られてないけど、助かる命を見捨てる気はない」


コウは話しながら遠視の魔術を展開して少女の状況を確認した。

そこには完成した包囲網を縮め、2匹のドリークが少女に襲いかかる所が映し出されていた。

これから起こるであろう惨事が始まる瞬間をコウは動くことなく静かに見続けた。

ロンは思わず覗いていた望遠鏡を顔から遠ざけるが、この後に少女はどうなるかは分かっていたので再び望遠鏡をのぞき込む。


覗いた先に見えた光景には血まみれの少女……ではなく、襲いかかるドリーク達の鋭い牙が少女の周りを囲むように出現した透けるような青の壁に阻まれているというものであった。


目の前に食い物があるのにそれを食べることが出来ない怒りからか、ドリーク達は何度も少女に牙を向けるが、青の壁がそれを許さずドリーク達を弾き返していた。


少女が驚き顔で固まっているのをみてロンは思わず笑ってしまった。


「じゃあ、行ってくる」


そんなロンをよそにコウは返事を待たずに走り出す。

そのスピードは人間が独力で出せる速さを明らかに凌駕していた。


「本当にアイツは凄いねぇ…。なのになんで学園じゃ…」


ロンの呟きの続きを聞く者はその場に誰もいなかった。





なかなか話が展開できない…

無駄が多いんだろうなぁ…

ネタも引っ張りすぎだね…

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